夢魔の館(一)
奇妙に
ただ、館の周りは綺麗に刈り込まれていて、前庭にはお花畑もあります。その中にはお花のお世話をしている若い女の人が一人。
「こんにちは!あなたが
「……」
アイナさんが元気よく挨拶をしたのですが、女の人はまるでこちらに気が付きません。それどころか、どこかふわふわとした手つきで一心に雑草を抜いています。
「たぶん違います。
「叩き起こした方がいいかな?」
「起こすのはともかく、叩くのはちょっと……」
どうやら若い女性を
吹き抜けの玄関
毛足の長い
「ロナちゃんは
「いいえ、お会いしたことはありません」
アイナさんはこちらを振り返らなかったので、お尻に向かってお話しすることになってしまいました。大きなお尻だなあ、と思ってしまったのは内緒です。
「同じ魔族なんでしょ?ぶち殺しちゃっていいの?」
「良くはないんですけど、でも、女の人を
「だよね! よし、遠慮なくぶった斬ってやろう!」
「それに……
「なにそれ! 絶対許せないじゃん、そんな奴! ち○こ切り落としてやる!」
「アイナさん、お下品です……」
館のご主人を探し回った私達はやがて、二階の角部屋の前で立ち止まりました。
扉の奥から人の気配と甘い匂いが漂ってきます、おそらくこの部屋の中に
「頭ち○こ野郎、覚悟しろ!」
言うが早いか、アイナさんは扉を蹴り破ってしまいました。まさかこんなお邪魔のしかたをするとは思っていなかった私は驚きましたが、部屋の中の光景にはもっとびっくりしてしまいました。
強烈な甘い匂い、広い
「ようこそ我が寝所へ、お嬢さん方」
そう言いつつ立ち上がった
「きゃあああああ!!!」
「ぴえええええ!!!」
アイナさんはこういうものに慣れているのかと思っていたのですが、そうでもなかったようです。私と同じように悲鳴を上げて、指の隙間からそれを見ていました。
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