第五話:先輩と明石とブラコンとゴキブリ男

〜試験内容〜


配点Lv.1...1点、Lv2...5点、Lv3...30点、Lv4...40点

先輩方...30点 教員...50点


なお協力して倒した場合、試験監督の独断と偏見で貢献率を測定。

討伐の貢献度で得点が分配される。

また、Lv1の魔物はトドメを刺した方の得点となる。



...そして御巫みかなぎは見つけた先輩に喧嘩をふっかけていた。


「目指すは100点! 犠牲になってください先輩方ぁ!!!」


かかとから爆発を起こし、先輩の脇腹に蹴りを入れようとするも、

華麗に躱す先輩。


先輩A

「そう簡単に倒せると思ったかい? スクールカーストは下でもさ、

 半年以上エリートに鍛えられてるのコッチは!!! 影踏んだ!」


すると先輩は私の影を踏み、私を固定する。


「足が動かない!?」


足が動いてない隙を突き、後ろから殴りかかる先輩。


先輩A

「残念ながら不合格だね! 敗因は欲をかいて誰かと協力しなかったこ...」


「おんどりゃああ!!!」


私は下にガソリンを垂らして着火する。


ドカアァアァアアアアン...!!!!


「得点ゴチっす!」


既に自分の体は能力に適応しているので、

御巫みかなぎに自らの爆風はノーダメなのである。


先輩A

「メンツ...丸つぶれなんだけど...」


メンツ丸潰れの先輩を差し置いて、颯爽と次の相手を探す御巫みかなぎ


「アレはもしかしてLv4!? 何人か相手してるわね。

 トドメ刺しに行こうかな!」


曲がり角の先の開けた道路には、受験生達がlv4の魔物と交戦していた。

それを見つけて全力ダッシュでLv4に向かう御巫みかなぎ


デルタ

(やめておケ、今のお前じゃ勝てネェ)


「うっさいわね、今に見てなさい!」


Lv4の魔物に蹴りかかろうとした瞬間...


ギュガァアァァアアァアアア!!!!!!


???

「あがぁああぁああぁああ!!!!!!!!!!」


半人半魔のような男が空中からビームを吐き、Lv4の魔物を貫いた。


「試験にはあんな化け物もいるのね...いや違う!

 アレは能力であの姿になったんじゃない!召喚したんだ!

 だってあの悪魔みたいな男におんぶしてもらってる奴がいるもん!

 なんだただの召喚魔頼りってだけなのね。ダサ」


???

「あの子、兄ちゃんをバカにした。やっつけるよ兄ちゃん」


半人半魔の悪魔に背負われる男が、攻撃の対象を御巫に定めた。


「マジ? でもアンタの得点、私が貰い受けてあげる!」


実は得点制にはもう一つのルールがある。

受験生を倒せば、受験生の現段階のポイントの半分を貰えるのだ。

回復を済ませば戦場に再復帰が出来る。(推定回復時間30分)


デルタ

(やめておけ負けるゾ。オレの能力を所持したやつが負ける様なんざ、

見たかねぇんだヨ)


「言ってなさいよ。この能力で、アンタの面子を立たせてあげるわ!」


門叶凛とがのりん

「僕の兄ちゃんを馬鹿にした。普段は僕大人しくするけど、

 その所業だけは許さない! 絶対に謝らせてやる!

 僕の名前は門叶凛とがのりん。君の名前は?

 君下民だし、万が一君が合格したらいじめ抜く!」


「私は御巫紡みかなぎつむぐ。貴族のくせに勘違いも甚だしいわね!

 私が軽蔑したのはお兄ちゃん(?)じゃなくてアンタよ。

 お兄ちゃんのおんぶに抱っこ、おまけに短気でやることもしょうもない」


門叶

「よっぽど殺されたいようだね! やっちゃえお兄ちゃん!!」


お兄ちゃん(?)

「ブワアアァァアァァァアアァァァアア!!!!!!」


赤い光線を御巫みかなぎに放つお兄ちゃん(?)


「っ危な! 威力だけはあるようね...!!」


赤いビームをギリギリで爆破を起こして躱す御巫。


デルタ

(気をつけろ、あの悪魔、Lv4~5はあるぞ!)


「知ってるわよ! でも決定的な弱点を抱えてる!」


巨大なビームを躱しつつ、ビルの壁を走って登る。


門叶

「弱点だと? お兄ちゃんに弱点はないよ!」


「何言ってんの、君のことだよ!!」


ビームによって生まれた隙に、ビルの上から一気に距離を詰める。


お兄ちゃん(?)

「グラァアァアア!!!!!!」


御巫みかなぎに殴りかかるも、腕を足場にして背中に回る。


「爆拳!」


門叶

「やっ、やめ"ろ"ぉ"お"お"ぉ"ぉ"お"お"お"!!!!!」


ドガァアァァアアァアァアアン...!!!!


門叶の背中を爆発と共に殴った。門叶は気絶し、お兄ちゃん(?)も消えた。


「っしゃオラぁ! 読み通り本体おまえは貧弱なんだよ!

