第二章 闇の城騎士団
ルイエル鉱山の腐魔(一)
「うう……頭が痛いです」
それだけではありません。足元がふらつきます、ちょっと吐き気もします。昨夜調子に乗って
頭を押さえつつ
「おはよ、ロナちゃん。こいつは冒険者仲間のシャルだよ」
「おう、可愛らしい嬢ちゃんじゃねえの」
「ど、どうも。ロナです。よろしくお願いします」
「嬢ちゃん、
「え?レントといいます。ロナリーテ・レント」
「ふうん。俺はシャルナートだ、よろしくな」
先程私は長身の女性と言いましたが、それは薄茶色の長い髪の印象が強かったからです。でも顔立ちは中性的だし、体の起伏もほとんどありません。それにこの人はご自身のことを『俺』と言いましたから、もしかすると男の人なのかもしれません。
「で、こいつも連れて行くんだな?」
「どうする?ロナちゃん」
「えっと、お話が見えないのですが……」
お二人が話していたのはシャルナートさんが
私は
「ええっと……では私も参ります。すぐに支度しますね」
お気に入りの落葉色のワンピースに着替え、二日酔いと車酔いを我慢すること丸一日、ようやく乗合馬車は小さな集落にたどり着きました。限りなく広がる深い森を見下ろす山の中の村、ルイエルです。
「ロナちゃん、あれがルイエルの村だよ」
「あ、はい。承知しています」
「ロナはこの村のこと知ってんのか?」
「私のお家から一番近い村ですし、先日ここからアイナさんと馬車に乗りましたので」
ふーん、と馬車の窓枠に頬杖をつきながら、興味が薄そうに相槌を打つシャルナートさん。私は上目遣いに彼女を観察しようと思ったのですが、目が合ってしまったので慌てて寝たふりをしました。
この人はアイナさんのお友達らしいのですが、手入れされない顔や髪といい、着崩した服装といい、どこか軽薄そうな態度といい、私はちょっと……苦手な人かもしれません。
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