信じていたもの(2)

術後残った感情はクラスメイトへの恐怖だった。


家に帰り夜になっても、心は落ち着かない。


家の電話が鳴る。

母がでる。

そして僕に質問を投げる。

「大園くんが謝りに来たいって」

大園くん…それは安紀が注意し、5針縫う怪我を安紀に負わせたクラスメイトだった。


僕は恐怖で声も出ずただただ首を横に振る。


母は説得を試みる。

「怖いのはわかる。遠くから見てるだけでもいい。ただ安紀も謝る部分はあるはずよ。」

さすがは大人であり母だ。

しっかりと僕の非についても説明する。


そのまま押し切られ、会うことに。

僕は窓から外を見る。

大園くんがきた。

少し母が話をし、僕にくるように促す。


結局は大園母が謝罪しただけで大園くんは口を開かなかった。

謝罪と共に持ってきたシュークリームは不覚にも美味しかった。

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