第14話 アメリアの心
「ありがとうー!!」
「うぉっ!!?」
突然、アメリアが飛びついて来た。
ソファに座っていた俺の顔はアメリアの見事な双丘に埋もれてしまっている。
「ありがとう!ホントにありがとう!ああ、もうどうしようって思ってたから、これが解決しただけでも今日からやっと寝られるわ…」
「ア、アメリア……さん、ちょっと苦し、い、かも」
「あら、ごめんなさい。オホホ」
抱き着くのは止めてくれたが、何故か隣に座って腕を絡めてくる。
「あのぅ、アメリアさん?」
「何かしら?」
「とりあえず、その…エドラゴン?って町の場所を教えて貰えませんか?地図があればすぐにでも行って来ますので」
「地図は無いのよ。勝手に地図なんて作っちゃうと、さすがにギルドマスターでも重い罰則があるから嫌よね~。ちょっと待ってね」
アメリアはそう言って簡単な地図を手書きで書いてくれた。
「今居るマルクがここね。ここから東へ、小高い丘陵が見えるからそれを目印に真っ直ぐ、ほぼ一本道だから迷わないと思うけど…、馬車で3日行けば海の近くに町があるわ。それがエドラゴンの港町よ!」
「3日か…1500㎞ほどかな?それなら…」
「何か言った?あ、移動する手段と護衛はこちらでちゃんと準備するから安心してね。ポーターの貴方一人で活かせる程薄情じゃないから!」
「いえ、今から早速行って来ます」
横に座ってピッタリくっ付いているアメリアから離れて立ち上がる。
(
「え、いや、今からすぐはさすがに護衛のメンバーが揃えられないわ!馬も手配する必要があるし……」
「え~っと、
「え?」
「アメリアさん一つお願いがあるんですが?」
「あ、え、何かしら?」
「このギルドの場所を
ホントに飛んで行っちゃった……。
部屋にある大き目の窓から「行って来ますね!」なんて、そんな風に人を見送った事なんて初めてなんだけど。
何だかここ数日寝不足だったのもあるけど、どうもさっきの事も夢の様に感じてしまうわね。
そういえば、彼ってまだ今日初めてギルドに来て冒険者登録しただけだ、って言ってたわよね?
そんな人を簡単に信じて、私はギルドマスター失格よね。
ふふ、まあいいわ……。
別にこれが失敗したって、私の首一つで何とかなるでしょうから他のギルド職員たちには迷惑掛ける事はないわね。
でも、なぜかあの人は、エンドは信じられる。
必ず私にとっての一番良い結果をもたらしてくれる。
そんな気がするの。ただの、勘だけどね。
女の勘は馬鹿に出来ないわよ?って、誰に言ってるのかしらね?うふふ。
報酬は何が良いかしら?
とは言ってもお金を出すのはあの親バカ伯爵だから、少し吹っ掛けてやろうかしら?
この件が上手くいけば最低でもガーネットランクへはアップして貰おうかしら?
ギルドマスター権限を使って…少し強引でも良いわよね?
彼の能力が世間的に広まってしまう前に、彼自身が自衛出来るくらいのランクに達しておいて貰わないと、この国にとっても大きな損失になってしまう。
一度大きく深呼吸してからアメリアは窓を閉めた。
ふと見たテーブルの上には、エンドが残していったサンドイッチと飲み物が置いてあった。
「不思議な人」
口に入れた飲み物は冷たくて、アメリアの喉を潤した。
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