ヤバい生成AIを拾ったら~未来のAI技術はこうなるかも?~

信仙夜祭

第1話

「生成AIね~」


 俺は、業務命令に困惑していた。


 『最近話題の生成AIを用いて、会社のHPに乗せられる業務を立ち上げよ』


 部長、課長、係長はスルーだ。

 技術職の末端である、俺にまで降りて来た。

 正直、まだ未成熟な生成AIか……。

 人工知能(AI)で大失敗したのに、またか……。


「ディープラーニングに手を出した奴は……、ノイローゼになって退職したんだったな」


 サーバーを漁って、ソフトの残骸を探す。


「……ハードまで購入したのか。それで、将棋ソフトを作って、コンテストに出たと。一勝もできずに敗退? 予算凍結?」


 当時は、将棋ソフトの競い合いがあった時期だったんだな。

 囲碁でAIが人間を負かした後からは、聞かなくなったな~。


 対戦相手は、世界中のソフト会社だぞ? ギフテッドとかが作るソフトに、勝てるわけないだろうに……。

 そもそも、予算が違う。

 社長もどうかしてると思うけど、将棋ソフトを選んだこいつもどうかしてると思う。


「でも……、成果を出すのであれば、コンテストはいいかもしれない」


 勝てればだけど。





 ネットで探して行く。

 無料のソフトが、多数ある。まず、検証だよな。


「St〇ble Diff〇sionや、Ch〇tGPTが有名みたいだな」


 画像生成にテキスト生成か……。

 画像生成は、分かるかな。自分の好きな画像を覚えさせて、俺の描いた下手くそな画像を修正してくれる。


「……これ、著作権問題が発生しそうだよな」


 ディープラーニングさせる『元』を間違ったら、裁判沙汰になりそうだ。

 これはないな……。

 うちの会社は、画像を取り扱っていない。



 次に、テキスト生成だ。

 使い方を調べて行くと、エゴサとか有名人の履歴が出て来た。


「俺の名前でエゴサすると、市議会議員の履歴が出てくんだけど……。それに、有名人の履歴も間違っているっていうし……」


 ダメだ。将来は分からないけど、現時点では正確性がない……。


 その後も調べて行く。

 業務として成り立っている会社もあるんだな。

 その一例が、『予測』だった。

 工場生産の需要予測や不良発生予測、在庫予測なんてのもあった。


「まあ、部材管理が自動化できるのであれば、人件費削減になるよな」


 でも、こんなもの納入したら、メンテに誰か張り付いていないといけなくなる。

 作ったら自社の首を絞めるソフトになりかねない。


「でも、"予測"か……」





 一ヵ月後、プロトタイプが完成した。


 →『日時と、競馬場を入力してください』


「競馬場と、何レース目かを入力する……」


 後は、勝手にネットワーク経由でデータを収集してくれる。

 現在出走可能な、馬の情報は、データ化済みだ。それらを組み合わせる。


「"競馬予測"の生成AIだ。馬の血統から、ラップタイム、当日の気象条件、競馬場の状態を学習させて、馬券を当てる!」


 はぁ~……。

 頭を抱えてしまった。


「俺は、何の仕事をしているんだろう……」



 とりあえず、日曜日の競馬を『予測』させてみる。

 結果は、10戦2勝……。


「倍率1.1倍と1.2倍を的中させたか……」


 その後、解析を行ったけど、倍率の低い馬しか予測しないことが分かった。

 俺の欲しい情報は、万馬券を予測するAIだったんだけど……。

 何処で、間違ったのか。


「はぁ~、どうすっかな~」

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