ルイエル鉱山の腐魔(九)
ここは人口三十万人、エルトリア王都フルートよりも栄えていると言われるガラ・ルーファの町です。
綺麗な石畳の上を馬車が行き交い、表通りに建ち並ぶ店も、道往く人々もどこか洗練されていてお
さて。買い物に出かけるというシャルナートさんと別れて、私とアイナさんは冒険者ギルドにて
「ロナちゃん、何でも好きなもの食べていいよ!ハンバーグでもお子様ランチでも何でも!」
「えへへ……はい、では
「そんなのばっかり食べてたら大きくなれないよ?すみませーん、この子にお子様ランチ!」
「えええ!?あの、その、せめて
ところがアイナさんが三皿目のハンバーグを食べ終え、私が三杯目の
「……嫌な予感がする」
口の周りにソースを付けたままアイナさんは
「あいつ
結局シャルナートさんが冒険者ギルドに姿を現したのは、陽が傾き始めた頃でした。
「いやあ、悪い悪い」
「遅いよ、シャル。で、どうだった?」
「何が?」
「食料と薬、手配できた?」
「それがさ。王道の芝二四〇〇右回りなんてスペシャルワンダーで決まりって思うじゃね?まさかビッグファーマーとか、これはびっくりよ」
「……で、いくら負けたの?」
「全部」
「全部!?十万ペル!?」
「だから悪いって。すぐ返すからよ」
「ばーか!もう知らない!行こ、ロナちゃん」
その夜。裏通りの安宿で休んでいたアイナさんと私は、階下の食堂からの拍手と大歓声で目が覚めました。
とても寝られそうにないので様子を見に行くと、胸元と太腿を
「♪そこに
絶世の美貌と大胆な衣装、それとは対照的に繊細な歌声と華麗な演奏に、お客さん達は
「あいつ、またあんな格好して……」
「お知り合いなのですか?」
「あれ、シャルだよ。
「えええ!シャルナートさん!?」
翌朝。「悪かったって言ってんだろ?」と言って銀貨と銅貨がたくさん入った袋を朝食のテーブルに乗せたシャルナートさんは、ぼさぼさに乱れた髪に着崩した旅服という格好で盛大に
昨夜の綺麗な歌い手さんは本当にこの人だったのでしょうか。私にはちょっと信じられません。
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