095 目が覚めて「毎朝起こしに来る隣の家の幼なじみ」がいるのって怖くない?

「(ピリリリリリリリリリリリリッ!)

おっはよー!

もう朝だよー!

ほら、早く起きないと、学校遅刻しちゃうよー!

(ユサユサユサユサ)

おーきーなーさーいー!

(………)

…もう、これだけやっても起きないとか、昨日どれだけ夜更かしてたんだか。

………あ、パソコン立ちっぱなし。

さては、寝落ちしたなー?

どれどれー、何を見てて寝落ち………

はうっ!はわわわわわわわっ!

…も、もう、こんなの見ながら寝落ちするなんて…

で、でも、仕方ないよね。男の子だもん。

………

…んー、かわいい寝顔。

かわいくてかわいくてかわいくて、持って帰りたいくらい。

(つんつん)

うわー、ほっぺもぷにぷにだなー。

いつまで触ってても飽きないよ。

………っていけないいけない。

時間ないんだった。

こーらー!

いい加減起きなさーい!

(………)

あっ!やっと起きたー!

もうお寝坊さんだね、君は。

…それじゃあ、早く着替えてご飯食べよ?

朝食用意して待ってるから!

………

………

………

………え、何かな?

…私?

もうやだなー、忘れちゃったの?

隣の家にずーっと住んでる幼馴染の顔を。

………え?いない?空き部屋?

違うよ違う。

マンションじゃなくて、一軒家でしょ?

今は出張でいないけど、両親と一緒に住んでいる一軒家。

私も親がなんだかんだでいないけど、両親と一緒に住んでいるお家だよ。

………嘘?

嘘じゃないよー。

私は、君の家の隣に住んでいる幼馴染なの。

学校に遅刻しちゃうから、君の部屋まで起こしに来た長なじみ。

………学生じゃなくてサラリーマン?

うふふふふふふっ。

もう、何言ってるのかなー?

君はサラリーマンじゃなくて、学校に通ってる生徒。

幼い頃からずーっと、毎日毎日私と一緒に登校している学生。

この間のテストで点悪かったから、ちょっとおかしくなっちゃったのかな?

幼馴染としては、そういうちょっと抜けてるところも………

………そうだよ?私は君の幼馴染だよ?

生まれた瞬間から、病院のベッドの隣同士でずっと一緒の幼馴染。

毎日公園で、日が暮れるまで遊んだ幼馴染。

「将来君のお嫁さんになる!」って言って、君と結婚を誓った幼馴染。

………ねえ、思い出したでしょ?

この顔を見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

見て。

君は覚えているはず君は覚えているはず君は覚えているはず。

私は君の幼馴染私は君の幼馴染私は君の幼馴染。

毎日一緒に学校行ってる幼馴染毎日一緒に学校行ってる幼馴染毎日一緒に学校行ってる幼馴染。

将来結婚を誓った幼馴染。将来結婚を誓った幼馴染。将来結婚を誓った幼馴染。

私は君の、幼馴染なの。

もしも、思い出せないっていうなら………

(バチッバチッ!)

これを当てたら、思い出してくれるかな?

大丈夫大丈夫。

ちょーっと、バチッて来るだけだから。

一瞬痛いかもしれないけど、絶対に、すぐに思い出してくれるはずだから。

………

…え、思い出してくれた。

よかったー。記憶喪失になったかもって、ちょっと心配しちゃったよー。

でも、そういう嘘はダメだぞっ。

幼馴染だから、許してあげるんだからね。

………じゃあ、朝ごはん食べよう?

今日は、腕によりをかけて作った自信作なの。

いーっぱい作ったから、全部食べてねっ。

君のほっぺた落としてあげるから、覚悟しておいてねっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る