闇の城の日常(一)リーゼロッテ
リーゼロッテ、リゼは若い女性の
白金色に波打つ髪が黒い侍女服に
彼女が生きていたのは二百年以上も前。当時この城にはお父さんの他に、魔族と
なぜ彼女が
リゼは書物が大好きで生前からこの城の書庫の本を読み
ところが
そういった事情もあってか地理や歴史に非常に詳しく雑学も豊かで、この城の盛衰も見守ってきたため様々なことを知っています。私が望めばお父さんやお母さんのことを話してくれることもありますが、あまり自分から余計なことを話さないようにと決めているように思えます。
……ところで、そんな彼女には秘密があります。今日はそれを暴くべくフリエちゃんと図書室にやって来ました。ひんやりと冷たい図書室のさらに奥、目立たないように黒いカーテンで隠された扉の前に二人で立ちます。
「……ここです」
「……ここね?いくわよ」
これは魔術師であったお母さんが作った、魔術師にしか開けられない扉。当主であるお父さんでさえ立ち入ることはできませんでしたが、リーゼロッテは扉をすり抜けて自由に出入りできるのです。
ですが今、ここには魔術師であるフリエちゃんがいます。とうとう秘密が明かされる時が来たのです。
「我が生命の精霊、偽りの鍵となりてその封を解け。【
静まり返った図書室に、かちゃりと鍵が開く音が響きました。フリエちゃんと顔を見合わせた私は恐る恐る
扉からいきなり青白い
「きゃあああああ!!!」
「ぴええええええ!!!」
驚きのあまり、フリエちゃんと私は揃って後ろにひっくり返ってしまいました。すぐに
「リ、リゼ……びっくりしました」
「ちょっと、なんで
フリエちゃんも抗議したのですが、リゼは口と目をいっぱいに見開き、歯を
リゼは図書室の床に尻餅をついたままの私達を見下ろして、人差し指を立てました。私達の頭の中に直接語りかけます。
ふんふん……「この中には闇の書物が詰め込まれている?」「闇が深すぎて私達には耐えられない?」「子供が読むと精神に異常をきたしてしまう?」
などなど怖い顔のまま早口でまくし立てるので、私とフリエちゃんは再び顔を見合わせてしまいました。
「そんなこと言われたら余計に気になるじゃない!」
「やめておきましょう。リゼも嫌がっているみたいですし」
「つまんないわね、また来るわ!」
まだフリエちゃんは興味津々の様子でしたが、名残惜しそうに振り返るとものすごく怖い顔でリゼに睨まれてしまいました。
この扉の奥にはどれほど怖い書物が納められているというのでしょうか……。
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