第二十話:東京の天気、夜のち晴れ
〜掃討作戦の視点は、日神に移る。〜
「
捻りと炎を加えた掌底で魔物達を次々と消し炭にする日神。
その後も魔物を無尽蔵に駆逐していく。
???
「テメェもオレと同じ炎の能力を持ってんだナ?」
日神
「骨のありそうな奴が来たな、ちょっと待ってろ」
ピンク色のが魔人が日神に喧嘩を売るも、
日神は相手にせず魔物の殲滅を続ける。
ネバ
「オレの名前はネバ! 魔王軍が第一幹部、
つまり最高幹部なんだナ! 跪いて死ぬんだナ!」
日神
「そうか、オレは日神だ。にしても魔王軍か...聞いたこともないな。
だが、最高幹部なんて言うからには強いんだろう?」
ネバ
「オマエを凌駕する程にナ!
両手から黒く淡く光る炎を大量に日神に放射するネバ。
日神
「
ゴォオオオオ...!!!!
口から金色に光る炎を吹き出して相殺するも、黒炎の量は金炎を上回った。
ネバ
「生物の根本から保有できるエネルギーが違うんだナァ!!!」
日神
「どんなにエネルギーがあろうと、効かなきゃ意味ないだろ」
黒炎をモロに食らってもそれとなく戦闘態勢に入る日神。
ネバ
「少なからずオレの炎を食らって無傷とナ...お前強いナ?」
日神
「でなきゃこんな地位にいない」
ドジュゥウウン...! ドジュゥウウ...!
炎を手足に纏ってネバに殴りかかる日神。それをネバは腕で防ぐも、
腕からは鈍い音が鳴り響き、防戦一方を強いられる。
ネバ
(なんだコイツの力! 人間の出せる力じゃないのナ!
炎を纏って殴った程度で、オレの腕に痣が出来るとナ!?)
「能力を二つ持っていないとこの腕力、説明がつかないのナ!!」
日神
「俺は今までの人生で一度も己の鍛錬を欠かせたことはない」
ネバ
「その程度の理由でオレが防戦一方になる訳が無いんだナ!
明らかに能力の適応の範囲を超えた力の強さ!
オレの炎を食らっても無傷! 人間がどれだけ鍛えても、
そんな所業、出来るハズ無いんだナ!!!」
日神
「武の才に恵まれただけだ」
ネバ
「クソ喰らえなんだナ!!!!
黒炎で出来た巨大な刃状の斬撃が日神を襲う。
日神
「
日神の所持している棒状の武器、
如意棒に炎を纏わせて回転させ、黒炎を相殺する。
ネバ
「それは神器だナ!?」
日神
「フン、おめでたい頭だな。これは人類の叡智により生み出された。
神器程崇高な物ではないが、作った人々の努力と技術が詰まっている」
次は炎を纏わせた如意棒を巧に振り回し、またネバを防戦一方に追い込む。
ネバ
(チッ、
戦い方を変えやがったナ! さっきとはまるで、
別の奴と戦ってる感覚なんだナ! 気持ち悪ぃナ!)
日神
「どうした! この程度が魔王軍第一幹部なのか? とんだ拍子抜けだな」
ネバ
「うるさいんだナ! オレの炎の真髄を見せてやるんだナ!
炎鎧:
ネバは黒炎をその身に纏い、その姿は正しく魔人を超えた魔神であった。
ネバ
「
黒炎の波がドーム状に広がり、その波動に触れた物が焦げ崩れていく。
日神は瞬時にその波の危険性を悟り、自らの炎で相殺しつつネバとの距離を取る。
日神
「こりゃ命の危険も考えないとだな」
ネバ
「今更命乞いをしても遅いんだナ。ま、元から生かすつもりなんて無いがナ」
日神
「そりゃお互い様だろ」
ネバ
「どうだかな!!!」
アギ魔隊でも随一の体術と身体を誇る日神を凌駕する。
日神
「
如意棒に炎を纏ってとても人間とは思えない動きの攻撃で応戦するも、
ネバはそれをいとも容易く止める。
ネバ
「アギ魔隊弐番目の戦力が、とんだ拍子抜けだナ?」
日神
「急に態度がデカくなったな!
