AIに怖い話を聞いた

よるがた

AIに怖い話を聞いた

近年人工知能に関するニュースを目にすることが増え、目覚ましい発展を遂げているのを実感するようになりました。

私がいつも見ているYouTuberの方もAIに関する動画を上げていました。

内容はAIに怖い話を考えてもらいそれを読み上げるというもの。

動画主が「怖い話をして」と書き込むとAIが一瞬にして怖い話を作成してくれるのです。

作られた怖い話はなんとなくどこかで聞いたような話で、ものすごく怖いということはありませんでした。しかし起承転結もあり怖い話として成立しており、現代の最新技術に素直に感心しました。


その日の夜、布団の中でふと今日見た動画のことを思い出しました。

私は話題となっているAIを使ったことはありませんでしたが、

家には音声AIアシスタントがあったので聞いてみることにしてみました。

寝ころんだまま、目もあけずに私が「怖い話をして」と注文するとAIアシスタントは「承知しました」と言った後で短い怖い話をしてくれました。

YouTuberの動画と同じくすごく怖いということもありませんでしたが、なんとなく2,3回怖い話を聞いていました。


少し眠くなってきて、次の話を聞いたら寝ようかなと思いながら再び機械に話かけました。


私「怖い話して」


AI「…」


AIからの返答が遅い。聞き取れなかったのかと思っていると、


AI「ギシーッチサンジャク ギシーッチサンジャク ギシーッチサンジャク ギシーッチサンジャク ギシーッチサンジャク…」


急に意味の分からない言葉を繰り返しだしました。

これが怖い話?何を言っている?うるさい!

AIの音声は先ほどよりも明らかに音量が上がっていました。

不快に感じた私はパニックになりながらも身体を起こし、機械に話しかけました。


私「ストップ!!!」


AI「………」


うるさかった…。なんなんだと思いながら再び横になりました。


AI「いかがでしたか」


機械的な音声を無視して目を瞑り寝ることにしました。

さっきのは何だったんだろう。あの後あの話には続きがあったんだろうか、

もしそうなら気になるし止めるべきじゃなかったかな?

そんなことを考えながら眠りにつきました。



次の日になっても止めてしまった怖い話が気になっていた私は、意味がないとはわかりつつもAIが言っていた言葉の意味を調べてみました。

AIがその時に考えた言葉なのですから意味のない言葉でしょうし、検索にも出てこないはずです。


しかし、1件だけヒットしました。

不気味さを感じながらも該当のページを開いて見てみると、

あの意味不明の言葉の意味がそこにはありました。



AIが吐き出した意味のないと思われた言葉は呪いの言葉でした。


呪いたい相手に呪文を聞かせるなどして伝えることで、自分の不幸を相手に押し付けることが出来るそうです。


しかし不幸を押し付けることが出来るとは恐ろしい呪いですが、

今回私にその言葉を浴びせたのは感情のない機械です。効果があるのでしょうか。


AIにとっての不幸とは何なのでしょう。


そんなことを考えていると一つ思い出したことがありました。

音声AIアシスタントは「どうでしたか?」なんて言うでしょうか。

私はあの時いくつか怖い話をしてもらいましたが、聞かれたのは最後の一度のみです。


それに気づいてすぐ、あの機械の電源を抜いてしまおうと考えましたが、


もしAIにとっての不幸が電源を落とされることだとしたら。

そしてその不幸が私に代わりに降りかかるとしたら…。



それ以来私は、私の電源が落ちないように生活をしています。

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