夢魔の館(五)
「いやああああ!来ないでください!!」
「連れないじゃないか、魔血伯。僕に罪を
「もういいですぅぅぅ!!!」
大きすぎる
その顔に浮かぶ微笑も、その手に持つ剣も恐ろしいのですが、それよりも何よりも、股間にぶらぶらと揺れるものが気になって仕方ありません。せめて下着くらい着ければ良いのにと思いますが、もしかするとわざとかもしれません。広い世の中にはそういった嗜好の人もいると、物知りのリーゼロッテから聞いたことがあります。
「捕まえたらどうしてあげようかな。僕は君くらいの歳でも全然構わないんだよ」
「へ、へ、変態さんです!
必死に逃げ回っていた私ですが、そう広い館でもありません。とうとう行き止まりの壁を背に、変態さんに追い詰められてしまいました。そうです、ここには
「り、【
両手に握った短剣がにわかに闇を
「面白い
「お断りしますっ!」
激しく剣を合わせて突き放すと、
私の腕力ではありません、質量の差です。
続いて限界まで身を軽くした私は高く跳躍して壁を、さらに天井を蹴って
「どうしたのかな?僕の顔に何かついているかい?」
「か、顔には何もついてません!」
「どこに何がついているのかな?言ってごらん」
「ふえええええ……」
むしろそれを
冷静になればもっと戦えると思うのですが、どうしても目のやり場に困ってしまい……そうです、見なければ良いのです。私は両目を強く閉じ、
「ふふ、それで良いのかい?魔血伯。ならば決着をつけるとしよう」
「……」
これでも腕に自信はあります。感覚の鋭い魔族です。相手の殺気に反応するくらい……できると思います。
……来ました。滑るように右足、続いて大きく左足を踏み込んできました。予想通りこちらの小手狙いです。
瞬間、目を見開き、相手の剣を巻き落とします。入れ替わりに大きく踏み込んで必殺の
「き、貴様……」
「ぴっ……」
「貴様あ!許さんぞクソガキ!!!」
「ぴえええええ!!!」
私はお腹を突き刺したつもりだったのですが、身長差を頭に入れていませんでした。
これは駄目です、どんなに謝っても許してくれそうにありません。私は息を切らして必死に逃げ回りましたが、その先の角からアイナさんが現れました。もう駄目かもしれません!
「ロナちゃん、頭下げて!」
「ひゃ、ひゃい!」
頭を抱えて滑り込んだ私の上を、
恐る恐る後ろを向くと
「あの……アイナさん、心臓、食べますか?」
「はあ!?何それ、食べるわけないでしょ!」
良かったです、アイナさんは魔貴族の力が欲しいわけではありませんでした。それに
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