第18話 エドラゴンで仕入れ
朝食を摂った後、自分の部屋で簡単に出かける用意をしている。
あれから4日経ち、アメリアと約束した日になった。
「今日は冒険者として初めての依頼なんだ!」
「はい、気を付けて行ってらっしゃいませ」
「万が一何かあったら、石で知らせて」
「かしこまりました…」
ニコラウスのその声を聞き、エンドの姿に変身した俺はマルクへ転移した。
ギルド裏手にある人目に付かない路地に転移した俺は、とりあえずギルドの正面へ廻り中へと入って行く。
見覚えのある受付の女性を見つけた。
「シンディさん、おはようございます。今日は良い天気ですね!」
「あ、エンドさん!おはようございます。マスターが執務室でお待ちになっております。そのまま奥の階段からお入りください」
シンディさんにお礼を言って階段を上がる。
執務室は3階にある。
軽くノックをすると「入ってちょうだい」と中からアメリアの声が聞こえた。
「おはようございます、アメリアさん」
「おはよう、エンド。早かったのね?」
「そうですか?ご迷惑でしたか?」
「え、いや…そういう意味じゃ無いのよ。思ったより早かったなぁ~って思っただけで……ほら、用意とか何とか時間が掛かるかな~って、ね?」
「?アメリアさんは今日も綺麗ですが?」
「えっ!!」
用意とか言っているけど、髪はキレイに梳かれているのかサラっと艶やかだし、お化粧もバッチリされている。
「あ、貴方、会う女性みんなにそんな事ばかり言ってるのかしら?」
「いえ、アメリアさんだけですけど…」
「も、もう良いわよ!何だか、私だけ恥ずかしいじゃない…それで、いつ頃エドラゴンへは出発するつもりかしら?」
「いつでも良いですよ?」
俺はアメリアの前に右手を差し出した。
アメリアがその手を握る。
(転移)
ちょうど木陰になっており朝の涼やかな風が吹いていた。
「え?ここは何処?」
「あそこを見て下さい。向こうに海が見えるでしょ?その手前にある町がエドラゴンです。ここからなら、歩いてすぐですよ」
俺が指差した方角には、緩やかに下っていく斜面が広がる。
その向こうには、石造りの家々が立ち並ぶ昔ながらの風景がアメリアの目にも見えていた。
「もう着いたの?ホントに一瞬ね…」
「さ、時間が勿体ないですから行きましょう!」
「え、ええそうね。考えるのは後にしましょうか。まずは明日の晩餐を何とかクリアしてからよね!」
「その意気です!頑張りましょう!」
魔物対策として、町の周囲はある程度の塀で覆われているが、規模はそれ程でもない。
行商の人々が多く見られ、さすが港町と言ったところだろう。
だからと言って入り口でそんなに待たされることも無く、衛兵にギルドカードを見せて俺たちは町へ入った。
町は活気に溢れていた。
「
「て、手を……ええ、繋ぎましょう。は、逸れるといけないものね!」
「顔が少し紅いですが、大丈夫ですか?とりあえずカフェかどこかで休憩しましょうか?」
「だ、大丈夫だから!久しぶりにマルク以外の街に来たものだから、楽しくて…」
「そうなんですね。疲れたらすぐに言って下さいね?」
そのまま俺たちは歩き始めた。
さあ、初めての依頼だ!頑張るぞー!
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