第6話 HIROとは!?
HIROスーツを操るには痛みと根性が必要という事がわかった。
「とりあえず今日はこれくらいにしとこうか、明日起きれるかわからん」
(起こしてあげますので大丈夫ですよ)
「電撃で起こすのはやめて!」
あれは洒落にならん、そのまま永眠しそうな衝撃だ。
「ところでこのスーツを脱ぐにはどうすれば?」
(スーツを脱ぐイメージをしてアファテマと唱えて下さい。声に出しても出さなくても良いです)
「アファテマね、よし」
スーツが脱げるイメージをして唱えた。
「アファテマ!」
あ、声に出しちゃった。
スーツはまた光出し光が収まると元の缶バッチになっていた。缶バッジは持っている手のひらにくっ付いている。
剥がして右胸に貼ってみた。
「どこでもくっ付くのね」
(それは37専用なので例え無くして自動で戻って来ます)
「便利ね〜」
その日は部屋戻り風呂に入って寝た。
タンタタラタラランー
タンタタラタラランー
タンタタラタラランー
タンタタラタラランー
(携帯のアラームが鳴ってますよ、起きなくていいんですか?37)
「ああ、今おき…」
(ピピッ!)
バリバリバリバリッ!
「ギャー!」
ウリカちゃんの無慈悲な電撃攻撃。
「今、起きてたよね!?」
(そうでしたか?)
「もう、毎朝やるんじゃないだろうな…」
(…)
やる気だな!
「もっと優しく起こそうよ、おじさんショック死しちゃうよ?」
(…わかりました)
納得していないようだ。
なんとかしないと毎日拷問を受ける事に!
とりあえず会社行って考えるか…
朝飯を食べて会社に行った。
(行ってらっしゃい)
「行って来ます」
★ ★ ★
「ただいま〜」
(お帰りなさい、今日は少し遅かったですね?)
「ああ、外で飯食って来たからね」
(… プリンが見当たりませんが?)
「今日は買って来なかったよ、この後また能力発見に行くだろ?」
(そうですね…)
珍しく悲しそうな声だ。
そんなにプリンが食べたかったのか。
ウリカちゃんの所ではプリンはないのかな?
「朝優しく起きしてくれるなら買ってくるけど?」
(…さすがおじさん…汚いですね…)
えらい言われ方だ。
しかしこの言い様はウリカちゃんはまだ子供なのか?
(いいでしょうそれで手を打ちましょう)
よしよしこれで穏やかな朝が迎えられる…
「そんじゃ後で買ってくるよ、今日も屋上でいいのかな?」
(今日はここでスーツを着てそのまま街に出ましょう)
「スーツで街に?大丈夫なの?」
(HIROは見た人には認識されますがその情報を広める事は出来なくなっています)
そい言えば説明でそんな事書いてあったな。
(見た人はHIROの存在は認識していても映画などの架空のHIROと似たような認識になり実在するとは思いません)
「すごいね、それもあの
(一部はそうですがこれはこの世界に組み込まれた設定のようです)
この世界の設定か…
「そうするともしかして昔からHIROは存在していたけどみんな認識できてなかったのかな?」
(…そうかも知れませんね)
ウリカちゃんも
「で、では。サーティせブーン!」
37缶バッジを胸に叫ぶ。
やっぱり恥ずかしい。
光と共にスーツが装着された。
「そういやこの姿の時に携帯とか財布とかどうすればいいの?」
(ストレージがあるのでそこに保管されます)
「おお、便利。今回は携帯とお財布、着替えを」
(着替えは必要ありません、先ほど着ていた服が収納されています)
「ああ、そうか。便利だね」
という事で部屋から出た。
下に降りる為にエレベーターの下を押そうとすると。
(昨日と同じ屋上にまず行って下さい)
「また屋上?何かするの?」
(下から外に出るより屋上からの方が人目につきません)
「なるほど… 何となく嫌な予感はするけどそっちの方がいいか」
エレベーターの上を押して屋上に向かった。
屋上に着くと昨日と何も変わらない広場に出た。
(ではここから隣のビルに飛びましょう)
無機質にウリカちゃんが言った。
「うん、そうね。って飛べるかー!」
(スーツのおかげで問題ありません)
「いや、でも一番近いビルでも50mは離れて見えるよ?」
(余裕ですね)
「余裕なのかよ…」
確かに1万倍以上の身体能力なら余裕なんだろうけどさ、やっぱり怖いよね。
(男の子でしょ?頑張って)
「ググ…確かに男の子だけどさ…おじさんだし」
(スーツのAIがよろしくしますので気軽にポーンと飛んで下さい。失敗しても37は痛いだけですから)
「ポーンて…失敗したら死ぬほど痛いじゃん」
(仕方がないですね…ではまずジャンプの感覚を覚える為に屋上に出て来た扉の建物の上に飛び上がってみて下さい)
「扉の建物…」
確かに出て来た所は小さい建物になっている。だがそれでも高さは3mはあり普通の人間には飛び上がる事は出来ないだろう。
(ガイドを出します)
ウリカちゃんがそう言うと目の前に建物に飛び上がる移動の線が映し出された。
これに沿って飛べばいいのか。
「こりゃ便利!」
何となく行けそうな気がして来たのでやってみる。
建物から少し離れそこから走り出した。
ガイドの従い飛び上がる地点で思いっきり上に飛んだ。
が、まるで階段の一段を上がるような感覚で無駄に飛び上がらず忍者の様にスッと音もなく建物の上に上がったのだった。
「何これ?気持ち悪い!」
気持ちはポーンと飛び乗るつもりがスッと乗ってしまい拍子抜けだ。
(AIが状況に合わせて制御しているので無駄な動きが無くなっています)
「はあ〜AIすごいのね〜」
(これで大丈夫ですね、本番を行いましょう)
「え、う、うん…」
ここに上がった感覚が呆気なさ過ぎて全く実感がない。
とりあえず建物から降りた。
降りる時もまたしても階段を1段降りるような感覚でスッと降りた。高い所から降りた衝撃もなく足にも何の負荷は無かった。
気持ち悪い。
(おめでとうございます。能力、抜足差足が発現しました)
「抜足差足?」
(高低差関係なく音も無くスムーズに移動出来る能力です)
便利ではあるがまるで忍者だが…
「地味だな… そうかこの変な感覚は能力だったのか」
(抜足差足には上位能力があり使い込むと上位の能力が発現する可能性があります)
「へー能力はグレードアップできるんだ?」
(抜足差足、気配遮断、分体歩行、最上位がHANZOU!です)
何で最後だけカタコト発音?
「それは…HANZOUって人の名前じゃん!能力なのそれ?」
(HIRO忍術系最上位の能力です)
「うん、忍者だね…」
「もしかして服部半蔵ってHIROだったとか!?」
(昔の忍者で有名な人ですね。そうかもしれません)
何と、そんな昔からHIROは存在していたのか…
他にも同じ様なHIROが居そうだな。
歴史に名を残した偉人が全てHIROとは思わないがもしそうだとするとHIRO達がこの世界に大きく影響している可能性がある。
(では本番用のガイドを出します)
マスクに隣のビルへの移動奇跡が表示された。その次のビルへ移動する奇跡も表示されている。
「ちょっとウリカちゃん!ガイド最後の方、ビルから飛び降りる感じになってるんだけど!?」
(大丈夫です37は落ちても死にませんから)
ウリカちゃんが無機質な声で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます