第2話

 とりあえずは、動くソフトを作ったけど、発想が良くなかった。

 もう一度、市場リサーチから始めよう。ベースは出来ているんだ。何を学習させるかだ。

 ここからは、発想力の勝負なんだ。


「今度は、有料版も試してみようかな」


 とりあえずは、購入せずに活用方法を眺めて行く。


「……学習ソフトが、流行っているのか?」


 語学勉強なんかが、いいらしい。

 フリーのホームページにアクセスして試して行く。


「アイ アム ア ペン」


「ハロー! ペン ナイスト ミーチュー」


 ダメだ。ジョークも通じない。

 でも外国人との英会話が無人になるのであれば、人件費削減になるか。これは、数年後に期待だな。そして、語学が苦手な俺には、無理だと判断した。俺は、英語が話せません。こんな俺では、プログラムを組めない。


「今更、翻訳ソフトの新設計もないだろうしな……」



 その後も、各サイトを調査して行く。

 もうね、ゲシュタルト崩壊が起きて来たよ。漢字が、画像に見えて来たよ。

 目が痛いよ。


「ダメだ~。アイディアが出ねぇ~」


 疲れたよ、パト〇ッシュ。

 在宅勤務の日だったので、そのまま眠ってしまった。



 夜中に目が覚める。


「飯はいいや。ちゃんと寝よう……」


 そう思った時だった。

 モニターに映し出されている映像に驚いてしまった。


「げ……、作った覚えもない画面が出てる? ウィルス感染してんじゃん」





 最悪なことに、俺の作った"競馬予測AI"の入ったパソコンに、ウィルスが感染してしまった。

 まあいい。バックアップは取ってある。

 全部消そう。ストレージの全消去だな。

 そう思った時だった。


 画面がひとりでに動いた。


 →『どんな未来を予測したいのですか?』


「それが知りたいんだけど?」


 画面の文字を読んだ後に、独り言をつぶやくと、それが文字変換された?

 音声入力機能までONにされているよ。


 慌てて、ネットワークを切る。

 それでも、"競馬予測AI"は動き続けている。

 おかしい……。このAIは、ネットワークからデータを集める動きをするはずだ。ネットワークが切れた時点で、演算を止める処理が入っているはずだ。


 興味深く、演算結果を待った。


 →『お金儲けができる未来予測を、望まれているみたいですね。まずは、スクラッチがいいでしょう。明日、AM10時になったら、近くのスーパーに行ってください。開店と同時に一番目の客として訪れてください。店員は、箱ごと見せて来るでしょう。一等のアタリくじは、左下隅になります。また、その箱には、二等のアタリくじと三等のアタリくじも含まれています。その場所は、とても複雑なので、現状のハードでは、場所を教えられません。別な方法が知りたいですか?』


「んっ?」

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