第70話 バンシュウ国


 その日は飲み明かして宿屋に向かい寝てしまう。家に帰りシャワーを浴びてスッキリすると、また宿屋に戻る。

「クア」

「なんだよ」

 最近はつつかなくなって頭の上にいるのが定位置になってるが、って、死屍累々、全員二日酔いだなぁ。

「おい大丈夫か?」

「な、何であんだけ飲んで平気なんすか?」

「ん?なんでだろうな?」

「とりあえず今日は休みだ、一旦家に帰れよ?」


 3人とも家に帰ってねてしまったので宿屋の女将にもう一泊するとつたえて金を払う。

「よう秋!」

「なんだ?二日酔いじゃないのか?」

「あれくらいでへこたれるわけないだろ?」

「嘘よ、キュアを使えば二日酔いは治るわ」

「お。シンディーいいこと聞いたぜ、ありがとな」

「いいわよ。それより他の3人は?」

「二日酔いで寝込んでるからキュアをかけてくるよ」


 部屋から家に戻ってキュアをかけて回ると二日酔いは治ったみたいだ。

「すごいですね!」

「これは覚えとかなきゃ」

「千夏、よろしく」

「任せてエマ!」

 部屋に戻り外に出るとマイキーとシンディーが二人で待っていた。

「おう、3人とも大丈夫みたいだな」

「ええ、シンディーのおかげでね」

「二人はずっとここにいるのか?」

「あぁ、ここから出たことはないなぁ」

「秋達は日本人でしょ?どこから来たの?」

「大陸の中央からかな」

「凄い大移動じゃないの!」

「やっぱり異世界にきたから旅して見たくてな!」

「へぇ、変人だな」

「なんだと?」

「もうやめなさいよ」

「ここが北の最北端の街よ」

 そうか、じゃあ、あとは南下していくだけだな。

「もうここを離れるのか?」

「まぁ、昨日も楽しんだしな!」

「そうか!また会えるといいな!」

「そうだな!その時はもっと強くなっとけよ!」

「あたりまえだ!」

 ここで別れて次の街を探しに出かける。

 ギルドで地図を見るともうすぐこっきょうがあり、そこからはバンシュウ国と言われるところらしい。


 さて、またワイバーンでひとっとびだ。


 ゆっくり上がって行くと国境が見えてきたので降りて向かう。

 バンシュウ国に入った。

 すぐに街があるので向かうと多分ここは中国か韓国あたりだろう。

 転神が盛んらしく、煌びやかな服を着ている人が多い。

「あ、転神の人達が多いわね」

「まぁ、あっちのほうが本場だろ?」

「まぁそうね」

 星10装備をしている奴もいるから結構強いみたいだな。

 なかなか楽しそうな国じゃないか。

「おいにいちゃん!これ買わねえか?」

「ん?なんだそれ?」

「飛べる薬だよ」

「は?いらねえよそんなもん!」

「けっ!しけてんなぁ」

 そう言うとさって行く怪しげなジジイ。

 飛ぶ薬った麻薬とかのことか?こんな異世界にもあるのか?

「だめよ、異世界だからってなめてたら?人間はちゃんと人間だし、ゲームじゃないんだから」

「そ、そうだな」

 さっさとギルドに登録してダンジョンを聞くと、ここから南西にあるらしい。

 ダンジョンはあっさりみつかったので入ると結構な人がいる。

「ダンジョン攻略してるみたいね」

「だな、ここからは逸れないようにまとまって動くぞ」

30階層にはいるとそこそこ人が少なくなってきた。

「キィェェェェェ」

「おっと!」

“ガッガガッ”

「何だよ急に!」

「PVPよ、殺さないようにね!」

「手加減が難しいんだよ!」

「はっ!」

 相手は白目を剥いて倒れた。出っ歯の男だった。

「このままにしときましょ?」

「いいのか?」

「PVPだし、いきなり襲ってきたんだからいいわよ」


 まぁ、同情する価値もないわな。

100階層まで来ると人がいなくなっている。

 扉を開けると火龍だ。

『魔光撃』

 一撃で倒れて、青龍刀がドロップした星10

の転神の武器だ。

 宝箱は金貨少なめでスキルオーブが二個二段蹴りと頭突き、クアが覚えた。

 俺に使うなよ!


 家に帰ると馬場さんから久しぶりに着信があったのでかけてみると、ジョブオーブが売れたらしいのとまた武器防具を売って欲しいとのことだった。

 四人と一羽で出かける。

 馬場さんに説明してクアも入れることになった。別室でオーブの代金を受け取ると、星10の武器防具を何点か欲しいそうだ。そりゃレベル上げた冒険者もいるだろうな。

星10武器防具をだすと男が入ってくる。

「俺がこれを買い取る新道拓也だ!」

「秋で冬夜、こっちが千夏でエマだ」

「これより強い武器はないのか?」

「今レベルは?」

「145だ」

「んじゃこのなかから好きなのを選んでくれ」

「うーん、これにする」

「わかった」

“カンカンカン”

「ほれ、星15の武器だ!」

「おお!ありがとう!これの代金だ!」

さっさと言ってしまう新道さんは金を置いて出て行ってしまった。

「秋さんは武器の強化もできるんですね!」

馬場さんが驚いているがまだまだだ。

「少しだけですよ」

「いえ、では星12までの武器防具をお願いします」

「えぇー、めんどくさい」

「おねがいしますよ」

 星11、12の武器防具を5点づつ作って渡す。

「ありがとうございます」

「あんまりやりませんからね」

「えぇー、秋さんだけができるのに」

「面倒なんですって」

「手間賃も払いますから」

 とりあえず保留にしといた。

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