第壱章:受かるか死ぬか!地獄の受験編
第三話:耐え抜け地獄の壱番隊生活!
壱番隊へ外も見えない護送車で向かう。付けられた首輪には
24時間GPSの機能に加えて、ボタン一つで電撃が迸ったり、
首チョンパ出来るらしい。人権が無いのか私は! ...無いのか。
護送車の中がえげつない程暇なので、
日神さんに気になったことを質問してみることにした。
私
「壱番隊ってどういう隊なんです?」
日神
「...壱番隊は全ての隊を総括している隊だ。
壱番隊隊長=アギ魔隊総隊長だ。現総隊長は
歳はまだ20だが、実力は俺以上だ。月守も最高のアギ魔の戦力だが、
才能で言えば天城に軍配が上がる。アイツはイレギュラーだ。
能力が複数あって、その全てが奴を最強たらしめる」
※アギ魔隊、アギ魔=対アギ魔隊の略。
魔学=私立対魔教専門高等学園の略。
私
「能力を複数個所有!? そんなのアリなんですか!?」
日神
「お前も似たようなもんだろ。だが...お前ならもしかすると、
天城を超えれるかもな。そう感じさせる何かがお前にはある」
私
「そんな訳無いでしょう、さっきまで唯の女子中学生だったんですよ?」
日神
「越えはせずとも、並ぶくらい強くならなきゃいけないんだお前は」
私
「重荷過ぎますって... あっ、そういえば...」
受け止めたくない現実から逃げ出すように話を切り出す御巫。
日神
「どうした?」
私
「私の周りの人達に、私なんて説明したらいいんでしょう。
レベル6の魔物なった、なんて言えるわけ無いですし...」
日神
「それに関しては多少強引だが、
お前の能力が危険だと判明したから、公式に魔学で管理することにした、
という旨を伝えるつもりだ。胸糞悪いかもしれないが、
貴族も管理してる学校だ。下民にはあながち無い話でもない」
私
「嘘は付いていないけど...複雑ですね」
日神
「そんな事言ってる間に...着いたぞ」
私
「ここが...」
大きく"壱"と刻まれた目の前には如何にも近未来の城がそびえ立っていた。
日神
「そんじゃ天城、後は頼んだぞ。」
日神は帰り、壱番隊の城の前に、私と最強だけが残った。
天城
「任されました日神さん。そして
ここが何ヶ月か貴様を管理する壱番隊だ。少しの間だが、歓迎しよう」
改めて天城と大きな城が出す圧倒的な空気に押される
私
「よっ、よろしくお願いします」
天城
「案内しよう」
私
「あの!」
天城
「どうした?」
私
「なんで...私なんかを庇ってくれたんですか?」
天城
「そんなことか。移動ついでだ、ゆっくり話そう」
壱番隊の城へ入りつつ、天城は心情を明かした。
天城
「俺には君と同い年でプライドの高い弟がいてな。
弟もアギ魔隊志望で将来の夢は総隊長だと言う。
だがどうしても俺に負い目を感じてるらしい。
...だから弟は強くなるためだけに人との関わりを絶ったんだ。
その結果弟は荒んでしまった。強いのは事実なのだけどな。
だが、このままでは弟が総隊長にはなれない。
人とのコミュニケーションが、隊としての強さに繋がるんだ。
だから弟の目を覚ましてくれそうなライバルを探してたんだ。
兄として今まで何もできて来なかったどころか、弟を苦しめている。
今の俺に出来る事はこのくらいしか無いんだ。
君が成長すれば弟のライバルとして不足はないと思った」
私
「メチャクチャ私情じゃないですか!」
(なんで敵かもしれない私を弟くんのライバルにしようと思ったのよ!?)
天城
「フッそうだな。
ただお前にはアイツと仲良くなって欲しい。クラスは別だろうがな。」
私
「なんでそんな事分かるんですか?」
天城
「クラス分けは上から順番に
A組...成績上位の貴族のみで構成されたクラス
B組...成績上位の平民とA組から落ちた貴族で構成されたクラス
C組...合格した下民とB組から落とされた平民で構成されたクラス
となっている」
私
「そうなんですね...」
(私Cクラス確定!? どんなに成績良くても!?)
