第参章:絶対にサボる!チーム対抗戦線編

第十三話:蟻蟻蟻蟻蟻ーヴェデルチ

さて、このキモい皮をどう処理しよう。まず自分の爆炎で燃やす。

...どうやら私の皮は私の爆炎では燃えないらしい。

皮まで自分の能力に適応してるっぽい。その後色々試したが、

わかった事は割と自分の皮は頑丈だってこと。


翌日ー


「るみちゃん、おはよう!」


皮の消去方法として、とある計画を思いついた御巫は胡桃沢に声をかけていた。


胡桃沢

「おっはよー☆ 私に何か用?」


「るみちゃんの能力って、毒を出せるんでしょ?

 人とかも溶かせるの?」


胡桃沢

「えっなになにっ!? 急に怖い質問してくるねー?

 出来なくもないけど、精々皮膚が溶ける程度よ?」


「ドンピシャ!

 何も聞かずにウチの部屋の浴槽にその毒入れてくれない?」


胡桃沢

「いや何も聞くなは無理っしょ! その状況ナニ!?」


「お願い! いつか話すから!」


胡桃沢

「う〜ん、まぁオッケー☆ チャチャっとやっちゃうね!」


「承諾してくれた!?」


こうして浴槽に毒を張って自分の皮を投じ、無事皮問題は解決した。

そしていよいよ授業の日々が始まった! 授業内容としては午前は授業、

午後に実習といった形になっている。

義務教育は終了しているので授業で扱う範囲は必要最低限、

内容は簡単であるが進むスピードは尋常じゃない。いい加減にしろ。


...爆速で進む授業が終わり、いよいよ午後の実習。実習では、

アギ魔隊に入る上での心得を聞いた上で身体強化や能力に幅を持たせたり、

その他諸々色んなことをする。今日は初日と言うことで、

能力に合わせた服を着て、各々少し運動するといった生ぬるい授業。


入学が確定した時点で新入生は能力に合わせた大まかなデザインを発案、

提出しなくてはならない。もちろん、

オシャレかつ機能性重視のデザインが求められる。

そして私が考案した服が私の下に届き、それを実際に着用する。

機動力を活かしたいのであんまりガチガチに装甲はせず、

タイツを耐熱耐寒性に仕立てているので、

スカートを履いて動くことが出来る。勿論踵に穴は空いている。


「動きやす! このフィット感好き! 且つオシャレ!」


今日はこれである程度実戦をしながら訂正して欲しい箇所があれば報告。

それだけの授業。初日らしくて実に楽。


音弥

「それじゃ、明日からはチーム対抗オリエンテーション大会に向けて、

 本格的に練習していくぞ。そういう訳で今日はチームを作って終いだ」


佐久間(好青年のやつ)

「先生! チーム対抗オリエンテーションとは何でしょうか?」


音弥

「あれ、言ってなかったか? 一週間後に親睦を深めるついでに、

 チーム対抗でバトルをするんだ。戦闘だ戦闘。5人で1チーム、

 学年で全12チームで行う。今日の残り時間でそれに向けてチームを作るんだ。

 上位入賞チームにはなんと平日一日アギ魔隊見学に行くことが出来る。

 要するに授業をサボれる」


(うおおぉおお!!!!!!!!! キタコレ!!!)


デルタ

(それで良いのかオマエ)


漆原

「何の連絡もなかったですね」


音弥

「悪ぃ悪ぃ、まぁそういう訳だ、とにかく5人のチームを作れ」


(なるほど? となると慎重な人選をしなければいけないのか...)


慎重に人を選ぼうとしたその時、誰かに声をかけられた。


有栖(アリ女のやつ)

「御巫さん、ワタシと組みませんか?」


(この人は...確か蟻の力、だっけ?

ドッジボールだと序盤で脱落してたよね... まぁ、

ドッジボールで個人の強さ決めるのは愚行だし、一応理由を聞くか)

「何で真っ先に私と組もうと思ったの?」


有栖

「ワタシが得意とするのは情報収集。1600万匹の蟻全ての情報を処理できます。

 でもワタシには単純な火力と機動力は無い。

 貴方なら長時間運動でも疲れないし、チーム戦なら相性がいいと思いました」


「そこまで理詰めされると断る理由がないね、いいよ組もう」


有栖

「光栄の限りです」


一人目のチームメイトが決まり、次のメンバーを探す御巫。


「他は誰にしようかな...広範囲で攻撃が出来る人が欲しいわね」


獅子葉(心優しきモンスターのやつ)

