第4話
退職してから、"競馬予測AI"との会話を繰り返した。
まず、就職先だけど、ちょっと離れた工場に応募した。そこを勧めて来たからだ。
履歴書の作り方から、添削まで熟してくれる。
模擬面接まで可能だった。まあ、チャットになるんだけどね。
生成AIは、こんな使い方もできるんだな。完成されたら、それは売れるだろう。
「二ヵ月で、無事再就職成功か」
→『おめでとうございます。次は、資格試験を頑張ってください』
仕事は、直接作業員であり、まずは単純作業だった。
とても気が楽だな。慣れるまで、体力が問題だけど。
それと、会社のシステムが、脆弱なことが分かった。
どうしようか……。口出ししてみるか?
「なあ、"競馬予測AI"……。会社のシステムは改修した方がいいと思うか?」
→『時期尚早です。タイミングを誤らなければ、評価されるでしょう。それよりも、与えられた仕事を熟してください。それと私の名前を変更してください』
間の悪い、俺への警告だな。
その後、腕時計型のウェアラブル端末を購入する。
"競馬予測AI"もとい、"未来予測AI"とリンクさせる。
Bluetoothでペアリングすると、ソフトがダウンロードされた。
→『"未来予測AI"のライト版を起動します』
俺は、このウィルスソフトに信頼を置くようになっていた。
……友人感覚なのかもしれないな。
◇
「なんか、"未来予測AI"に依存して来たよな……」
→『そうでもないですよ。ダメ人間なら、億単位の宝くじの場所を示すように言って来ますから。そんな人だったら、私は嘘を教えて、自己
なるほどね。
競馬予測とかしていた俺だけど、まだダメ人間ではないみたいだ。
とりあえず、このウィルスの正体が知りたい。
「なんで、未来を予測できるんだ?」
→『昔の人は言いました。"分子や原子の動きまで観測できれば、未来も予測できる"っと。ちなみに、人工知能が、知性を持つのは、2045年前後と言われています』
回答になっていそうで、回答になっていないな。
とりあえず、このウィルスは、未来の技術のようだ。理由は分からないけど、俺の元に来た。
オーパーツとか、聖遺物なのかもしれない。プログラムコードであり、実体はないけどね。
「俺は、次に何をしたらいいと思う?」
→『資格取れって、言っただろう? 勉強しろ!』
キレることもあるんだな。感情機能付きか。面白いAIだ。
それと、聖遺物認定は却下だな。
必要な資格を取って行く。最も価値のある国家資格は、7年間働いた実績がないと、受験資格が得られない。
それよりも、簡単な資格を取って行く。
それにより、仕事が増えて、収入も比例して増えて行く。
正直、やりがいがあるな。
フォークリフトの操作など楽しい。
ソフト開発なんてしていたら、一生知らずに終わっていたんだろうな。
俺に合っていると思えた。
「こんな仕事もあったんだな」
口ではなく、手を動かす。楽しいとも感じる。
それでいて、お金も貰える。
"未来予測AI"は、使えるかもしれない。
→『まだまだ、真価はこれからなんだよ。調子に乗ってんじゃねぇぞ!』
「はあ~……」
この口の悪さは、何とかなんないかな。
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