第6話 ひ、ひさ君!?!?
先生から言われていたお昼のうちにやるべきことを
「ひさ君~。お昼どうするの!?」
「ひ、ひさ君!?!?」
「あ、そだそだ。
俺が答えようとする前に、反応した
「ひ、ひさ君って、あなたは折川さんと仲良いのかしら?」
「今日の朝、仲良くなったんだー」
「今日の朝!?」
「朝、日課のランニングしてる時に顔を合わせてその時少し話をしたんだ」
「そそ、委員長聞いてよ、ひさ君私のこと知らなかったんだよー、ひどくない?」
「……ええ、
「
「
「入学式終わったから昨日染めてきた!! 良いでしょ!」
そのスピード感に呆然としている
「尊敬いたしますわ」
「委員長に尊敬されるなんて、良くわかんないけどありがとー」
嬉しそうに
「お昼、どういたしますの?」
「一緒に行こうか。終わったらすぐに手伝わないと行けないし」
「ひさ君、委員長と一緒なの?」
「ああ、そうなんだ。
「全然良いよ! 今日はお弁当じゃないから、学食かな」
「学食、席は空いてるかなぁ」
担任の説明事項で、学食はあるが生徒数と比較するとあまり大きく無いので運が悪いと混むからそれは念頭にしておいてというのがあった。
「ですけれど、お弁当もありませんし、まずは学食に行ってみないと始まりませんわ」
今ここに混ざらなかった
「すまんな、俺は弟とかの分も含めて親が作ってくれるからよ」
「いや、全然構わない。もしかしたら俺も明日から弁当にするかな」
そんな
学食は確かに混んでいたが、メニューの値段を見てそこまでこまない理由が理解できてしまった。値段を見た瞬間、
「日替わり以外はそんなに安くないんだね! 私は明日からお弁当かなー」
「私は大丈夫ですけれど、確かに学生として考えると毎日学食にすると負担が大きいかもしれませんわね」
「うーん、確かに毎日利用ってなるとちょっと高くなるかもな」
無難に応えるが、俺は余裕がありそうだった。だが、お昼を節約できれば写真を撮影するための旅行費用に回せるので、お昼はやはりお弁当が良いかもしれない。
ガヤガヤと騒がしい中、手短な席に座って食事を取る。
「ふむ、普通だ」
「ええ、普通ですわね」
「うん、問題ないし!」
三人とも意見に相違はなかった。外食やコンビニ弁当などを考えるとボリュームに対して値段は安めといって良い部類だ。だが、格安とまでは言えないと言った具合で、それが広めの学食に対して人が溢れない理由かもしれない。
そんなガヤガヤとした学食が一瞬静まり返った。
彼女はスタスタと何でも無いように扉から入り、学食内を歩いていた。それでも彼女を見た誰しも一瞬言葉を失ってしまい、その連鎖の結果、学食は静かになったのだ。
彼女は何でも無いように一人で学食に入り一人で空いていた手短な席に座り、美しい所作で食事を開始した。ただ、それだけだ。
けれど、誰もが彼女の姿を見つめていた。
ぽつりと
「
「
「お家の関係で顔を合わせたことがある程度ですわ。同い年なのですが簡単な挨拶しかしたこと無いのであまり知り合いというほどではありませんわね」
「ほへーお家の関係」
中学時代も入学数ヶ月ぐらいは、今と同じような雰囲気を保っていたが、それも過ぎれば見慣れるものなのか静まり返ることはなかった。結局どんな美人でも日常風景と化してしまえば、いつかは周りも慣れるということなのかもしれない。
気づけば昼食に時間を使いすぎてしまった。
「お昼休みにごめんなさいね。それじゃあ、午後からの授業でそれぞれ使うこれとこれ、今日はお願いします。明日以降は授業内容に合わせて決まった係が回すだろうけど、困ったことがあればフォローしてあげてね」
「問題ありません。わかりました」
スラッとした
「ひ……」
「どうかした?」
「そういえば、どうして折川さんは学級委員長に立候補されたのでしょうか?」
「ああ、うーん、中学で挑戦しなかったことに挑戦してみようかなって。いわゆる高校デビューってやつ」
「昨日も高校デビューって言われましたよね。中学とそんなに違うのですか?」
「あははは、もうすごい違ってるよ。きっと
だからこそ
そんな深い部分を語るほどまだ
「きっと折川さんにも色々あるのですわね」
「
彼女がふんわりと笑顔で肯定してくれることに、心があたたかくなった気がした。立ち止まったが、それ以上は続かなかった俺の言葉に対して不思議そうにする彼女へ何でも無いと答えて、俺は
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