第弐章:学年カースト最底辺で学園生活編

第八話:Cクラスの能力を査定してみよう

だだっ広い体育館へと案内され、御巫紡と書かれた椅子に座る。

C組の面々は普通の見た目の子もいればギャルっぽいのもいれば、

好青年っぽいのもいれば、ゴキb...漆原君もいる。

改めて見たら漆原君背デカすぎない?そして私は、

出席番号にして20番、一番最後である。

幸いにも19番は普通の女子なので気軽に話しかる事ができた。


「今日からよろしくね。私、御巫紡。あなたは?」


庭香

「わわっわっ、私ですか!? 私は氷村井庭香ひむらいていかって言います...」


「庭香ちゃんね、これからよろしく!」


庭香

「はっ、はい。よっよろっ、よろしくお願いします...」


(さてはこの子コミュ弱だな?)


デルタ

(テメェも似たようなもんだロ)


(違いますー! 話そうと思えば全然話せますから!)


デルタ

(じゃあ面接の失態は何だったんだろうなァ?)


(うるっさい! 本番系の緊張に弱いだけよ!)


デルタ

(...そういうことにしておいてやるカ)


その後入学式のあれこれを行い、担任が発表される。


司会の先生

「それでは、各クラスの担任を発表します」


(そういえば私の担任は私の事情知ってんだっけね?)


デルタ

(そう言ってたナ、万が一の時はお前を、いや...

オレを止められるヤツ、カ)


(どんな人なんだろう...デルタを一時的に止めることの出来る人?

滅茶苦茶屈強な人だったら暑苦しくて溜まったもんじゃない)


司会の先生

「まずはAクラス! 枇榔貴彦びろうたかひこ先生!」


枇榔貴彦びろうたかひこ

「今年は成績優秀な人が多いと伺っております、よろしくお願いします」


サスペンダーにパーマにメガネと、アンティークが似合うその男性は、

とても強者揃いをまとめられる様には見えなかった。


(へっ、なんかあの人小さい時イジメられてそう)


デルタ

(弱々しいナ)


司会の先生

「続いてはBクラス! 鳳星矢おおとりせいや先生!」


鳳星矢おおとりせいや

「反抗したらブチ殺す! よろしくなぁ!!」


次に現れたのは、筋肉だけが取り柄のような屈強な男だった。


(いや怖っ、アイツが担任はハズレにも程があるわ)


デルタ

(でもさっきの男よりは強そうダ)


司会の先生

「それでは最後にCクラス! 音弥源治おとやげんじ先生!」


音弥源治おとやげんじ

「よろしくー」


担任はダルそうな雰囲気を出しながらCクラスの元へ向かう。


(うん、やる気が無さ過ぎない? 大丈夫なの?

ま、説教もダルがってくれるならいっか)


デルタ

(どこまでも思考が狡いなオマエ)


司会の先生

「それでは、Aクラスから順番に先生について行き、

 教室に向かってください」


Aクラスから順番に体育館から校舎へと入り、教室へ向かう。


庭香

「あの人が先生で大丈夫なんですかね?」


「わかる、ちょっと心配よね。

 まぁ最先端の学校()だから大丈夫だと思いたいけど」


音弥

「聞こえてるぞー」


教室の扉は自動で開き、番号が割り振られた席に座る。


音弥

「よし、今日からお前らの担任になる音弥源治だ、適当に呼べ。

 今日は特にやること決めてないから、簡易的に自己紹介してけ。

 名前と出席番号、それとここで見せれるんだったら能力、

 あればクラスのみんなに一言。これを大まかに話せ」


(ざっくりだなぁ...)


男子

「まず先生から手本見せてくださいよ」


音弥

「あ? ...まぁいっか、俺の能力は"児戯の力"。

 自分と他人でゲームを強制することが出来る。後で見してやるから、

 初手は有栖ありす、お前から行ってくれ。」


それからは出席番号順に自己紹介をしていく。


有栖美玲ありすみれい

「はい。出席番号1番、ワタシの名前は有栖美玲ありすみれい

 能力は"アリの力"です。自分の身体を、

 1600万匹程度のアリに分割することが出来ます、よろしくお願いします」


(想像したら気持ち悪...! 頼むから想像させないで)


有田明人ありためいと

「出席番号は2番、有田明人ありためいとです。能力は"代償の力"。

 何かを犠牲に、何かを得ることが出来ます。

 例えば防御を代償に攻撃を上げたり出来ます。

 どこかしらで役に立てると思うのでよろしくお願いします!」


(う〜ん、普通! それもある意味取り柄だね)


漆原

「どうも、出席番号3番、漆原貫徹うるしばらがんてつです!

