信じていたもの(1)

少年の名は田中 安紀あき

小学校では昔でいうガキ大将のポジションだ。

仲のいい友達以外は安紀のことを、「田中“くん”」と呼ぶ程度には暴れん坊だ。


ただ、そこまで恐れられていたわけじゃない。

勉強はそこそこできたし、運動もリレーの選手に選ばれるぐらいにはできたからだ。


ある日、僕はルールを破ったクラスメイトを怒鳴った。

「ここは委員会以外の人は入っちゃいけないんだよ!」

そう言いクラスメイトの首根っこを掴み特別教室の外に放り出した。

クラスメイトは勢いで転げて頭を打った。

「何するんだよ!」

クラスメイトはそう言い近くにあった割れた陶器のようなものを持ち僕の方に走ってきた。

そしてその破片を僕の方に投げた。


「ドン、、、」

安紀の脳内に鈍い音が響く。

咄嗟に当たったところに手をやる。

「温かい」

直後地面に赤い斑点が現れる。

保健室に行き横になる。

しばらくしてサイレンが聞こえる。

「これ、、、もしかして重症?死ぬ?」

幼心でもわかるその状況に一気に不安にさせられる。


病院に搬送され、麻酔をかけられる。

そのとき初めて知る。

部分麻酔は麻酔をかける時の注射が一番痛いんだと。


無事に手術は終了。

5針縫う怪我だった。



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