闇の城防衛戦(二)
ルイエルから来た兵士さん達の攻勢が続く
『玉座の間』に戻る前に子供達の大部屋に立ち寄ると、エミーロ君が驚いて剣の柄に手を掛けました。年長の彼は一人だけ護身用に剣を持たされていたのです。
「なんだ、ロナか。びっくりした」
「すみません、驚かせてしまって。大丈夫ですよ、アイナさん達が守ってくれますからね」
不安そうに身を寄せ合う子供達を励ましたつもりだったのですが、私の言葉とは裏腹に
何か大きなものがぶつかったような、地震のような音です。女の子達の悲鳴が重なり、年少のエラン君が泣きそうになるのを必死にこらえています。
裏門を守るのはフリエちゃんとマエッセン、それから熊のぬいぐるみのポンタです。もしや彼らの身に何かあったのでしょうか。
「ちょっと様子を見てきます。皆さんはここにいてください」
「俺も行く。毎日骸骨のおっさんに
エミーロ君はそう言いましたが、剣士としてはまだ半人前です。シャルナートさんにも「今のお前はただのガキだ。大人しくしてろ」と言われていました……私と同じように。
でも、それだけに私には彼の気持ちがわかってしまいます。誰かが私達のために戦っているのに大人しく守られていることなど、できるはずがないのです。
「はい、行きましょう。一緒に!」
「おう!」
冷たい通路の石床を蹴り、二人並んで駆け出しました。未熟な私達でもお役に立てることがあるはずです。
エミーロ君と私が到着した頃には、裏門は大乱戦になっていました。三十人ほどはいる兵士さんの間をポンタが猛然と駆け回り、あたりは騒然としています。
一人で門を守る
「マエッセン!フリエちゃんはどこですか!?」
「ザイドフリード!どうしてアンタが来てるのよ!」
「ザイドフリード先生、だ。お前には魔術より先に、年長者に対する礼儀を教えるべきだったな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます