第56話 万能薬


 今日は休みにしてみんなでゆっくりしている。

「なぁ、どっか買い物行こうぜ?」

「やだよ、寒いし外出たくない」

「なんだよ!じゃぁエマ行こうぜ?」

「うんいいよ」

 エマと千夏は買い物に出かけた。


 俺たちはふたりでゆっくりゲームをやっている。

「おぉ!世界樹の枝をてにいれたぞ」

「お、なんかアイテムですか?」

「エリクサーのアイテムなんだよ」

「おぉ、おめでとうございます」

「えっへっへ、やっとエリクサーが作れるぜ」

 ゲーム内でエリクサーを作る。

 どんな怪我や病でも治してくれるから一本は持っておきたかったんだ。

「僕もエリクサーは持ってないですね」

「そっちはポーションなのか?」

「回復薬が主流ですね。上級回復薬なら何でも治せるみたいですけど」

「なぁー、ゲームによって最上級が違うからな」

「でも上級回復薬も手に入れるの大変なんですよ?」

「そうなんだ」

「宝箱から手に入れるしかないですからね」

「ランダムはきついな」

「そっちはイベントボスとかからですか?」

「当たり!イベントボスは弱いから何度もアタックしてようやく手に入れたぜ」

「僕はいまイベントガチャで召喚士の装備集めしてますよ」

「あぁ、新ジョブな」

「なかなかいいの当たらないです」

「物欲センサーだな!」

 欲しい武器に限ってでないものだ。


「たっだいまー!」

「おかえり」

「お帰りなさい」

 千夏達が帰ってきた。

 スウェットに着替えた二人はソファーに座りゲームを始める。

「スウェット買ってきたのか?」

「エマが部屋着がなかったみたいだったからね」

「スウェットラクです」

「そりゃよかった」

 ジャージ族は俺一人になってしまったか。


「そう言えば千夏達のアイテムで最高なのは何なんだ?」

「んー、わたしのは最上級回復薬かな、MPとHPを最大まで回復する奴」

「ワタシはバンノウヤクです」

「万能薬か、薬に使えそうだな」

「なんで?」

「いや病院に持っていくなら何が一番いいかと思ってさ」

「だれか病気なの?」

「いや。そう言うわけじゃないんだ」

 ただの偽善だ。


「でも病気の人が治ればいいですね」

「な、そう思ってな」

「そうか、そうかもな。いってみるか!」

 千夏は行動が早い。こっちがあっちよりまだあったかいからだと思うけどな。


 近くの病院に行ってみるか。


「得体の知れないものは使えません」

「ですよねー、やっぱりだめだったか」

 まぁ、これを患者に飲ませてくれなんて言えないよな。

 やっぱりここはギルドだよりになるな。


 馬場さんのとこに行ってみる。

「どうですかね」

「んー、難しいと思いますよ?医者いらずになってしまいますし」

「あー、病院にも事情があるのかな」

「でも預かっておきますよ。何かの拍子に必要になるかもですから」

「はい」

 エマの万能薬を渡しておく。


 ついでに武器防具も置いてけと言われ置いていった。


 次の日は寒いウェザイア王都でダンジョン攻略を始める。

 先ずは100階層目指して進んでいくが敵が弱いな。俺は鎌を使う処刑人。冬夜は白魔道士だ。なかなか使いづらいな。

 千夏とエマは狩人とメイジ一択だな。

 2日かけて100階層までたどり着いたが、処刑人がレベル56白魔道士がレベル89とちょっと辛そうだがいってみるか!

 扉を開けるとロックゴーレムだったのですぐにジョブチェンジしてブラックスミスで一撃だ。


「ふう、焦ったぜ」

「あのままだと倒せないですからね」

 ドロップは忍者ほ星10装備だった。宝箱からはスキルオーブの隠密と金貨。どんだけ金貨あるんだよ。まぁ、普通の冒険者は100階層でも辛いだろうな。

 

 そして家に帰るとこたつに潜り込む千夏とエマ。そんなに冷え性ってつらいのかな?


 次の日も続けてダンジョンに入っている。

200まで行きたいけど無理だな。

 また処刑人のレベル上げと白魔道士のレベル上げだ。エマと千夏には悪いけど頑張ってもらっている。


 ここはゴーレム系が多いのか、エマが大活躍だ。

「ここはワタシに任せて!」

「頼りにしてるよ」

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