小さな吸血鬼さんじゅうにさい(三)
私が暮らしているこの『
「じゃあ、その
「はい。お気をつけて」
「案内してくんないの?あたしその
「えええ!?私も行くのですか?」
「だって、ロナちゃんも疑われたままじゃ嫌でしょ?このままだと全部ロナちゃんのせいにされちゃうよ?」
「そ、そうですけど……」
このお城を出るのも
「リゼ、お留守をお願いしますね。お花の水やりは朝のうちに済ませてください。畑のお手入れは必要ありませんけど、もし草が伸びてきたら抜いてください」
体ばかりか侍女服まで半透明のリーゼロッテは小さく
やがて鏡の中で黒髪の女の子がくるりと一回転しました。リゼのおかげでお出かけの準備はばっちりです。
黒に紫をあしらったワンピース、赤い裏地の黒
最後に、
「その子も連れて行くの?」
「あ、はい。ポンタっていいます」
「へえ、可愛いなあ」
「はい。お気に入りです」
「その子がいないと寝られないとか?」
「ひ、一人で寝られます!子供じゃありませんから」
夜に一人でおしっこには行けないけど、と
「ふうん。ロナちゃんは
「三十二歳です」
「十二歳なんてまだ子供だよ!こんな森の中で一人で暮らしてて偉いけど、何でもアイナお姉ちゃんに頼っていいんだからね。さあ行こう!」
「あ、あの、三十二歳……」
やっぱりアイナさんは私の話を聞かず、大きな背中を揺らして出ていってしまいました。
ともかく。私は薄暗い『
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