90話 莉念「私達、幼馴染、家族、だよ」
夏休み、バタバタと忙しい日々を過ごしていて、ふと最近
「
「ああ、
私が事前に謝ってそう伝えると、寂しそうな顔をしつつも笑顔で応じてくれた。確かに中学の頃だったら夏休みはほぼ晩ごはんを作りに帰っても大丈夫だったけど、おじいちゃんから頭を下げられたから仕方がない。
それに、私達はもう大丈夫だ。
『愛してる、
エッチ自体はしないものの、
だけど、そんな
二人きりで過ごす時間に、ぼーっとしてる時が多くなった。どうかした? と聞いても、何でも無いと答えた。
この前、いきなりパソコンを触りだした時はびっくりした。そういえば、写真の整理するって言ってたけど、最近は夜に二人で過ごす時間ではしていなかった。
私は彼の隣に座って、その醜い女たちの恥ずかしい写真を、
「
見ている途中で、私こんなの撮ってないなと思ったら、あの子だった。質問のために
あれ? と思った。
「スマホ、見せて」
「あ、
今気づいたと言った感じで
トークアプリは不快だから見ない。勘違い女子たちが
犬と金髪女子の写真もあるが、不思議と私の写真の比率が多い。中学の時の泥棒猫の写真もあるが、それほど無い。あれほどあった恋人やセフレとの肌色の多い写真も、すっかりスマホから削除されている。ああ、やっぱり。私は笑顔になる。
「
言った瞬間、暗い顔をしていた
「好き、好きだ、愛してる」
本当に
「うん、私達、幼馴染、家族、だよ」
ベッドで並んで座った写真を撮る。当たり前の日常、
「み、見捨てないでくれ」
びっくりした。いきなりそんな事を言うなんて、何か嫌なことでもあったのかもしれない。私は彼を撫でた。
「大丈夫、私達、家族」
夏休み中は毎日会えなくはなるけど、大丈夫だよ、私は彼を撫でた。
最近、
「それで、昼にせんりたちと近くのお店に入って、ご飯食べたんだけど、せんりが頼んだのが量が多すぎてね」
そして、夜遅くにずっとお互いの雑談をしている。私は本当に忙しくて会いに行けないのがひどくショックだったが、こんなに
喋り終わってから、また
「
「私も会いたいですわ。本当に仕事のお付き合いが忙しくて、申し訳ありませんの。会えるのはやはり海に行く予定の時でしょうか」
「あ、そっか、そうだよね」
寂しそうな
「
「え、なんで?」
「会いたいと言われるので、恋人さんと何かあったのかと」
「……何でも無いよ」
「そうですの?」
「そう、だよ。ごめんね、もうこんな時間だね切るね」
「私ならお話ちゃんと聞きますわ、話したくなったらお話してくださいまし」
聞こえただろうか。すぐにブツリと切れたので、もしかしたら届かなかったもしれない。その時はまた連絡しよう。
あの恋人と上手く言ってないのなら、とても嬉しい。永森さんは上手くやってくれているようだ。
朝になって、私は写真を撮る準備をした。
そういえばと、会えない間に、私は下着写真だけじゃなく、今日はこの服で出かけますのと写真を送った。劇的に反応が違った。
彼はそれまで下着姿には可愛いだけしか返してこなかったメッセージを、それ以上にたくさん返してくれた。
びっくりした。さらに、次からは服の写真だけの方が嬉しいと言われて困惑する。
下着写真は嬉しいと思っていたけれど、違ったのでしょうか? そういえば、あまりこういうの送ったらダメじゃないかって良く言われてましたわ。
私は気になって尋ねた。
『
すぐに既読になってから、迷ったようにえっとねと文字が送られてきた。待っていると、彼は通話を掛けてくる。もちろん私はすぐに通話に出た。
「おはようございますの」
「おはよう、
「はい!」
「俺は、ね。下着写真を送られるよりも、
「そうなんですのね!」
「うん、その、いつも送ってくれてたのに、ごめん、ね」
「いいえ、これまではその、平日は学校で制服だったので、下着のおしゃれを伝えたかったんですの」
「あ、そうなんだ。ごめん、俺、勘違いしてたよ。俺はてっきり、エッチな写真を男子が好きだと
「まあ! ごめんなさいですの」
「あ! いや、本当にごめん。
もちろん嘘だ。エッチな気持ちになってもらいたくて、下着の写真を送っていたけれど、
「制服ですと、服のおしゃれが伝わらなかったから、ごめんなさいですの。夏休みは私服の写真が撮れますから、送りますわね」
「ああ、うん、分かってくれてありがとう」
ひどく嬉しそうな
練習は無駄にならない。私は嬉しくなった。
彼はひどく事細かに返事してくれて、その中に、たくさん好きと書いてくれた。
「ああ、好き!
何度もメッセージを読み返す。下着を送っても、綺麗だよとしか返してくれなかった彼が、髪留めや服の色合いや、小物やスカートの丈まで可愛いと伝えて、可愛くて好きだよと伝えてくれる。
あまりの幸せに私は用事があるのに、手が動いてしまって、時間がぎりぎりになってしまった。その日は集まりでひどく周りの男性からお綺麗になられましたなと言われて、困ってしまう。
集まりが終わり、着替え終わって疲れた私はすぐに寝ようとしたところで、彼から通話が来る。すぐに応答する。
「こんばんは、今大丈夫?」
「こんばんはですの! ええ、
会えないのに、なんて幸せなんだろう。私は手を動かしながら、彼と話せる喜びに満たされていた。
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