 貧弱貧弱ゥ!!」


デルタ

(よく勝てたなオ前)


「戦闘だけなら自信あんの。アンタ私の訓練見てたの?」


デルタ

(いや、微塵も興味なかっタ)


「あっそ。さぁて何点入ったかな...? えっ!?40点!? 

 アイツ80も持ってたの!? 合わせてこれで76点!

 イケる、イケるかもぉおおおぉおぉおお!!!」


試験前に装着させられた腕時計を覗き込み、自分の得点を確認していた時、

聞き覚えのある声の悲鳴が聞こえた。


明石

「つむぐぅ!!! 助けてくれぇ!!!!」


???

「貴方がふっかけて来たんでしょうが!!」


ザリガニの装甲にヒビを入れる程のパンチを御見舞するゴキブリ男。


「明石と...さっきのゴキブリの人!!」


明石は御巫みかなぎの元へ駆け寄ってくる。


明石

「コイツ滅茶苦茶強いんだよつむぐぅ!」


「知るかよ勝手にやられとけ! ...いやちょっと待って...こうだ!!!」


明石に殴りかかる御巫みかなぎ


明石

「なんでぇえええぇえええ!!!!」


ドガァアァァアアァアァアアン!!!


明石を爆炎と共に本気でぶん殴り、明石から半分得点をゲットする御巫みかなぎ


「幼馴染だからって味方だと思うな!」


明石

「なん...で...」


デルタ

(最悪だなお前)


(うるさいわね、こっちは生死がかかってるの!)


ゴキブリ男

「得点を奪われましたか...まあいいでしょう」


「アンタ、今何点?」


ゴキブリ男

「132点ですね。」


「へっ、へぇ〜。また機会があったら会いましょう」


50分が経過した現時点で100点を大幅に超えているゴキブリ男の強さを前に、

怖気付いて逃げようとする御巫みかなぎ


ゴキブリ男

「ちょっとまってくださいよ。貴方は何点持ってるんですか?

 僕が答えたんだから答えてくれてもいいじゃないですか」


「ん〜と、明石を倒したので...84点だわ」

(アイツ16点しか持ってないのかよ!使えな!)


ゴキブリ男

「つまり42点入るわけですね...倒してみる価値は十分にある」


「冗談じゃないわゴキブリに点数奪われるとか。それじゃ!!」


ゴキブリ男を背中に猛加速して逃げる御巫みかなぎ


「とっとと逃げ切って、次の魔物探そ!」


ゴキブリ男

「どこに逃げるつもりですか?」


「はぁ!?」


自分の全速力を涼しい顔して追いついてくるゴキブリ男にビビる御巫。


「何で追いつけんのよ! こちとら初手から最高速度なんですけど!?」


ゴキブリ男

「ゴキブリを少し侮りすぎです。ゴキブリだって、

 初速から最高速度で走れます。更に1秒で体長の50倍走れる、

 つまり新幹線よりも速く動けるんですよ」


「ゴキブリに追いかけ回される方の身にもなれマジで!」


愚痴を垂れる御巫に、ゴキブリ男は振りかぶる。



ゴキブリ男

五鬼振ごきぶり!!!」


「危なっ!」


ドゴォオォオオオォオオン...!!!!!!

4本の腕と頭を同時に降って御巫みかなぎに攻撃しようとするも、

溜めが少し大きいためギリギリで躱せた。ただゴキブリ男の技はビルに衝突し、

ビルが御巫の方向に倒れる。


「嘘でしょ殺す気!?」


ゴキブリ男

「ごめんなさいなんとか逃げて!」


「このくらい大丈夫に決まってるでしょ!」


空中で拳から爆撃を放って横に避ける。


ドゴォォオォオン...!!!!


ゴキブリ男は倒れたビルの下敷きになった。


「今のはマジで危なかった...ってゴキブリ君が下敷きに!」


するとゴキブリ男はビルの瓦礫の中からガタガタと音を立てて出てきた。


漆原貫徹うるしばらがんてつ

「失礼ですね、僕には漆原貫徹うるしばらがんてつという、

 ちゃんとした名前があるんですよ? それとゴキブリは、

 頭さえ通ればどんなところでも通れるんですよ。猫みたいで可愛いでしょ」


「ごめんキショいわ。私は御巫紡みかなぎつむぐ

 ゴキブリはどこまで行ってもゴキブリだと思う」


漆原

「コレでもダメか...

 ゴキブリは凄いんだぞって所をもっとアピールしないとですね」


「なにそれ...でもちょっと面白い。ゴキブリは嫌いでも、

 アンタは嫌いじゃないわ。これから頑張りな」


良いこと言ってどさくさ紛れに漆原から逃げる御巫みかなぎ


漆原

「そうですね...なんて表現するのが良いんでしょう?

 って、御巫みかなぎさんが居ない!?」


漆原との交戦を終え、魔物を探しがてら歩く御巫みかなぎ


「マジなんだったのアイツ! 決めた、やっぱ目標点は130点よ!」


そう意気込んだ瞬間...下に黄色い穴が出現し、落ちたかと思えば空にいた。


「何が起きたの!?」


取り敢えず爆風で速度を中和して着地する。


???

「なんだ、倒れないのか」


「アンタまさか...!!」


目の前に現れた男の顔は対アギ魔隊総隊長天城と瓜二つの男だった。

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