第78話 金持ちの街


 アマゾネスの村から南に行くとようやく森を抜け海岸沿いに街が見えた。街に入るとそこは別荘地のようで高級感があった。

「場違いみたいだな」

「だね」

「でも金は持ってるぞ」

「金持ちの道楽」

 エマは変な言葉を知ってるな。

 とりあえず宿屋に泊まりに行くと高いが泊まるしかない。

 家に帰る前に散策してみようということになった。

 ビーチには金持ちそうなやつばかりで嫌な香水臭さが漂っている。

 

「おい、エールを持ってきてくれ!急ぎでな」

「俺はウェイターじゃないぞ?」

「そうか、なら金をやるから急ぎで持ってきてくれ」

「あいにく金に困ってないんで断るよ」

「チッ!黙っていうことを聞け貧乏人が!」

「うるせぇぞ!やんのかこら!」

「ひぃぃ!ここはケンカはしちゃいけないんだぞ!」

「お前が喧嘩を売ってきたんだろうが!」

「分かった、悪かったよ!」

「ふん!」

 その腹の出ている豚男は他のウェイターを呼んでいた。

「あ、あいつらが俺にケンカを売ってきたんだ!」

「お客様、こちらは喧嘩御法度となりますのでお帰りください」

「あっちが喧嘩売ってきたんだがそれでもか?」

「それはあの方より身分の低そうなあなたのいうことを信じろと?」

「ふん!」

 金貨の入った宝箱を出してやる。

「失礼しました。あちらの方ですね」

 ウェイターはデブ男を連れて外に出て行った。

「ここはあんまりいい街じゃないな」

「見た目で判断するならピカピカ勇者になれば?」

「千夏までバカにして!」

「ピカピカ」

「エマまで!」

「あははは」

「それじゃあ宿に戻ろう。ギルドにも行かないといけないからな」


 ピカピカ勇者の格好になってもらい、ギルドに登録とダンジョンのことを聞く。ダンジョンはこちらにはないそうで、西に向かえばあるらしい。


「ピカピカいくぞ」

「それやめてください!」

「ピカピカはやく!」

「もう!怒りますよ!」

「もう怒ってる」

 ピカピカは宿屋に着くとすぐに家に帰った。ほんとに嫌だったんだろうな。


「悪かったって」

「わかりましたよ、今回だけですからね」

「分かったピカ」

「この厨二魔王のくせに!」

「ウルセェ!ピカピカマンが!」

 少々小競り合いがあったがなんとか無事仲直りをした。


 つぎは西か。もう四分の一かよ。この世界狭すぎるだろ?それとも別の大陸があるのかな?まぁ、異世界だからわからないか。

 異世界旅行も終盤に差し掛かっている。

 一周したらどうしようか?


 次の日には金持ちの街を飛び立ち西にあるダンジョンを探す。

 町があったのでそこで聞くとこの街にダンジョンがあるらしい。

 町のハズレの方にダンジョンがあり、冒険者たちが入って行っている。

 俺たちも入るために並んではいるが、そこはフィールド型のダンジョンで空があった。

「すげぇ」

「早く中に入れよ!」

「すまんすまん」

 横にどいて初めて見るフィールド型のダンジョンに目を輝かせる。

「どこかに階段があるんだろうか?」

「どうなんでしょうね?」

「さがすしかないね」

「そうだな」

 俺たちはモンスターを倒しながらフィールドを駆け回るが。一向に階段が見当たらない。

 ないのかと戻ってみたら入ってきた階段の横にあった。


 みんな疲れたのか家に帰ってしまった。


「まさかの灯台下暗しでしたね」

「だな、いやらわからんてあれは!」

「だな、さすがにあれはわからん」

「もうちょっと分かりやすくしてくれれば良かったのにね」

「クア」

「クアもそう思うよなー」

 千夏にかまわれて嬉しそうなクア。

「私もテイマー取ろうかな?」

 エマが寂しそうだ。

「なんでよ?クアはみんなのクアだろ?」

 千夏に言われてクアを優しく撫でるエマは微笑んでいた。


 次の日はそのまま階層を降りていくが、全て同じところに階段があるから好きなところで狩りをしろってことか?

 とりあえず100階層まで階段を降りる。降りるのがキツくなるのはしょうがないけど、なんとかならなかったのかよ?

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