第2話 いざ祝福の儀
目を覚ますと、白い天井が見える。
「ようやくか…」
今日は俺の7歳の誕生日だ。
俺はこの日を心待ちにしていた。
この世界では満7歳で『祝福の儀』でその人の”職業”が決まる。
俺の兄姉たちも、そうやって自分達の”職業”を得ている。
転生して以来、あの幼女神とは一度も会う事はなかったが、まさか0歳児の産まれたてから始めなければいけないとは予想もしていなかったが……。
かと言って、ただ怠惰な時間を過ごしていた訳ではない。
『魔法』が使える世界であることは分っていたので、両親の目を盗み魔法の本を読み漁っていた。
火を付けたり、水を出すことは出来なかったけど、[亜空間収納]と[浮遊術]は出来るようになっていた。
火や水、あと土と風。それに闇と光を足して『属性魔法』と呼ばれるらしい。
それ以外は『系統外魔法』と呼ばれ、付与魔法、つまりはバフやデバフみたいな魔法も系統外魔法に分類されるみたいだ。
幼女神があげるって言ってた『加護』ってやつの正体も分からんままだしな。
「坊ちゃま、そろそろ起きる時間でございます」
執事のニコラウスが部屋のドアをノックして入って来た。
「ああ、おはようニコ!もう起きてるよ!」
「良い心がけですな」
ニコラウスの後ろから入って来たメイド二人は、俺を着替えさせながら髪も綺麗にしてくれる。
「今日はレント坊ちゃまの祝福の儀でございます。きっと素晴らしい一日になるでしょうな」
「ああ、そうだね。とても、楽しみだよ!」
朝食を摂るために食堂に降りてみれば、家族が全員揃っていた。
祝福の儀がある時は、家族全員で見送るのがこの家の習わしになっている為だ。
「おはよう!シエラ姉さんも起きているなんて、珍しいね?」
「…ああ、おはようレント。そうね、頑張って起きたのよ…サンドラに起こしてくれる様に頼んでね」
シエラ姉さんとサンドラ姉さんは双子だから見た目はそっくりなんだけど、性格は面白い位に正反対だ。
「父様、おはようございます。マリステラ母様おはようございます」
「おはよう」「おはよう、レント」
「昨日は、よく眠れたかね?」
「はい、父様。とても!」
「うむ。それは良かった」
父であるレオニダスと朝のあいさつを交わしているのを、にこやかに眺めているのはマリステラ母様で、このマウストロ男爵家の第一夫人。
その隣に座っているのがマリステラ母様の子供で長兄のタウロス。
俺の母親であるサラは第二夫人だ。
サラの隣に座っている次兄のアーサーは俺の実兄で、サラの子供という事になる。
シエラとサンドラの姉妹はマリステラ母様の子供になるが、どちらにしろ俺がこの家では一番下の子供なのだ。
全員と軽くあいさつを交わし、自分の席に着く。
「レント、今日の祝福の儀には私が付いて行こう」
「え、タウロス兄さん?良いの?」
「ああ、今日と明日は記念日らしくてな、学園の方も休みなんだ。お前はまだ幼いし、万が一という事もあるからな。護衛代わりにな」
「やった!ありがとうタウロス兄さん!」
俺の第二の人生がいよいよ始まろうとしていた。
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