第陸章:アギ魔隊ととある教団編

第二十四話:アギ魔隊見学開始!

地面に伏したラミは御巫に問う。


ラミ

「どう..いう事...!?」


「...アンタにやられたことで思いついたのよ。

 超高密度の爆発を起こすと空気をも爆風が押し出し、

 爆発した所に真空が発生する。そこに私とアンタが引きずり込まれる。

 近接戦の土俵に無理やり持ってけるの」


ラミ

「バカね、ネタが分かったら対処はカンタンなのよ!」


「今のアンタに私の対処できるようようには見えないけど?」


ラミ

「...」


ラミの顔面は曲がり、片腕も小田に切り落とされ、脳震盪で立てずにいた。


ラミ

「それでも...戦わなくちゃ。周りを見て、ツムグ」


御巫とラミの周りを、アギ魔隊の面々が囲っていた。


ラミ

「この傷じゃ逃げても殺されるし、負けても殺される。

 なら死んででも戦わなくちゃ」


「...!!」


ラミ

「だから、ツムグ。戦ろう」


ラミは御巫に優しく微笑みかける。


「...そうね」


ドジュッ


ラミと御巫の勝負は、一瞬で終わった。

御巫の拳がラミの腹に刺さり、ラミは御巫に抱きつく。


ラミ

「最後に...コレだけ言わせて。ワタシの...最期がツムグで良かった。

 友達になって...くれて...ありがとう...ね」


バタッ

御巫の腕の中でラミが逝く。


「あぁ...あぁ...あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


友達をその手で殺した温度が冷めない。


「何なのよ! 何で最期にそんな事言うのよ!!

 まるで私が人殺しじゃない! ふざけんじゃないわよ!!!

 私に攻撃する気も無かった癖に戦うなんて言って!!

 自分だけ良い気なってんじゃ無いわよ! お陰でこっちは最悪よ!

 あ"ぁ"胸糞悪ぃ!! やっぱアンタはどこまで行っても魔人よ!

 わかり会えるなんて思いやがって...!! ねぇ...

 私はどうしたら良かったの...?」


その後御巫はアギ魔隊から事情徴収を受けた後、寮へと戻った。


「私...弱いなぁ...」


わかってた。私がラミと戦ってた時点で既にラミは満身創痍だったこと。

私相手に回復する時間を稼ごうとしてたこと。

最期まで友達でいようとしてたこと。



〜数日後〜



音弥

「お前達、心配をかけてすまなかったな。俺はもう大丈夫だ。

 だけどお前ら、今も不安だろ。だからその不安を消せるよう、

 今日からまた、授業と訓練を始めるぞ」


Cクラス一同

「はい!!!!」


音弥

「そんで明日は延期になった団体戦上位の報酬の職業見学だな。

 御巫、氷村井、有栖、獅子葉、佐久間は8:30に校門集合、

 貴重な時間だから、いい経験してこいよ〜」


「...あったわねそんなの」


庭香

「楽しみだね!」


「そうね」


〜その日の授業も終わり、また後日〜


バスにAクラスやBクラスの知らない人と共に、バスの中に乗せられる。

その中には一人、異様な空気を放つ男がいた。


アギ魔隊 番隊隊長:古近衛謙信

「どうも〜、アギ魔隊の漆番隊、隊長の古近衛で〜す!

 今日皆はボクと一緒にアギ魔隊本部を見て回るよ!

 バスの中は暇だと思うから、漆番隊の紹介でもしよっかな!

 漆番隊はねぇ、アギの犯罪者を管理する部隊だよっ♬

 それの隊長がボクね。ボクは神器使いなんだ♪ ホラ見てっ!

 これがボクの刀〜。黒くてカッコいいでしょ〜?

 コレに触れるとね〜? 能力によって生み出されたエネルギーがぁ、

 パッと消えちゃうの! 神器も対象内ね! あっでもでも、

 他人の神器は壊せないんだよね! この刀に触れてる限りは、

 他人は能力を使用できないし、降り掛かった能力、

 例えば洗脳の能力とかも解除できるんだぁ〜、凄いでしょ?」


バスの中の一同

(めっちゃ喋るなこの人...)