天城
「不快に感じるのも無理はない。
俺だって貴族だから総隊長に上げられただけだ。
実力で言えば、日神さんや
だが残念ながら彼らは平民だ。帯刀さんは総隊長になっても、
貴族からの反発で降ろされたようなものだ。
俺は本来ココにいるべきではないのかもしれない。だが、
与えられたことは必ずやり遂げる。
そうでもしないとこの重荷が取れない気がしてな」
私
「謙遜し過ぎでは?」
(冷静で寡黙な人かと思ったけど、意外と喋るし私情を挟む人なのね。
おまけにイケメンで最強。弟さんの夢が総隊長なら、
負い目を感じちゃうのも無理ないか)
天城
「君にとっては居心地の悪い学校かもしれないが、
ココに入学するしか君に道はない。だから壱番隊は...君を徹底的に鍛える!」
私
「はいぃいぃぃいいぃいい!?」
トレーニングルームに連れられてジャージを着せられた。
天城さんは仕事でいなくなり、今から誰かに修行をさせてもらうんだって。
天城
「俺は仕事があるから、後は任せたぞ本堂」
???
「はい、わかりました」
私
「えっと、どちら様で...」
本堂
「私は
私
「
本堂
「よろしくね。じゃあまず、貴方の能力を教えてもらおうかな?」
私
「はい。今わかってる限りだと、まずエンジンの力。
身体内部の構造がエンジン(?)になってて、
運動すればするほど疲労や乳酸の代わりに高濃度のガソリンが蓄積して、
そのガソリンを消費してより高い運動をすることが出来るっぽいです。
まださっき初めて使ったばかりでいまいちピントは来てないんですけど...
それと...殺した人間の姿、身体能力、声などを完全に擬態することが出来る...
能力を...」
本堂
「無理しなくていいわ。なるほど、運動すればするほど、
疲れずにより運動ができる能力ね。ハッキリ言ってめちゃくちゃ強いわ、
いい能力じゃないの」
デルタ
(オレの力なのにナ)
私
「そうなんですか? でも私運動はあまり得意じゃ...」
本堂
「別にいいの。"体は能力に適応"するもの」
私
「体が能力に適応する?」
本堂
「そう。例えば日神さんがいい例かな。彼は自分の体から炎を出すでしょ?
一回自分の能力で火傷すれば、それ以降自分の炎で焼けることはないの。
他にも炎を噴射してジェット機みたいな速度も出せるけど、
それに人体が耐えれるのも、体が適応した証拠ね。だからアギは、
能力を使用せずとも身体能力が異常な場合がある。
オリンピックでハブられるのも、能力を使わなくても強いからなのよ」
私
「へぇ...」
本堂
「だから貴方も、一回激しい運動で靭帯とかを切ったとしても、
次の日には治ってるし、何なら能力を使用せずとも速い運動が可能だわ。」
私
「一回靭帯辺りを切る前提で話してません?」
本堂
「そうだけど?」
私
「最悪だ...」
その日はそれから私は運動し続けた。筋肉も靭帯も悲鳴を上げた。
あくまで疲労が溜まらないだけで、筋肉は千切れるっぽい。
絶望的な痛みが私を襲った。でも後日、完全に治ってた。
何なら本当に昨日までの私のカス運動能力が嘘みたいに良くなってる。
マジでどんな体の動かし方をしても体に以上をきたさない自信がある。
いや、私の体別には柔らかくないんだった。
どんな動かし方をしても痛くないのは嘘です忘れてください。
私
「よし、次の試練はなんですか!? 今ならどんなもんでもかかってこいですよ!」
本堂
「それはよかった、じゃあはい! 試験勉強しましょ!
後2ヶ月しか残ってないわよ!」
私
「そんなぁああぁああぁぁあああ!!!!!!!」
本堂
「仕方なじゃない。体が能力に適応することも知らなかったんでしょ?
魔学の試験範囲は基本3教科に加えて、能力や魔物、
アギの犯罪の対処に関して知識等も必要になってくるのよ?」
私
「そうなんですか!? てっきり実戦的な試験だけだと...」
本堂
「そうね。戦闘科で受けるのなら、実戦試験と筆記試験、
二つの合計得点が高い順から合否が下されるの。私や玖番隊みたいな、
サポート科なら通常の試験と能力の有用性で決まるわ」
私
「そんな...」
本堂
「紡ちゃんの成績は...何コレ。偏差値34? えっ、何かの冗談でしょ?」
本堂顔が引き攣る。
私
「冗談で済んだらよかったんですけどね...へへへ」
私は二ヶ月、ひたすら勉強と運動を繰り返し続けた。
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