 能力は見ての通りゴキブリの力、皆に、そしてこの国に、

 そして世界に! ゴキブリの良さを伝えるべくココに来ました、

 能力の難点は能力の解除ができないところですね、

 よろしくお願いします」


(よく前向きに生きてられるわね...そこは素直に尊敬だわ)


音無黒江おとなしくろえ

「どうも〜、音無黒江おとなしくろえだよ〜、くろえって呼んでね!

 私は幾つかある忍の家系に生まれた忍者だね!

 ジャパニーズニンジャ! 能力は"凪ぐ力"! この力h...」


(うん?急に口パクになった...?)


音無黒江おとなしくろえの挙動は、突然口パクで喋りだしたかのように見えた。


くろえ

「こんな塩梅に、音とか気配とかその他諸々を消すことが出来るよ〜、

 何か消したいものがあったらよろしく〜」


(陽キャ過ぎる! 何が忍だよ、忍べ!)


尾野田孝太郎おのだこうたろう

「うっす! 5番を務めさせていただく、尾野田孝太郎おのだこうたろうっす!

 自分は"ヤマアラシの力"を持ってます! よろしゃす!」


(野球部か? 珍しくそこら辺にいそうな名前だけど、

暑苦しいから近づかんどこ)


片桐阿佐美かたぎりあさみ

「出席番号6番、片桐阿佐美かたぎりあさみ言います。能力は"絶対演技の力"で、

 自分の記憶と状況と性格を改ざんして演技する事ができます...

 ↑こんな塩梅で、今は田舎で育ってきた引っ込み思案少女を演じてみたよー☆

 今のギャルみたいな喋り方も、演技の力によるものだし☆

 だからどれが私の本性か、わからなくなるよねー。よろしくっ!」


(怖っ)


神園京かみぞのけい

「出席番号7番、神園京かみぞのけいです...あたしの能力は...えっと...

 "髪の毛の力"。自分の髪の毛を好きな長さ、形、硬さに出来ます。

 よろしくお願いします...」


(ジメジメしてんなー)


胡桃沢紅葉くるみざわもみじ

「出席番号は8番! 胡桃沢紅葉くるみざわもみじだよっ☆

 片桐ちゃんにはシンパシー感じたけど、

 どうやらこのクラスにギャルはウチだけっぽいな〜?

 ウチの力は"毒の力"! メンヘラみたいな能力だけど、

 メンヘラじゃないよ〜ん! よろしくっ☆」


(うわギャルだすげー)


佐久間星義さくませいぎ

「出席番号9番、佐久間星義さくませいぎです! 僕は能力者ではなく神器使いで、

 竜剣の神器を扱います! よろしくお願いします!」


デルタ

(神器だァ〜?)


(アンタ何も知らないの?

神器は所有者が生まれてすぐに空から神器が降ってくる、

本人以外は触れることの出来ない、特殊な能力をもった武器よ。

身体は武器を扱えるように適応していくの。神器は壊れずに、

能力者の能力のような特殊能力が付与されているのが特徴ね。

そしてもう一つの特徴は、所有者と神器が離れていても、

所有者が念じれば神器が所有者の元にワープしてくるの。

能力者と神器持ち、二つ合わせてアギね。

能力者ではなくアギという呼び方が浸透していったのも、

能力者だけではなくて神器持ちにも配慮したかららしいわ)


デルタ

(受験勉強頑張ったんだナ)


(めっちゃ頑張ったわ。ところで佐久間君、

好青年だな〜。純な目をしてる)


志熊十三しぐまじゅうぞう

「オレは志熊十三しぐまじゅうぞうだ。

 出席番号は10番。能力は"熊の力"。熊に変身する。

 体の一部だけ変身することもできる。力仕事はオレに任せろ。

 これからよろしくたのむ」


(渋ぅ〜! 声も見た目も名前も渋い!

