第4話 不動産の賃貸
クモの糸はだめだった…
そして無意味なポーズもやめておこう。
精神的なダメージが大きい。
「うーむ、次はあれだな。すごく早く走れる能力!」
(HIROの定番ですね他のHIRO候補達も取り敢えず試す能力です)
「そうなんだ? んで? その能力を取れたやつはいるのかい?」
(他のHIROについては今はまだお知らせできません)
「まあみんな試してるなら一人くらいいそうだけど」
「よしとりあえず思いっきり走って見るか」
屋上は端から端まで長い所で50m位あった。
鏑木は端まで行くと走る構えを取る。
「おらー!」
おっさんぽい掛け声と共に名一杯ダッシュした。
「くおーっ!」
程なくして反対側の端にたどり着く。
(50m全力、タイム4秒38)
「ゼーハー、ゼーハー、ゴホッゴホッ!」
(大丈夫ですか?37、呼吸が乱れてますよ)
「ちょ、ハァハァ。タンマ…ハァハァ」
3分後ようやく喋れる様になった。
「ハァハァ、それで?何秒だって?」
(4秒38です)
「おお!俺が中学の時に6秒後半だったからめっちゃ早いな!」
(ちなみに高速移動能力を持っているHIROの50m平均タイムは0.2秒です)
「…」
「超絶遅いじゃないか…俺…」
(一般の成人男性に比べれば驚異的な速さです)
「そりゃこの年にしたら早いだろうがこりゃ使えないな」
「しかもめっちゃ疲れるんですけど?HIROが50m走って死ぬほど息が切れるってどうなのよ?」
(それは37ですから仕方がないですね)
「HIROってそういうの身体強化されるもんじゃない?」
(されてますよ4秒38ですから)
「微妙すぎる…」
(今後、他の能力を発現する事で能力値も上がるので今よりは早くなる可能性があります)
「簡単には行かないという事か…」
(では次を試して下さい)
「次か〜」
「何があるかな… そうだなHIROと言えば怪力!」
「大岩をヒョイと持ち上げるとか良いじゃない?」
また鏑木は目をキラキラさせた。
(ではそこにある石を持ち上げて下さい)
見るとアンテナを固定するために50cm角のコンクリートブロックがあった。
「よっしゃなんか出来そうな気がしてきた!」
ブロックの前に立ち両手でブロックの側面をガシッと掴んだ。
「ウオォぉリャー!」
「うおおおおおー、こ、腰がぁーーーー!」
モロに腰に来た。
倒れ込みゴロゴロとのたうち回った。
「ハァハァ、こりゃ暫く動けねえな…」
と思ったら痛みはまだあるが立てそうな感じだ。
「あ、あれ?完全にギックリになったと思ったけどな」
(おめでとうございます。能力を発現しました)
「え?どういう事?」
(能力名、
「
(どう聞けばそう聞こえるのですか?不屈の身体です)
「お茶目なジョークだよ〜」
(ジジイギャグというやつですね)
「オヤジね!まだジジイじゃないから!」
(不動の身体は受けたダメージは一旦身体に影響されますが強固な信念でダメージを無かった事にする能力です)
「どういう事?」
(つまり骨が折れようが腕がもげようが心頭滅却すれば火もまた涼しの根性で何も感じないという事です)
「いやいや、折れたりもげたら根性じゃだめでしょ!?)
(そういう能力ですから痛みは普通に感じますが根性でダメージはありません)
「根性で痛みもなくそうよ?」
「ああ、つまりさっきのは重い物を持ち上げてギックリ腰になったけど根性で治ったと?」
(その通りです)
「でも俺。根性ねえよ?」
(その通りです)
「そこは否定してよウリカちゃん」
(37は特別なHIROとして能力が発現し易くなっています。良かったですね)
ウリカちゃんは無機質に言った。
(まあそれでもこの能力は根性がなければ発現しませんので37は少しは根性があるのでしょう)
「ふふ…わかってるじゃないか、世間のしがらみ、上司からは無理言われ部下からは不満を聞かされ理不尽な社会を生き抜いて来たからな少しは根性もあるさ」
鏑木はニヒルに笑いながら屋上から見える景色を感慨深く眺めた。
すると建物の上を飛び跳ねて移動する人?が見えた。
「なあ、あれって…屋上をすごい勢いで移動してるけど?普通の人間にあんな事できないよね?」
(おそらくHIROシークエンスプログラムをインストールされた者ですね)
良く見てみるとピチっとしたライダースーツの様なスーツを着ており全身が赤くピンク色の蛍光色で要所に線が入ってすごくHIROっぽい。
顔はマスクの様な物を被っておりわからないが腰までありそうな綺麗なピンク色のストレート髪を靡かせている。女性っぽい。
「ウリカちゃん知ってるんじゃないの?」
(私の担当ではありません)
「そうなんだ…」
担当か…他にもウリカちゃんみたいな人がいるのか。
赤い人影はさっきよりこのマンションの近づいて来ている。この近くを通るつもりらしい。
それでもまだ300mは離れているだろうか。
「あのスーツかっこいいなぁ、まさにHIROだね」
(忘れていました。能力を発現出来たHIROは
「初期パック?」
(HIROとして活動する為の七つ道具です。その中にスーツも含まれます)
「そうなの!?ちょっとワクワクして来た」
あんなHIROスーツ着るのか…
通り過ぎようとしている赤い人影を良く見た。
ヒュンツ
「な、なんだ?」
目の前にモニターの様な半透明の画面が現れた。
HIRO レッドクイーン
本名 ----
年齢 18歳
能力 スーパージャンプ・重力軽減
潜在 スーパーフレキシブル・キャットウォーク・キャットファング
好物 猫
「あ、これがHIROの能力を検索出来るってやつか」
(その様ですね、因みにエクストラスキルを持っているのは37だけかも知れません)
「おーそうなの?すごいね!」
(ええまあ…)
「しかし、18かよ。若いな…」
「この潜在ってのはまだ発現していない能力かな?」
(そのようですね)
「猫好きってだけあって猫っぽい能力があるな、でもこれ本人はまだ知らないんだよな~」
(37、その情報を漏らしたらHIROでは無くなり記憶も消えますよ)
「そういやそうだったね、本人には言っても大丈夫なんだよね?」
(はい、ですがお勧めしません)
「ああ、自分で発見しないと能力がしょぼくなるんだっけ?」
「きっかけだけでも教えてあげたいよな~」
(ダイレクトに能力に関わる事でなければ問題ありません、例えば猫好きなら猫の真似をしてみたらどうか?など)
「ほほう、そういうアドバイスはできるのか」
「それにしてもHIRO名もかっこいいな!、俺もあんな感じになるかな?」
(何を言っているのです?37は既にHIRO名は決定しています)
「え?そうだっけ? なんだっけ?」
(…)
「ウリカちゃん、ちょっと呆れてる?」
(37のHIROネームは HIROサーティーセブン! です)
「ぐお!そ、そだった… 年齢をそのまま使われたんだった…」
「もっとカッコイイのにしようよ~?」
(却下です)
相変わらず厳しいなウリカちゃん…
おじさん泣いちゃうぞ…
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