第7話 冒険者ギルド

翌日、さっそく俺は冒険者ギルドへ向かっていた。

ステータスを見れるようになったし(と言っても基本的に変化はないが)、今後の生活の為には一にも二にも金を稼ぐ必要があるからだ。

アウストロス男爵家はどちらかというと貧乏っぽいのだ!


浮遊魔法で飛んで行けば、30分ほどで着く所にそれはある。

アウストロス男爵領から一番近く、フォルーゲン王国第二の都市マルク。

執事のニコラウスに聞いておいて正解だったな。

実は俺の世話をしてくれてるニコラウスは、若い頃は冒険者をしていたらしい。

職業は教えてくれないけど、剣とか格闘では全然勝てないから、結構強い職業なのではないかと思っている。

ちなみにフォルーゲン王国自体は、大陸では4番目位の大きさの国である。

その辺ももっと勉強しないとな。


マルクへ入る時には証明が必要になるので、あらかじめ用意して貰った家紋入りの短剣を衛兵に見せる。


「ん、君は一人で来たのかね?他に護衛か家族とかはいないのかね?」

「はい、近くまでは馬車で一緒に来たのですが、馬車が故障してしまい動けなくなってしまったんです。人数が少ないので御者だけで置いておく事も出来ないので、僕だけで何とかここまで来ました」

「なんと、場所は何処かね?衛兵詰め所で助けを‥‥‥」

「あ、いえ、街にある知り合いの商家に言えば大丈夫だと、父にも言われて来ましたので、そこへ行けば多分大丈夫だと思います」

「そうかね。それなら、早く行った方が良いな。気を付けてな!」

「はい、ありがとうございます」


こうして俺は、とりあえずマルクの街へ入ることが出来た。




(目立たない色のローブで来ているが、なるべく早く変化した方がいいな)

そう思いながら、細い路地を曲がり奥へ入る。

一本奥の路地から出てきた時には、18歳になったレントの出来上がりだ。


「いや~、便利だな。身長も伸びたし顔の輪郭も髪の色も変えてあるから、俺がレントだと分かる奴は家族でもさすがにいないだろうな」


初めて変化してみたが、まあまあ納得の容姿になれたんではないだろうか?

よし、この姿でさっさと冒険者ギルドで冒険者登録してしまおう。

そうすれば他の街へも簡単に行ける。


「さてさて、ギルドは何処にあるのかね~」


中央の大きめの通りを屋台の匂いに釣られながら歩いていると、通りの左手に看板が見えた。


「ここか?」


冒険者ギルド、マルク支部と書いてある。

間違いないだろう。



扉を開けて入ってみると、中は結構広い。

エントランスの中央部分が受付けのようだ。

俺は、3人程並んでいる受付嬢らしき人に話しかける。


「あの、すいません。冒険者登録したいのですが、ここで良いですか?」

「はい、こんにちわ。ギルドへようこそ!ここはマルク支部になります!」

「あの、どうすれば?」

「ではこちらの用紙に、お名前と職業をお書き下さい」


俺は受付けの女性に言われるまま、カウンターに置かれた紙に記入する。


(名前は‥‥‥『エンド』っと。職業は‥‥‥『ポーター』っと。よしっ!)


「書けました」

「では申し訳ありませんが、この石板に手を置いて頂けますか?」

「はい」


言われた通りにする。

すると石板は少し淡い光を出した後、手を置いている上の部分に〈0〉と表示された。


「魔力が………無い?……なんで?」


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