094 何度告白してもOKしないギャル。諦めて別の人に告白することにしたら…
「………なにー?オタク?
『話があるから来い』って。
階段の踊り場まで来てさ。
………
………はー。教室戻る。
…何よ?『返事は?』って。
そんなの決まってじゃん。
ノーだよノー。
…ったくあんたもしつこいよねー。
こっちがノーだって言ってんのに、何度も何度も告白してきてさ。
しかも毎日。ことあるごとに告白してきやがって。
………
…理由って………
あのね、これも毎回毎回言ってんじゃん。
あんたみたいなメガネでネクラでオタクみたいな人種、あたしは大っ嫌いなの。
付き合うとか無理無理。無理でーす。
………態度?
…そりゃあねえ。最初の告白ん時はマジきもくて最大声量で『嫌い』っつったっけどさ。
何回も同じ事繰り返してれば、大声で断るのもめんどくさいの。
どっちにしろ嫌いって答えは変わんないんだから、どう言おうといいじゃん。
………
嫌いだよ、嫌い。
まじ寄ってくんな、このキモオタ」
「………あ、オタク。
…ああ、はいはい、いつものアレね。いつものアレ。
だから、何回告ってきても………
…え、最後………?
ふーん、今日で最後にするんだ。
それで?だからどうしたの?
今日が最後の告白だからって、それがどうしたってゆーの?
………
アハハッ!
最後って言えばワンチャンあるかと思ったんだー?
でも残念でしたー。
最後だろうと何だろうと、こっちの気持ちは何一つ変わんないから。
あんたのことなんて、大大大っ嫌い。
だから、さっさと諦めて………
………
…え、本当に諦めんの?
へー、そうなんだー。
………別に、せいせいする。
これでもうキモオタから告白されないって思うと、すがすがしい気持ちになるわー。
………じゃ、もう終わったっしょ。
ならあっち行ってよ。
しっしっしっしっ。
………
………
………
…マジで帰ってったし。
あーあ、これでやっと、オタクから解放されるわー。
よかったよかった。
まじでよかった」
「ねえねえ、それでさー。この間行ったお店が…
………って、あれオタクじゃん。
中庭のとこで…何やってんだ?
一緒にいんの、生徒会長じゃん。
二人で何を………
………え?あいつ、今度は生徒会長に告ってんの?それマジ?
…毎日毎日?あたしん時みたいに?
………ふーん。
何あいつ。この間まで、あたしに好き好き言ってたくせに。
今度は生徒会長に乗り換えてんの?
………
…は、はあ?
んなわけないじゃん!
オタクのことなんか全ッ然気にしてなんかないっつーの!
今度は生徒会長が犠牲者なんだーって、かわいそうに思っただけだし!
…ん、んん。
ほらさっさと行こ行こ。
早くしないと、お昼食べる時間、無くなっちゃうし。
ほらほら。
………
………
………
…気になるとか、そんなわけ、ないじゃん」
「…あっ。オタクじゃーん。
なんか最近あんた、生徒会長に告ってんだって?
やめときなよー。
あんなクールで真面目な生徒会長が、あんたなんかになびくわけないって。
何回告ろうが、あたしん時と同じ結果にしかならないって。
………
えっ…
そ、そりゃ、まあ。関係ないっちゃ関係ないんだけどさ…
………ほ、ほら。
あたしはあんたの告白の被害者だからさ、同じ被害者として、生徒会長がかわいそうだなーって。
だからもう、止めといた方がいいと思うよー、っていう親切なありがたいあたしからのアドバイスアドバイス。
あたしで懲りたら、生徒会長なんかに告白するのはもうやめてさ………
…行っちゃったし。
………
………
………
あたしにあれだけ、好きって言ってくれたのに…」
「ねえねえ、好き、好き。付き合って。オタク♪
………えー、今日もダメなのー?
前はあんなに告ってくれたのに、どうしてー?
………嫌いって、言ってたから?
…あー、まー、そうだね。
確かにあたしは、前はオタクのことが嫌いだった。
メガネでネクラでオタクなあんたのことなんて、虫唾が走るくらい嫌いだった。
でもさ、そんなオタクは、あたしが何回も何回も嫌だって言っても、何回でも何回でも告ってきた。
10回断れば11回。20回断れば21回。50回断れば51回。
それだけ毎日毎日告られるとさ、目をつむっても、オタクの告白が、頭の中ぐるぐる回るの。
『好きです。付き合ってください』
『好きです。付き合ってください』
『好きです。付き合ってください』
『好きです。付き合ってください』
『好きです。付き合ってください』
そりゃあ最初は嫌だったよ?
想像ではおろか、夢にまでオタクが出てくるんだもん。
嫌で嫌で仕方なかった。
…でもふと、わかっちゃったんだ。
いや、気付いちゃった、かな。
オタクはこんなにも、あたしを好きだって思ってくれてるんだなってさ。
純粋で、混じりけのない好意。
それに気づいたらさ、こんなにも好きって思ってくれる人、他にいないんじゃないかって思ったわけよ。
この先、こんなにも好きって言ってくれる人には、もう出会えないかもしれない。
そしたらだんだんオタクのことが気になってなって…
………気付いた時には、オタクのことが好きになってんだ。
だから好きです。あたしと付き合って、オタク♪
………
…ぶーぶー。
そうですかーそうですかー、そんなに生徒会長の方がいいんだー。
………え、ああ。今のターゲットは、転校生のアイドルちゃんなんだ。
でも、あたしは絶対諦めない。
オタクが何回何回嫌って言っても、また告白するから。
…オタクがOKするまで、毎日毎日、ね。
じゃ、また明日告白しに来るからー。
待ったねー、オタク―♪
大好きだよー♪」
『………今日はあのメガネの子、来ないんだ…
ちょっと前まで、毎日のように告白してきたのに。
そういえば最近、噂の転校生に告白してるって、周囲が噂してたっけ。
………
何回も何回も断ってきたけど、最近は少し君のこと好きになってきたのに。
………
…あれ。あの子、告白されてる。転校生じゃないみたいだけど。
あの子、そんなに人気のある子なんだ。
………
私も、あの子みたいに毎日告白したら、いつかはOKしてもらえるかな。
………
…そうだね。誰か他に人のものになるくらいだったら、私があの子の隣に居たい。立ちたい。
あれだけ好きって言ってくれた人、他にはいないから。
………
明日、あの子に会いに行ってみよう。
頑張れ、私。
告白なんて、生徒会長の業務に比べたら、これっぽっちも苦じゃないんだから』
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