第二十八話:命のやり取りって楽しい
日神との訓練中、御巫はチャンスを伺っていた。
私
(段々戦い方が分かってきた...! 日神さんとの戦い方!
基本的には伸びる棒で距離を取りつつ牽制、
それでも私が潜り込んで来た場合は隙を付くまで防戦、
隙を見つけた瞬間距離を取るかトドメを刺す! 分かればこっちのもん!
私が隙を付けばいいだけ! その隙が生じる瞬間を見つけた!
それが間合いを縮められた時に棒を短くする瞬間!
その瞬間、棒が縮み切る前に私が攻撃を浴びせれば良い!)
「もらったぁあああ!!!!!」
日神
「ふ"ん!」
ドガッ!
間合いを詰めようとした御巫に縮んでいる最中の如意棒を振り下ろす日神。
私
「痛"っ!」
日神
「別に如意棒を縮めている最中に如意棒が使えないとは言っていない」
私
「私も何にも言ってないんですけど!?」
日神
「取り敢えず実戦経験を積むのが一番なのは確かだが、
俺とばかりやっていても、様々な敵への対応は出来ない。
だから俺の付き添いで、一つ事件を解決してみないか?」
私
「事件?」
日神
「現在参番隊が追っている犯罪者、阿良日十祇だ。
コイツの能力は"恩恵の力"。触れた人間に能力を与える力だ」
私
「何そのチート能力!」
デルタ
(ほう...?)
私
(っていきなり何よ! 最近全く出てこないと思ったら...
何? もしかして今まで反抗して喋らないでいたけど、
やっぱ淋しくて構ってほしくて喋りだしちゃったカンジ?)
デルタ
(うるせぇ)
日神
「非アギは彼に救いを求めて能力を授かり、
彼は能力を与えた者を服従させることで軍団を作り上げた。
だが彼の能力の恐ろしさはこれだけじゃなくてな。
アギが彼に触れられると、能力が反発して死ぬって事だ」
私
「何それ...」
日神
「だがお前なら触れられても大丈夫な可能性がある。
何故ならお前は姿と脳が御巫なだけで、中身はデルタだ。
Lv6のデルタは能力を5つも保有できる。なら或いはと思った。
しかし可能性の話だ、確証は無いし、能力を得られたとしても、
デメリット能力ならたまったものじゃないだろう」
私
「確かに...」
(ねぇデルタ、アンタ能力をもう一個与えられたとして身体持つの?)
デルタ
(さぁな。オレなら死なねぇだろ。オレならな)
私
(私だったら死ぬって言いたい訳?)
デルタ
(触れられてみればいいじゃねぇかよ)
私
(ハァ、マジでコイツムカつく)
日神
「行きたく無きゃ行かなくても良いが、奴はついさっき、
最重要指名手配犯に成り下がった。迅速に処さなくてはならん。
お前がどっちの判断をしても否定しないが、俺は行くぞ」
私
「...行きます! 煽られっぱなしだとプライドが許さないので!」
日神
「俺...煽るようなこと言ったか?」
〜視点は阿良日十祇へと移る。〜
霊仙
「お仲間も殺されちゃうよ〜ん? いいの〜?」
手錠をかけられた清白に、小田は手刀を構える。
霊仙
「いいのかな〜? 次々に君の信者も捕まってってるけど〜?
君が命を差し出すなら、信者たちは洗脳されてたってことで、
無罪にしてもいいんだよ〜?」
近くの廃ビルの中で、霊仙の提案を聞いていた十祇。
場所はそう、新宿である。
十祇
「僕が神様から頂いた使命は、神様の教えを僕が広める事、
そして出来る限り神の子らを救うこと。もう教えの全ては伝えたし、
教え子達をこの命一つで救えるなら行くよ」
右京
「冗談になってませんよ。こんな脅しを使うような連中が、
約束を守るはずがありません。それに、
今まで貴方を逃がすために皆がした努力が無駄になる」
十祇
「じゃあどうすれば...! もう逃げ道なんてない...!」
天峰
「私が先陣を切ります。私の能力なら例え相手がアギ魔隊の隊長でも、
幾秒かは時間を稼げます」
光神教の幹部、天峰美穂が十祇から貰った能力は武虎の力。
身体を5m程度メカ化した虎のような姿へと変形させる。
天峰
「クソどきなぁ!!!!」
ドガガガアァ...!!!!!!!!!
