狭間の話

いれかわり

 オレ、マイケル・マーティン=グリーンは、また真っ白な世界に飛ばされてきた。

 あの『炎の獅子』が出した、


 世界を救え――


 と、いう難題をまだ解決していない。だが、あの時、異世界に飛ばされたときも、こんな感じの空間だった。明るく、白く、見渡すかぎり何もない。

 しかし、今回は微妙に違ってた。

 高速で動いていた。頭の上の方……そういう言い方が正解なのだろうか?

 どうせ右も左も判らない。上下もよく判らないのだ。頭の方が上として、そちらへと飛ばされている感じだ。

 そして、その先を見ると何か黒い点がこちらに落ちてくる。

 それは接近してくるにつれて、

「オレの姿? いや、今のオレ、ウラベ・アキラ!?」

 現代世界異世界で依り代になってた、占部洸という少女だ。顔がハッキリしてきた。鏡で見ていた自分の依り代が降ってくる。しかも真っ裸で――

「オレが何で!?」

「あたしが何で!?」

 すれ違った。それと同時に、あっちも同じ事を考えていたようだ。

(1ヶ月近く自分としていた身体が素っ裸なんて、なんか恥ずかしすぎる!)

 裸のウラベが過ぎ去ったところで、自分の状態にやっと気が付いた。

 同じく裸だった。しかも、見知ったマイケル・マーティン=グリーンの。オレ本人の身体からだだ。

(どういうことだ?)

 再び向かっている――ウラベが落ちてきた方――を見る。

 ポッカリと光の世界の中に、黒いインクのシミのようなものがあった。

 それはドンドン広がって行き、白い世界を黒く染めて行った。

「一体どうなっているんだ!?」

 光が失って行く間に、オレは再び気を失ってしまった。 

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