093 いつもこき使ってくる暴力的支配者の姉からボクは絶対逃げられない
「(ガチャッ)
………今帰ったぞー。
…おーい、いねーのか―?
(バタバタバタバタッ!)
…ったく、いるんじゃーねかよ。
いるんなら姉様を玄関で出迎えるのがルールだって、何度も言ってんだろーがよ。
(ゴフッ)
おーおー、そんなに腹抱えちまって。
でも、ルールを破ったてめーが悪いんだからな。
…で、今日のメシは?
………魚の煮付け?
えー。今日は肉をガツンと食いてー気分だったのによー。
………あー、確かに今朝言ったよ。「今日は魚にしろ」ってな。
でも昼間仕事して、帰ってくるまでに気が変わったんだよ。
そのくらい察しろっつーの。
…ま、いいや。
メインは魚でもいいからよ、なんでもいいから肉料理追加しとけ。
…なんでもいいよ。手早くできるもんだったらなんでもな。
じゃ、先風呂入ってくるわー。
………「あ」ってなんだよ。「あ」って。
まさかてめー、風呂入れとくの忘れたんじゃねーだろーな?
………「入れてません」かよ。
あー、あー、あー、あー。
おいおいおいおい。
あたしが外で金を稼いでくる。
で、てめーは家で家事をする。
あたしはちゃんと外で仕事してんのに、てめーが家事できてねーってどういうことだよ?
もう一発殴んぞ?コラ。
(ゴフッ)
あっ、わりー。返事聞く前に殴っちまったわー。
でも悪いのはてめーだから、文句ないよな?
わかったんならさっさと風呂………
…なんだよ。エプロン叩きつけて。
………はあ?なんで?
なんで家を出てくんだよ?
………
…ふーん。もうやってられねーってか。
そーかいそーかい。
なら、さっさと出てけよ。
じゃーなー。
(バタン)」
「(ガチャッ)
………
………
………
…誰だよ、こんな時間に………
…って、てめーかよ。
なんだなんだ。出てったんじゃねーのか?あ?
「もうやってやれねー」って、のたまってたのはどこのどいつだ?
しかも一週間もたたずにのこのこ帰ってくるとか、マジウケんだけど。
………おい、何勝手に上がろうとしてんだよ。
靴脱ぐ前に、あたしに言うことがあるだろ?
………
…そうそうそうそう。
地面に頭くっつけて、「ごめんなさい」だよな。
ちゃーんと、わかってるんじゃねーか。
(グリグリグリグリ)
所詮てめーは、この姉様が一緒じゃねーと生きていけねーもんな―?
ろくに資格もない、スキルもない、体力もない。
そんなやつがポイっと放り出されたところで、バイトで小金を稼ぐのがやっと。
いや、てめーの場合、バイトすら長続きしねーもんな。
何日で辞めたっけ?てめーが学生の頃やってたバイト。
………カカカッ!
二日って。二日って…
そうそう。三日坊主よりもひどかったもんなー。
そんな根気すらねーてめーは、姉様に養ってもらわねーとろくな人生過ごせない底辺なやつでしかねー。
…いーよいーよ。
寛大な姉様は、勝手に出てったてめーのことは許してやる。
いくらルールを破ろうとも、出てけなんてあたしは言わない。
ルールを破ったらお仕置きはするがな。
…で、てめーは一生あたしに尽くせ。
そして一生養われろ。
心の広ーい姉様の後ろで、こそこそ隠れながら生きていけばいいんだ。
…そーだ、風呂入ってきたらどうだ?
どこ行ってか知らねーが、どうせ体きたねーだろ。
もちろん、あたしも一緒に入るがな。
あたしの背中を流すのが、最初の仕事だ。
今日の仕事もきちかったからなー。
クソ上司にめちゃくちゃこき使われてさ、最悪だったんだよ。
肩も凝ってっるし、風呂出たらマッサージも頼むなー。
…ほらつっ立ってねーで、さっさと風呂行くぞ」
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