囚われの吸血鬼(二)
立派な応接室です。お尻が沈み込んでしまいそうなふかふかの客椅子、細やかな装飾が施された
この中年太りの領主様には一度お会いしたことがあります。
「やあ、ロナリーテちゃんだね?呼び立ててしまってすまないね、よく来てくれた」
「ひゃ、ひゃい。どうも……」
ご挨拶に続いて、使用人の方々が続々とやって来ました。手に手に大きなお皿を持ち、ワッフル、クリームタルト、ベニエ、マドレーヌ、テーブルから
「さあ、好きなだけお食べ。紅茶も王都から取り寄せた品だ、是非味わってくれたまえ」
……おかしいです。前にお会いした時の領主様はもっと偉そうな印象だったのですが、本当は良い人だったのでしょうか。
それに、胸の奥で眠っている闇がもぞりと少し動いたような気もします。ちょっとだけ悪い予感もしますが、予感だけで人を疑うのは良くないことだと思います。
「村から連れて行った子供達は元気かね?」
「ひゃ、ひゃい。エミーロ君も、ブーケちゃんも、サリアちゃんも、みんな元気です」
「それは良かった。私も心配していたのだよ」
「すみません、勝手に連れて行ってしまって。みんな困っていたようなので、その、助けてあげられたら良いなって」
「こちらこそすまないね、みんな喜んでいたかい?」
「はい!ですからその、あのお城で、みんな一緒に住んでも良いですか?」
「もちろんだとも。きみは優しいんだね」
「えへへ……」
良かったです。シャルナートさんはああ言っていましたが、お話ししてみるとやっぱり領主様も良い人でした。お城のみんなに伝えたら喜んでくれることでしょう。
「ところでロナリーテちゃん、
「え?レントです。ロナリーテ・レント」
「やはりそうか。魔血伯ロサーリオの娘さんだね?」
「そうです。あの、お父さんをご存じなのですか?」
「知っているという程でもないがね。
「はい。そうらしいです……」
「お気の毒にね。さあ、冷めないうちに紅茶をどうぞ」
「あ、はい。いただきます……」
……その後も少しお話をしたと思うのですが、よく思い出せません。急にものすごく眠くなってしまって、目の前が暗くなったり明るくなったりを繰り返して……窓の外に
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