背中から10個程度のミサイルが吹き出し、
隊員たちの致命傷を避ける位置に落とす。
霊仙
「ありゃ?」
天峰は霊仙をその剛腕で吹き飛ばし、清白含む人質を助けた...
かと思われた。
霊仙
「そうはいかんでしょ」
ドゴッ
天峰
「がはぁっ...!!!」
吹き飛ばされた様に見せかけて腹の下に潜り、
本人すら知り得なかった急所を掌底で突き上げる。
天峰
「痛"ぇ...!!!」
霊仙
「ロボットでも大まかな急所ってのはわかるもんなのね♪」
天峰
「...だらぁ! うるせぇんだよクソジジイ!」
ジャアッ...!!!
刀のように長い爪を振り下ろしまくるも、悉く躱される。
霊仙
「甘いねぇ...そんなんじゃ殺せないよぉ? ホレっ!」
グルンッ!
振り下ろした腕を
それに応じて天峰も回転して倒れる。
天峰
「ココだろ!」
手の甲から出したワイヤーで霊仙を縛り、口からレーザーを照射し、
霊仙を確実に焼き殺す算段である。
霊仙
「よいしょぉ!」
霊仙は腕ごとバック宙をし、照準を天峰ごとズラす。
天峰
「どうなってやがんだよ...!」
霊仙
「ワシ、昔から力の流れを見つけるのが得意なのよね」
天峰
「力の流れだぁ!?」
霊仙
「そそ。どこにどの様に力を加えれば何がどう動くのか、
手に取るようにわかるんじゃよ。いや見ただけでわかるのよねん」
天峰
「イミわかんねー」
霊仙
「だからこんなワイヤーもホレ、ズバッと切れちまう」
ズバッ
霊仙は手刀で、太さ1cmはあるワイヤー7本を切る。
天峰
「何なんだこのジジイ...!」
右京
「人質の開放終わったぞ! 退け天峰!」
霊仙
「ありゃ?」
天峰
「了解!」
周りを見ると縛り付けていた教団員達が遠くまで逃げている。
残りの教団員も天峰に乗って逃げた。
霊仙
「何やってんの〜小田っちぃ」
小田
「誠に申し訳ございません...!」
霊仙
「...追うよ」
日神
「霊仙さん!」
後ろから増援として御巫と日神が追ってきた。
霊仙
「あれ、日神くんと...デルタちゃん?」
私
「一応はい」
霊仙
「君、あの人達に追いつける?」
プロのアギ魔隊員は、上からの命令には四の五の言わず、
迅速に指示に従う事が求められる。
私
「はい...!」
今出せる最高速で、逃げた十祇達を追う。
私
「待てオラァ!!」
天峰
「何あの娘!」
ドドドドドドン!!!
爆発音を鳴らしながら、豪速で御巫は追いかける。
清白
「俺がやる! 天昇の鎖!」
清白の能力は鎖の力。鎖に縛りを付けて操ることが可能。
天昇の鎖は触れたた相手の体力を徐々に奪う。
私
「
一瞬で超高温の腕で鎖を焼き切り、追跡を続ける御巫。
私
「
ズゥゥウウン!!!
右京
「!?」
教団の全員を爆発で引き寄せる御巫。
私
「っしゃ射程圏内ぃ!」
教団員を全力で気絶させに行く御巫。
私
(全力で気絶させる方法その一!
猫の手の手刀でみぞおちを薙ぐ! ある程度の実力でも、
加速させれば確実に落ちる!)
教団員
「おりゃああ!!」
光る刀を御巫に突き立てるも空中で交わして後ろに回り、
右から加速した腕を顎に掠らせ、同時に左から頭を殴る。
私
「こういう事ね!」
右京
(コイツ、まさか俺等を練習台にしているのか?)
「ふざけたガキだ。俺が相手をしよう」
十祇
「殺したらダメだよ、絶対に」
右京
「分かっておりますとも」
私
「あがっ!?」
右京はそう言いながら、御巫を蹴り飛ばして天峰から降りる。
右京
「手短に終わらせようじゃないか」
私
「つってもアンタら最近能力手に入れたばっかでしょ?」
右京
「いや、俺は元からアギだ」
私
「マジ? なら何でアイツに味方するのよ」
右京
「十祇様のお考えに心酔したまで」
そう言いながら刀を出す右京。
私
「いいね...命のやり取りしてるって感じだ」
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