第十四話:開戦の叫び

取り敢えず5人はお互いの能力の詳細を伝え合う。


獅子葉

「オデノ力、叫ビニ攻撃ヲ乗セラレル。オデノ声、

 大キク聞コエレバ聞コエル程ダメージ、デカイ。範囲ハ...数百mガ限界」


「数百m先まで声通るのね、シンプルに声デカ」


獅子葉

「オデ、役ニ立テル?」


佐久間

「もちろん! 誰も役立たずだなんて思いませんよ」


獅子葉

「嬉シイ、オデ、高校入ルマデ化ケ物ッテ言ワレテタ。

 凄ク悲シカッタケド、今ハオデ、役ニ立ツ!」


庭香

「わっ、私の能力は前に見せた通り冷たい炎を出す力。

 煙幕としての力くらいは期待してもらっていいかな。それに、

 数秒この氷炎に当てられると身体が段々凍り始めて行く。でも、

 数秒もこの炎に触ろうとする人なんていないから、多分効力は無い。

 基本は司令塔として頑張ります...」


佐久間

「僕は神器、白夜夢剣ヤトノカミノツルギを扱うことが出来ます。

 この剣の能力は、1分に一回広範囲に斬撃を飛ばせる技を使用できるのと、

 剣が勝手に動いて僕を守ったり逆に攻撃してくれたり...

 あとは皆様が御存知の通りの神器の性能です」


「壊れなくて念じれば何時でも手元に神器がやって来る...か。

 最後は私かな? 私は疲れずに運動出来るよ。

 何なら運動すればするほど、運動能力が上がるの。

 限度はあるけどね。それと拳と踵から爆発を起こせる。

 一撃で教室を爆炎で埋められる程度の爆発が限度だね」


有栖

「十分かと思われます。非常にバランスが取れたチームですね」


「そうだね」


その後は作戦会議をした後、Cクラスのチーム分けが担任より発表される。


音弥

「よし、それじゃチームごとに番号を与えていくから、よく聞いとけ。

 第9班 :漆原 胡桃沢 天摩 白雪 緋縅

 第10班:御巫 氷村井 有栖 佐久間 獅子葉

 第11班:白鳥 尾野田 音無 猫羽 志熊

 第12班:彦凪 有田 蛇目 神園 片桐

 Aクラスが1~4班、Bクラスが5~8班、俺らが9~12だな。

 2週間以内には始まるから覚えとけよ〜。

 それじゃ明日はチーム戦の予行練習だ、今日はここまで解散!」


「ラク過ぎる!」


そして月日は経ちー


教頭先生

「今日は学年で初の合同競技です!

 皆さん今までの予行練習で培ってきた力を存分に発揮してください!」


こうして始まった模擬チーム戦の会場へ入り、

チームで予め決めていた初期位置へ移動する。


「緊張してきたわね...」


庭香

「本当にね...」


獅子葉

「ダイジョブ、オデ達負ケナイ」


佐久間

「そうですね!」


有栖

「えぇ、元より負けるつもりなど微塵もありませんわ」


(気品感じるなぁ〜、下民だけど)

「それじゃ、円陣組むよ! 絶対平日休暇取るぞぉおぉお!!!!」


10班

「おぉおぉおぉおおおぉおぉぉぉおおおぉおお!!!!!!」


円陣を組み、士気を上げたところで、開始の合図を待つ。


アナウンス

「全チームの準備が完了しました。それではチーム対抗模擬戦を開始します。

 よ〜い、スタート!」


開戦の合図が出たその直後ー


獅子葉

「ぐ"る"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"""ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ""ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


