ヤバい生成AIを拾ったら~未来のAI技術はこうなるかも?~
信仙夜祭
第1話
「生成AIね~」
俺は、業務命令に困惑していた。
『最近話題の生成AIを用いて、会社のHPに乗せられる業務を立ち上げよ』
部長、課長、係長はスルーだ。
技術職の末端である、俺にまで降りて来た。
正直、まだ未成熟な生成AIか……。
人工知能(AI)で大失敗したのに、またか……。
「ディープラーニングに手を出した奴は……、ノイローゼになって退職したんだったな」
サーバーを漁って、ソフトの残骸を探す。
「……ハードまで購入したのか。それで、将棋ソフトを作って、コンテストに出たと。一勝もできずに敗退? 予算凍結?」
当時は、将棋ソフトの競い合いがあった時期だったんだな。
囲碁でAIが人間を負かした後からは、聞かなくなったな~。
対戦相手は、世界中のソフト会社だぞ? ギフテッドとかが作るソフトに、勝てるわけないだろうに……。
そもそも、予算が違う。
社長もどうかしてると思うけど、将棋ソフトを選んだこいつもどうかしてると思う。
「でも……、成果を出すのであれば、コンテストはいいかもしれない」
勝てればだけど。
◇
ネットで探して行く。
無料のソフトが、多数ある。まず、検証だよな。
「St〇ble Diff〇sionや、Ch〇tGPTが有名みたいだな」
画像生成にテキスト生成か……。
画像生成は、分かるかな。自分の好きな画像を覚えさせて、俺の描いた下手くそな画像を修正してくれる。
「……これ、著作権問題が発生しそうだよな」
ディープラーニングさせる『元』を間違ったら、裁判沙汰になりそうだ。
これはないな……。
うちの会社は、画像を取り扱っていない。
次に、テキスト生成だ。
使い方を調べて行くと、エゴサとか有名人の履歴が出て来た。
「俺の名前でエゴサすると、市議会議員の履歴が出てくんだけど……。それに、有名人の履歴も間違っているっていうし……」
ダメだ。将来は分からないけど、現時点では正確性がない……。
その後も調べて行く。
業務として成り立っている会社もあるんだな。
その一例が、『予測』だった。
工場生産の需要予測や不良発生予測、在庫予測なんてのもあった。
「まあ、部材管理が自動化できるのであれば、人件費削減になるよな」
でも、こんなもの納入したら、メンテに誰か張り付いていないといけなくなる。
作ったら自社の首を絞めるソフトになりかねない。
「でも、"予測"か……」
◇
一ヵ月後、プロトタイプが完成した。
→『日時と、競馬場を入力してください』
「競馬場と、何レース目かを入力する……」
後は、勝手にネットワーク経由でデータを収集してくれる。
現在出走可能な、馬の情報は、データ化済みだ。それらを組み合わせる。
「"競馬予測"の生成AIだ。馬の血統から、ラップタイム、当日の気象条件、競馬場の状態を学習させて、馬券を当てる!」
はぁ~……。
頭を抱えてしまった。
「俺は、何の仕事をしているんだろう……」
とりあえず、日曜日の競馬を『予測』させてみる。
結果は、10戦2勝……。
「倍率1.1倍と1.2倍を的中させたか……」
その後、解析を行ったけど、倍率の低い馬しか予測しないことが分かった。
俺の欲しい情報は、万馬券を予測するAIだったんだけど……。
何処で、間違ったのか。
「はぁ~、どうすっかな~」
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