ネバ
「
両手から凄まじい量の炎を放出する日神だが、
ネバの黒炎が生み出したレーザーはその炎を貫通し、日神の左肩を射抜く。
日神
「ッ...!」
肩を押さえて膝をつく日神に、トドメを刺そうと歩くネバ。
ネバ
「弱いナ。貴様も所詮は人間なんだナ」
日神
「同系統の能力を持った魔人如きに負けてるようでは、
面子が保たないのでな、コッチも
ネバ
「ほう、まだ本気じゃナいのか?」
誰一人として、日神の本気の戦闘能力は計り知れていなかった。
何せ本気を出さずとも殆どの相手を倒してきたからだ。
レベル5の魔物3体を同時に相手にしてもその本気を出すことは無かった。
その底しれぬ強さを称えて付けられた二つ名は...
"炎武之王"
日神
「モード:
日神は全身に炎を張り巡らせ、身体能力と能力を一時的に超肥大化させる。
そして質の上がった能力は、炎自体を強化する。炎は唯の炎ではなく、
黄金に煌めく"聖炎"として、その性能を飛躍させる。
この技のデメリットは一定時間しか使えない上に、
体内から炎と魔力が消え失せ能力が使用不能になる事である。
ネバ
「正気ナのか貴様!! そんな事をすればもう二度と戦えナくなるぞ!?」
日神
「死ぬか勝つか、そんだけだ」
ネバ
「フン、だとして死ぬのはテメェだがナ!!
日神
「
新宿の街を一つ飲み込む闇の炎を、黄金の炎で浄化する。
ネバ
「
日神
「
ジュワァァアァアァァアア...
黒く淡く光るレーザーを、聖炎の盾は掻き消す。
ネバ
「鬱陶しいんだナぁ! 魔槍:
ガキィイイィイイイィイイン...ッ!!!!
黒い炎から槍を具現化して日神に向けて突くも、日神はギリギリ如意棒で止める。
日神
「ふんっ!」
ネバ
「アガァ...ッ!!!」
槍と棒の近接戦に持ち込んだネバの腹に膝蹴りを食らわし、
怯んだネバを蹴り飛ばす。そして吹き飛んだネバに追撃を畳み掛ける日神。
ネバ
「う"りゃあ!!!」
日神
「ぐっ!」
殴りかかる日神の拳を躱し、顎に蹴りを食らわせるネバ。
日神
「ぐ"はっっ」
さらに一瞬怯んだ日神の脇腹に、腕ごと爪を突き刺して追撃する。
ネバ
「!?」
日神の脇腹に刺さった腕を抜こうとするも、抜けない。
日神
「コレで...いくらでも殴れるだろ...!」
ドガガガガガガガ!!!!!
一切の容赦なくネバを殴り続ける日神。たまらず殴り返そうとするネバだが、
殴られる前に日神は殴り、殴らせない。
ネバ
「ぼごぁあっ!!!!」
日神
「お"ら"ぁ"あぁぁあ!!!」
渾身の力と炎を込めた拳を食らわせる日神。
その衝撃でネバは吹き飛び、日神に刺さっていた左腕と身体が分離する。
日神
「そろそろ時間切れか...早く...トドメを刺さないと...」
ネバ
「よ"くもこのオレの腕を千切ったナ...! 許さないんだナ!
オレの全てをこの技にかけるんだナ!! 死ね!
"
ゴォオオォオオォオオォオオ...!!!!
空を覆う圧倒的な質量を持った闇の炎の塊が、東京に堕ちる。
日神
「
自らの出せる力を全てを燃やし尽くし、落ちる巨大な炎に突撃する日神。
その轍は黄金に煌めく龍を描いて巨大な炎の塊ごとネバを貫く。
ネバ
「う"が"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
カァアァァアァァァァアァアア...
炎武王、日神がアギ魔隊最後の大技は、夜の東京を数秒間昼へと変貌させた。
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