信じていたもの(3)

翌日学校に行くと

友達の梅ちゃんが、

「よくも安紀を…!」と言いながら、大園くんをボコボコにしたことを知った。

今思えば梅ちゃんが加害者になるだけだからとも思うが、聞いた当時はその行動が嬉しくて涙が出そうになった。

梅ちゃんは一生大事にしようと思う。いい友達を持ったものだ。


放課後残るように担任の先生に言われた。

指定された場所に指定された時間に行くと、複数の先生がそこにはいた。

大園くんの姿はなかった。その方が話しやすくていいが。

しかし雰囲気を出されると、当時のことがフラッシュバックし少し恐怖感がでる。


僕にも大園くんにも非があることを再度説明された。

その後、担任でも教わっているわけでもない先生が

「大園くんのこと許してあげてほしいな。田中くんならできるよね?」と。

僕の答えは

「…。なんで…?」

である。


理由は明白。

そのときはまだ、大園くん本人から謝罪をされていないからだ。


なぜ本人が謝ってもないのに許さなければいけないのか。

結局「許す」という言葉は僕の口からは出なかった。


このとき僕は味方だと思っていた先生が、

流血事件を起こした大園くんの肩を持ったため、裏切られたと感じた。


その後考えれば考えるほど警察沙汰や、事故処理の手間を減らすためだと思えてしまった。



そして僕は人間不信になった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る