「オデ、広範囲攻撃、デキル」


「獅子葉君!?」


またもや良いタイミングで、獅子葉が名乗り出てくれた。


獅子葉

「オデノ叫ビ、声ニ属性、乗セラレル。電気、炎、刃トカ。

 耳ヲ塞ガレルト効カナイケド、範囲ノ広サハ保証スル。オデ、イラナイ?」


「いいね、少なくても耳を塞がせる事が出来るのは強い。

 特に多人数戦だとね。じゃあ3人決まって残り二人...誰にしよう?」


獅子葉

「オデ、頭悪イ」


(でしょうね)


獅子葉

「二人ハ、頭良イ?」


「ぼちぼちかな...」

(へへっ、笑えねぇ〜)


有栖

「語学以外はからっきしだめですわね...」


獅子葉

「ジャア、頭良イ人」


「それなら...あっ! 庭香ちゃ〜ん! 一緒に組まない!?」


庭香が以前、入学できた理由に学力が高かったと話していた事を思い出し、

チームに誘う御巫。


庭香

「えっ、あっ、私で良いの?」


「もっちろん! 私達に足りない知能レベルを補ってほしいの!」


庭香

「そっ、そそそうだね、皆の役に立てるように頑張る!

 あっ、えっと...よっ、よろしくお願いします!」


有栖

「よろしくお願いしますわ」


獅子葉

「ヨロシク」


「入ってくれてありがとう、よろしくね! 後は誰が良いかな?」


早速残り一人のメンバーを、頭の良い庭香に決めてもらう。


庭香

「そうだね...ある程度戦闘も出来て頭も良い、

 臨機応変のオールラウンダーがいてくれれば助かるかも」


「例えば?」


庭香

「う〜ん、漆原君はもうチーム作ってるし...あの人なんてどうかな?」


庭香は、佐久間を指さしてそう言った。


「アリだね。お〜い佐久間く〜ん! 私達と組まない?」


誰かに取られる前に、声をかける御巫。


佐久間

「僕なんかでいいんですか?」


獅子葉

「オマエ以外、適任、イナイ」


有栖

「よろしくお願いしますわ」


「よろしくね」


庭香

「よっ、よろしくお願いします...」


佐久間

「よろしくお願いします!」


こうして、チーム対抗戦のメンバーが決まった。

後日の実習にてー


音弥

「チーム対抗戦のルールは、校庭の範囲で争い合うシンプルな戦いだ。

 2時間の間に何人敵チームを倒し、いかに生き残れるかがミソとなる。

 5人生き残ったらそれだけのポイントが貰えるが、5人倒すポイントと同点だ。

 だからといって特攻して全員倒されたらポイントはゼロ。

 そこのところ上手く考えながらチームで作戦を建てろ。ちなみに、

 気絶したら倒されたって判定になるからな。だが大丈夫だ、

 校庭内じゃ死ぬことは無いし、傷も残らない。理由は極秘だがな」


「校庭内ってどのくらいの広さですか?」


音弥

「地形は入学試験で使った所で行う。広さとしては約2.25km²だ。

 擬似的に東京の街を再現した地形だから、建物は多いし、

 そこに引きこもるのもアリだな。今日はお互いの能力の理解を深め、

 作戦会議の時間とする。それでは各チーム作業に取り組め」


「鬼ほど楽!」


これを踏まえて御巫達は作戦を立てる前に、

互いの能力の理解を深めることにした。


有栖

「ではまずワタシの能力を。

 ワタシは御存知の通り身体を1600万匹の蟻に分解できます。

 詳細を言えば蟻は生成する部位によって出来る事が変わってきます。

 目から生成された蟻は探索に特化していて、約5600匹程度生成出来ます。

 他にも爪から生成した蟻は少し丈夫だったり、脳から生成した蟻は、

 頭が言語を理解できる程度の知能を持っていたり...

 ですが問題があります。生成した蟻が殺されると、

 蟻が生成された箇所が傷つくのです。」


「え?」


有栖

「先程話した目から生成した蟻で言えば、その蟻が殺された場合、

 蟻一匹分眼球が削れます。なので対処として、

 生成した蟻の合成をします。蟻は合体が可能です。

 いつも作る蟻は脳と目と爪で合成したアリです。

 耐久性はそこそこある上に索敵、そして情報を共有してくれます」


(難儀な能力だな...)

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