第67話 CM



 番号も変えて金の亡者の院長とは切れた。

 そして今はワイバーンに乗ってまた、別の街に向かっている。山を切り開いたような場所にある街だ。

 途中から歩きで向かうと門兵に冒険者証をみせる。

 中に入ってみると聳え立つ壁が何とも荘厳な雰囲気だ。ギルドに登録して、宿屋に部屋を借りると街ブラをする。

「はぁ、凄いとこに街をつくるな!」

「さすが異世界って感じだな」

 道具屋に目をやると、万能薬?

「こ、これは万能薬ですよね」

「ええ。在庫はあまりないけどね」

「全部買います」

「ありがとうね」


「売ってたな」

 さすがに目を疑ったが鑑定しても万能薬だった。

 これですこしでもこの世界で流通してるのがわかった。

 スキル屋に行ってもこれと言っていいのはなかった。

 まぁ、ダンジョンで取れるからいいけどな。


「あっ、あれ美味しそう!」

「バゲットサンドだな。買ってくか」

「おじさん12個ちょうだい!」

「また三つづつかうのかよ!」

 まぁインベントリに入れとけばいいだろ。


 買い食いしながら色々とみて行く。


 ようやく飽きたのか家に帰ろうと言い出したから宿に戻って家に帰る。

 千夏に電話がかかってきて、何か喋っているが、気にせずバゲットサンドを食べていると、慰謝料が振り込まれるようだった。


 病院で電話番号を勝手に教えたのは守秘義務に引っかかっているということで実家にが訴えたらしい。


 これでようやく静かになると千夏はホッとしてバゲットサンドを口いっぱいに放り込んでいた。

「美味い!」

「何の肉かわからないけど塩味が効いてて美味いな」

 アプリを開くと新イベントがやっていたのでやり始める。今回は釣りイベントだな。

 長靴がよく釣れるが、宝箱がたまに釣れる。その中にお宝が入っているのだ。

 今回の目玉はラッキーコインと言うのと魔王の新装備だ。ラッキーコインはいろんなところにあってそれを集めてカジノで商品に変えるコインのことだ。カジノのコインとはまた違う種類になる。

 今日は徹夜で頑張るかな?


「あ、僕明日用事があるので休みでいいですか?」

「「「いいよー」」」

「どうしたの?」

「『ダンブレ』の社長に呼ばれてて」

「凄いじゃないか」

「多分武器防具のことだと思いますけどね」

「へぇ!」

 これで明日もイベント三昧だ!


 次の日は冬夜が帰ってくるとなぜかゲンナリしていた。

「どしたの」

「『ダンブレ』のCMが決まりました」

「凄いね!冬夜が出るの?」

「そうみたいです」

「やった!ちゃんと見なくちゃね!」

「うわぁ、恥ずかしいですよぉー」

「頑張れ冬夜」

 グッと親指を立てて頑張れと応援する!


 出来上がったCMは好評で、ピカピカ勇者が技を使うシーンが満載だった。

「凄いかっこいいじゃん!」

「これはファンがつくかもね」

「かっこいいです」

「酒の肴に連続再生しないでくださいよ!」

「「「あははは」」」

 10回再生したところで冬夜の顔色が変わったので別の番組に変えた。


 あとは魔王の新装備が刺々しいのを除けばとてもいい装備なのだがと思いながらひたすらゲームをやっている。


「なんかのイベント?」

「千夏近いって。そう。新イベントで魔王装備は揃ったんだけどラッキーコイン集めをしてるんだよ」

 転神も、新イベントやってるみたいだが、友達とやってすぐに集まったらしい。

 ボッチは一人で頑張るしかないのだ。


 エマのはイベントらしいイベントはないそうだ。ダウンロード版って感じのようだな。


 もう一人のぼっちの冬夜はCMのことを忘れたのか新イベントに熱くなっている。

「だぁー、また鎧だ、三つ目ですよ!」

「それほんとに確率悪いよな」

「そうなんですよ!その割に敵が強いし」

 あるあるだな。

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