初撃から全力で叫ぶ獅子葉。


遡ること3日前ー。


庭香

「位置はそうだね...獅子葉君の叫びの力を活かしやすい隅っこかな。

 獅子葉君は開始と同時に全力で叫んで貰ってもいいかな?」


「それだと位置バレしない?」


庭香

「そうだよ。でもそれもアリと言えばアリなの。

 AクラスとBクラスが狙いたい得点ってCクラスからなの。

 貴族はアギの質がいいとは言え、絶対数が多いのは平民。

 日本の5割以上は平民だしね。平民のBクラスだって、

 貴族と戦いたいなんて思わない。だから、

 安牌をとるならCクラスから得点を取る。

 だから獅子葉君が囮になって広範囲に叫ぶことで、

 獅子葉君の攻撃が効かなくても、

 皆がネギを背負った鴨であるCクラスに寄ってくる。

 そこを皆で一網打尽にする。佐久間くんの広範囲攻撃と、

 紡ちゃんの爆破、獅子葉君の2回目の叫びで倒す。

 一気に得点ゲットするの。万が一失敗した時は私の能力で足止めして、

 バラバラに散る。他のチームには無い連絡手段は、

 有栖さんの蟻を使って行う。有栖さんと私で散り散りになっても、

 人がいないルートを選んで再集合出来る。

 っていうのが大雑把に立てた作戦なんだけど...どうかな?」


佐久間

「でも初期位置に人が居なかったら?」


庭香

「角を占領するチームは必ずいる。壁という後ろ盾があるからね。

 そしてそれを囲って逃げ道を無くそうとするチームもいる。

 真ん中なんて一番狙われる位置からスタートするチームなんて無いだろうし、

 決まる確率は高い。それに人がいるかいないかは有栖さんの能力で分かる」


有栖

「そうですね」


庭香

「誰も居なかった場合は居なかった場合で別の作戦を立てたけど、

 それが開始直後の主軸の作戦で行こう」


「異論なし!」


佐久間

「僕も!」


獅子葉

「オデモ」


有栖

「ワタシも異論はなくってよ」


庭香

「よかった...それじゃ始めの作戦はそれでいこう!」


時を戻そう。


???

「耳があぁぁあ!!!」


???

「痛ぁあぁあぁあああ!!!!」


???

「電撃かよっ!?」


電撃を乗せた獅子葉の叫びをモロに喰らい、3人が耳を抑えた。


「かかった!」


庭香

「今だよ皆!」


佐久間

白嘶ホワイトサウザー!!!!!」


「爆拳!」


3人を一網打尽にする10班。


Bクラスの3人

「うあぁぁああぁあぁああぁぁあ!!!!!!」


アナウンス

「第10班、3ポイント獲得」


庭香の作戦がうまく嵌り、初手から3ptを獲得する10班。

そして3人も失ったチームの残党が、御巫達に戦闘を仕掛けに来た。


???

「ケヒヒヒ!!! ケヒィ! やってくれたなこのクソ虫共めがぁ!!」


???

「返り討ちにされたか...まぁいいだろう、

 どうせ初見殺しだ、俺らなら殺せr」


「おんどりゃあ!!!」


喋らせる間もなく殴りかかる御巫。


???

「ほぐあぁぁああっ!?」


「喋ってる暇があったらとっととポイント稼ぐ!」


烏帽子えぼし

「ケヒヒヒぃ! 出来るわけねぇだろ! オレは烏帽子楓えぼしかえで

 身体の一部を虫に変換することが出来る! 見よ! バッタの足!

 スズメバチの針! カマキリの腕! クロカタゾウムシの体表!

 蟻の顎! 蝶の羽! そしてオレの頭脳!

 不足のない最強の男とはオレのことよぉ!!」


「丁寧に自己紹介どうもありがとう、ねっ!!!」


気色の悪い男に、間髪入れずに豪速で飛び蹴りを食らわせようとする御巫。

しかし、烏帽子はそれを見切って躱す。


烏帽子

「ハエの瞬発力。からの...バッタの足のバネ!」


御巫に勝るとも劣らない速度で御巫の首を刈り取ろうとする烏帽子。


「危なっ!!」


御巫も烏帽子の攻撃を躱し、烏帽子に隙が生まれたその時ー


獅子葉

「ギ"ャ"ァ"ア"ア"ァ"ア"ア"ア"ァ"ア"!!!!!」


2撃目を食らわせようとしてきた烏帽子に獅子葉は甲高い叫びを浴びせる。

ピンポイントに耳に響くその叫びは、烏帽子の鼓膜を破るのには十分であった。


烏帽子

「う"が"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"!?」


「ありがと獅子葉! 喉大丈夫?」


獅子葉

「気"ニ"ス"ル"ナ"」


「ガラガラじゃない」


庭香

「早く逃げるよ!」


辺りに青い炎を撒き散らして襲いかかる二人を巻こうとしたその時ー


佐久間

「ぐあぁぁあぁああぁぁあ!!!!」


「佐久間くん!?」


???

「俺に勝てると思うな! 思い上がりも程々にしておくんだな!」


先程御巫が蹴り飛ばした男が、佐久間を相手に圧倒していた。


タツヤ

「我が名は九頭竜達也くずりゅうたつや。火竜の口、

 風竜の羽、氷竜の爪、土竜の尻尾、鎧竜の鱗、武竜の神器の内、

 2つまで同時に操ることが出来る。神器一個の貴様如きが、

 この俺様に勝てるわけ無いだろう阿呆」


「またも丁寧な自己紹介...!!」

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