夢魔の館(三)
床に落ちたぬいぐるみは見る間に膨れ上がり、ついには私よりも、アイナさんよりも大きな茶色熊に姿を変えました。私の大切なお友達、ポンタの本当の姿です。
「
ポンタはその巨体で女性達を跳ね飛ばし、
「
腰の短剣を抜き放ち
小さくても私は魔貴族です、身体能力は
「くっ……アイナさん、私です、ロナです。忘れてしまいましたか!?」
私の声はアイナさんに届かず、力任せに突き放されて刃を交えること数回。これでも腕に覚えはある方なのですが、竜巻のように風を巻いて振り回される大剣をとうとう受け損ねてしまいました。肩口から胸にかけて切り裂かれ、鮮血がこの身から噴き出ていきます。
それどころか、剣に切り裂かれたポンタの傷口から綿がはみ出しています。賢くて優しいポンタは周りの女性を傷つけないように戦っているので、このままでは勝ち目がありません。
『ロナ、人の血を吸ってはいけません。未熟なあなたが闇の力に頼れば、心まで闇に染まってしまうから』
お母さんはそう言っていましたが、アイナさんも、ポンタも、大切なお友達です。私が弱虫なせいで友達を失ってしまったら、私は自分を許せなくなってしまいます。
ごめんなさいお母さん、ロナは悪い子になります。今はどうしても力が欲しいのです。私は
「し、失礼しましゅ!」
そしてアイナさんの首筋に嚙みつきました。できるだけ痛くないように、でも血が出るまでしっかりと。褐色の肌に血が
「……少々物足りぬぞ、アイナとやら。
我らが血を吸うは、この身に闇を宿すため。
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