第48話 重大ミッション

 魔法お披露目会が終わり、時は放課後。


「ちょ……なんでグルドのやつがいんのよ!」


「あ、俺もいるぜ!」


「あはは……ちょっとね……」


「お、俺はバッドがパフェ食いきれねぇとか、い、言ってたから……!!」


 これは遡ること30分程前────


「なぁ、グルド。今日の放課後食堂でエアリスと巨大パフェ食うけど……来るか?」


「それって……俺も行っていいやつなのか?」


 ここは男子トイレ。いわゆる作戦会議場所だ。今回のミッションはグルドとエアリスを会話させることだ。


「はぁ〜スッキリしたぜ〜。お、グルド何くらい顔してんだよ」


「トムは一生トイレしとけ!」


「なんだよそれ!」


「ま、まぁ……エアリスには先行っといてって言われたんだけど……とりあえず来る?」


「……いく」


「あ、俺もパフェ食いたいから行っていいか!」


 ……と、まぁこんな感じだ。こんな感じでよかったのか。多分、失敗だ。ただただパフェだけが減っていく時間が流れる。


「……なぁ、バッド。これ、俺場違いじゃね?」


「……トム、今更気が付いたのか」


「ちょっと! 何コソコソしてるのよ!」


 小さな声でコソコソと話す俺とトム。それに気が付いたエアリスが怒鳴る。グルドは黙り込んでいる。この空気感、生前感じたことの無い最悪だ。


 あ、言っていなかったがこのテーブル席は4人席だ。そして俺とトムが隣。向かい側にはエアリスとグルドが隣。この並びがさらに空気を重くする。


「……バッド、逃げてもいいか……?」


「……トム、俺と一緒にトイレに行こう」


 さらに小さな声で作戦を練る。


「あ、あー冷たいパフェ食ったら、は、腹いてぇーなー」


「お、俺もー。と、トイレ行かなきゃー」


 ささささ……


「ちょ、おい!!!」

「ま、待ちなさいよ!!!」


 俺とトムはグルドとエアリスを置いて作戦会議場所へと逃げ込んだ。すまん、グルド!!!


 ──────


 ──グルド視点──


 俺は今……ミスっている。完全に見切り発車だった。そして、バッドを信用しすぎていた。アイツは最悪だ。本当に最悪だ。


 隣には凄い形相のエアリスがいる。こっちには見向きもせず、ゆっくりパフェを食べている彼女の横顔は……可愛い……


 い、いかん。この空気何とかしねぇと……


「え、エアリスは……!」

「ぐ、グルドって……!」


「「あ」」


 ミスった。完全にかぶせてしまった。やばいどうしようどうしよう……


「先、いいわよ。なに?」


「え、あ、え、えっと……エアリスはバッドとどうして仲良くなったのかなぁって聞こうと思って……」


 先を譲ってもらった俺はパフェを見つめながらそう質問をした。返事を待つ数秒が授業の50分のように長く感じられる。


「どうしてって言われても……わかんない」


「わかんない……か……ぷ、あははは!!」


「な、何笑ってんのよグルド!!」


「いやだって……俺もだから」


「え? グルドも?」


「そう。部屋が同じだったってのもあるだろうけど……あいつはなんか本能が仲良くしろって言ってた気がした」


「分かる。初めはすっごい嫌ってたけどちゃんと考え直してみたらそうでも無いかなって思うんだけど……別に嫌味っぽいとこもあるし……やっぱムカつくことの方が多いわね!」


「バッド結構適当なところあるもんなぁ。……あいつのいいなって思った所考えてみようぜ」


「いい所いい所……うーん……」


「まぁ、一緒にいて気が楽だよな」


「それは分かるかも」


「あと、努力を見せびらかしたりしないとこじゃねーのかな」


「ま、バレっバレだけどね。魔法だって今も裏でやってるの見るし、テスト勉強だって……あぁ! 悔しい!」


「テストは俺の方が高いけどなぁ!」


「嘘でしょ……私グルドより低かったってこと!?」


「あぁ、そうだよ? ……後期、俺にリベンジしてもいいんだぜ?」


「……する。絶対次は負けないんだから!」


 バッドという共通の話題。この話題が俺にとって良いのか悪いのかは全くもって分からない。


 でも、彼女と話す機会をくれたって時点で良き良きだ。ありがとなバッド。


 ずっと聞こうと思ってたエアリスは何を俺に言おうとしてたのか、そんなことすっかり忘れて俺はエアリスとの会話に夢中になっていた。


 ──────


「なぁ……見ろよバッド」


「あぁ……見てるよトム」


「あれは完全にになってるぞ……!」


「さ、作戦……成功だ!」


 こうして、前期最後の重大ミッションをクリアした俺であった。


 この後、彼らに小さく新たな最悪が待っていることはまだ誰も知らない。



☆☆☆


お久しぶりです!最後まで読んで頂きありがとうございます!

実はこの話はかなり前に執筆を終えていたのですが、どっかで一気に投稿したいなーと思いながら貯めていましたすいません、、、


かと言ってストックがあるかと言われたらマジのマジでNOです。

でもこんな作品にも待ってくださる方がいるとやっと気が付きました。


なので投稿しちゃいます!!8月の毎日投稿まで待っててください!!!


良かったら感想評価よろしくお願いします!

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