古近衛

「そんな事喋ってる間に着いたね。ここがアギ魔隊総本部だよ〜」


東京のど真ん中に4k㎡ほどの大きな近未来の城々がそびえ立つ。


古近衛

「デカいよね〜、この9個の城の一つ一つが1部隊の本部なんだ。

 全員が集合するのが真ん中の一番でかい壱番隊の城ね。

 じゃ、その壱番隊の見学からして行こうか!」


※壱番隊の紹介は3話以降、隊長の能力は20話以降記載


古近衛

「弐番隊は一人しか居ないし、本部は無いよ〜。

 隊長も今は療養中だからね〜、紹介は厳しいかな。

 続いて参番隊を見ていこう!」


古近衛に連れられるまま、御巫を含む15人は参番隊へと向かう。

その道中、Aクラスで唯一知り合いだった壱番隊隊長の弟、

天城瞬人がやけに喧嘩腰で話しかけてきた。


瞬人

「貴様、どういうつもりで俺の前に居やがる」


御巫

「は? どういうつもりもなにも、

 団体戦で勝ったからここに居るだけじゃない」


瞬人

「言ったよな、忘れたとは言わせないぞ。

 次会った時は完膚なきまでに叩き潰すと!」


御巫

「忘れた、覚えてる訳無いでしょ。

 てか何でわざわざそんなの覚えてんのよ、ねちっこすぎない?」


瞬人

「貴様...!! 下民の癖に調子に乗るなよ!」


御巫

「...みっともな。話にならないわ。要件を言いなさいよ」


瞬人

「...今度の体育祭、そこでお前を叩き潰す。名を言え」


御巫

「...御巫紡みかなぎつむぐ。好きに呼べばいいじゃない」


瞬人

「覚えておく」


そう言い放ち、瞬人は御巫の前から離れた。


御巫

「...何だったのアイツ」


古近衛

「着いたよ〜♬ ここが参番隊さ!」


参番隊隊長:霊仙高寿郎

「おぉ、謙信君じゃないの。それに魔学の学生かな?

 ヤッホー。ワシ、霊仙。武術が得意なんじゃ」


古近衛

「そうなのよ。このお爺さん、化け物を超えた化け物でさぁ〜、

 無能力者なのに武を極めすぎて隊長格まで上がってきたの」


霊仙

「そ。ワシ武術の極地に至るまでちと時間かかって、

 隊長に就任したのは、つい10年前くらいなんじゃけどね」


(陽気だなこの爺さん)


霊仙

「この前副隊長が怪我を負ってね。今は居ないけど、

 また戻ってくるから心配しないでね」


古近衛

「ところで霊仙さん、この参番隊は何をする部隊なんでしょう?」


霊仙

「そうじゃな、体術を得意とするアギ魔隊員で構成された、

 体術特化組織じゃよ。ま、ワシはアギじゃないんじゃけどねっ。

 他にも、体術を鍛えたいアギ魔隊員の育成も行っとるよ」


古近衛

「ボクは剣術だから世話にはなってないけど、

 ここで鍛えられた隊員の体術はかなり凄いんだよ?」


霊仙

「そゆこと。ま、ワシからは以上じゃな。最後に...

 アギじゃなくてもワシみたいに隊長になれる人はいる。

 ほんの一握りじゃけどな。でも、アギじゃないからといって、

 アギ魔隊員になれないなんて事は無いのよ。それだけ覚えといて。

 ま、アギの生徒達に言ってもわかんないかもだけどね」


(私もアギ魔に入ったらお世話になんのかな)


古近衛

「じゃ、次の部隊、よん番隊に向かおっか!」


肆番隊隊長:ガイア

「オレは...元アギの犯罪者集団の幹部のガイアだ」


古近衛

「またまた〜、そんな事言ってると怖がられるよ?

 もう更生して、今は隊長を任せられてるんだからそんな事言わない!」


ガイア

「わかったよ古近衛さん...オレはガイア。肆番隊の隊長だ。

 オレの能力は視界に映る限りの大地を操る。ただ、

 地面の一部を切り離して浮かせる、みたいな事は出来ない。

 肆番隊は主に、首都圏外から首都圏に侵入してくる魔物や、

 アギの犯罪者を阻止する役割を担ってる。都市部外なら、

 建物が少なくてオレの能力も使いやすい」


古近衛

「都市部に魔物がほとんど居ないのは、肆番隊の影響がデカいね!」


そんなこんなでアギ魔隊見学、続く!

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