40代と言われても納得するわ。いい意味でね?)


獅子葉響ししばひびき

「シュッセキバンゴウ、11バン。オデ...シシバヒビキ。オデノチカラ、

 "叫ビノ力"。叫ビニ攻撃ヲ付与デキル。ヨク、怖ガラレル、カラ、

 出来ルダケ、皆ニ、優シク、シタイ。ヨロシク」


(心優しきモンスターね。近づかんどこ)


蛇目健太じゃのめけんた

「出席番号12番、蛇目健太じゃのめけんたッス! 能力者ではなく、

 一家相伝の神器持ち、蛇の鞭の神器使いッス!

 よろしくお願いしますッス!」


(すんごい下っ端感)


白鳥雷也しらとりらいや

「俺は白鳥雷也しらとりらいやです。出席番号...何番だ?

 さっきが...13だっけ? アレ?」


音弥

「お前が13番だ」


白鳥

「そうでした! お指摘してくれてありがとうくださりました!

 出席番号が13番の、"ファルコンの力"を持っています!

 この学校で天下取ります!よろしくお願いします!」


(見るからに馬鹿だな〜、

IQが20以上離れてると会話できないって言うし、近づかんどこ)


白雪真也しらゆきしんや

「オレは白雪真也しらゆきしんや。出席番号は14番だ。

 能力は"振動の力"。振動を俺の身体から引き起こし、

 伝達させることが出来る。よろしく」


(目線が見下してるしプライド高そ〜。パスかな)


天摩奏てんまかなで

「はっ、初めまして !出席番号15番! 天摩奏てんまかなでです!

 のっ、能力は、"スタンガンの力"! 人差し指と小指を立てると、

 間から電流が流れます! 使い道は皆無ですよろしくお願いします!」


(くぅ〜! オドオドした女子なのに能力が合ってない! 良いね!)


猫羽巧ねこはたくみ

「出席番号16番、猫羽巧ねこはたくみです!

 たくみだと男っぽく感じちゃうので、

 猫羽呼びか、"くみ"って呼んでくれると助かります!

 アタシの能力は"猫の力"!意外と凶暴なタイプの猫になれます!

 これからよろしく!」


(女の子らしい顔と能力! そんでもって合わぬ名前!

そしてボーイッシュ! いいね!)


緋縅仁美ひおどしひとみ

「出席番号17番、緋縅仁美ひおどしひとみです。能力は"棘の力"。

 身体から棘を生やしたり、ものから棘を生やせます。

 勘違いされないために、日々棘のない言葉遣いが出来るよう、

 心がけております。よろしくお願いします」


(おしとやか〜、怖い能力だけどおしとやか〜)


デルタ

(なんかコメント適当になってきてないカ?)


彦凪哲也ひこなぎてつや

「出席番号18番の彦凪哲也ひこなぎてつやです。能力は"適応の力"。

 あらゆる環境に適応できます。例えば宇宙空間や熱湯の中とか。

 まぁ皆さんに何かを期待してるわけじゃないですけど、

 精々よろしくおなしゃす」


(何だこいつ、スカしてんな〜。嫌い)


庭香

「どっ、どどどどうも、ひっ、氷村井庭香です。あっ、出席番号。

 出席番号は19番でっ、のっ能力は、"氷炎の力"。

 青い炎を出せます。でっでもコレ見掛け倒しで、

 触れると冷たいんです。夏に使えるくらいで、殺傷能力とかは...

 期待しないでください、よっよろ、よろしくお願いします」


(見た目は確かに凄い綺麗で強そうだな、青い炎。って次私か)

「トリを務めるのは出席番号20番、御巫紡です。能力はちょっと複雑で、

 "エンジンの力"って呼んでます。運動すると溜まる疲労を、

 ガソリンに変換してより運動能力を高めれます」


漆原

(...なるほど、それであの機動力か)


「この場でわかりやすく見せることは出来なくて残念ですけど、

 わりかし何かしらの役には立てると思います、よろしくお願いします」


音弥

「...全員終わったか?そんじゃ宣言通り、

 親交を深める意味でも、俺の能力を見せてやる」


(そんなもったいぶっておいて、能力がショボかったらどうしよう。

だって児戯の力でしょ? それでデルタを止められる?

冗談も程々にして欲しいわ)

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