第52話 鍋


 竜騎士も120になったのでブラックスミスにジョブチェンジした。

 冬夜も白魔道士から竜騎士にジョブチェンジ。500階層まで行くとボスはグライアイと言う三体の怪物だ。ブラックスミスで粉砕していく。塵となって消えた後にはドロップ品の星14のハンマーがあった。

 宝箱には金貨とジョブオーブが入っていて騎士のジョブオーブだった、これはエマが使った。

 異世界にも四季があり、いまは冬だ。ダンジョンだから関係ないけど、余り外に出たくはない。

「しょうがないから耐寒装備にして外に出るぞ」

「えー、春まで待とうよ」

「ウェザイアの王都に行くんだろ?」

「それはそうだけど、雪の中歩くの大変だよ?」

 それもそうか、ここでレベル上げするのもいいかもな。

「じゃあここでもう一回最初からレベル上げするか」

「「「賛成」」」

 まだ中央地点だからいいけど北の方はもっと寒いだろうな。

 とりあえずポイント登録とダンジョンマスター登録をして一層に戻る。外に出てみると一面の銀世界だ。

「雪だ!」

「はぁ、さっきまで外に出たくないって言ってたのに」

 千夏は雪だるまを作り始める。

 エマも一緒になって作り始めている。

 元35歳には考えられないな。


「出来た!」

「出来たね」

「そろそろ帰るぞ」

「「はーい!」」

 こう言う時だけ元気がいいのはどうかと思うが、まぁ、いいだろう。

 部屋に戻ると四人ともこたつに入る。

「やっぱりこたつがいいねぇ」

 みかんを剥きながら千夏が言うと、

「こたつ初めてだったけどいい」

 エマは日本語が上手い方だけど異世界とはちょっと違う。

「はぁ、僕はダメになってしまう」

 冬夜は寒いのが苦手らしい。


 四人ともスマホを取り出すのもやめてコタツムリにらなっている。

 今日は鍋でもしようかな。

 まぁ、まだ食材もあるから買いに行かなくて済むのが一番嬉しいな。

 あ、土鍋とカセットコンロ買ってこないと。

「冬夜、じゃんけんしようか?」

「えー!外行く前提で言ってますよね?」

「今日は鍋でも食べたい気分なんだ、土鍋とカセットコンロを買ってこないとな」

「それは僕も食べたいですけど………やりますか」

「じゃんけんぽん!」


 負けた俺は大人しくダウンを羽織って買いに行く。土鍋にカセットコンロ、あとツユも買わないとな。


 寒空の下、スーパーに向かうと馬場さんに会う。

「お、今日はもう上がりですか?」

「違うよ、ホッカイロを買いに来たんだよ」

「あぁ、仕事ですもんね」

「秋さんは何を買いに?」

「鍋の材料っす」

「あぁ。いいですねぇ」

 と会話しながら店に入る。あったかく感じるがやっぱり寒い。


 早々にホッカイロを買った馬場さんは退散して行った。鍋用の薄い餅なんかも買ってスーパーを後にする。土鍋はどこに売ってるんだ?

 探して周りようやく見つけて買い物終了。


 家に帰ってコタツムリになりながら冷えた手のひらをあっためる。

「土鍋にカセットコンロありました?」

「う、うん、あったよ、ホームセンターまで行ってきたよ」

「それはご苦労様です」

 苦笑いの冬夜。

「最近は馬場さんとこに言ってないっすね」

「中古が出回ってきたみたいだよ、やっとガチャ地獄から解放されたな」

「ですね。あれは地獄でしたね」

「もうやりたくないよ」

 エマもそれなりに稼いだのでやりたくないみたいだな。


 十分あったまったのでスマホをいじり出す。また復刻イベントばっかだな。

 俺はスマホを置いて野菜を切りに行く。

「あ、手伝いますよ」

「「私も!」」

「なら鍋の準備をしておくよ」

 野菜を任せてカセットコンロと鍋を準備する。


 やっぱり鍋最高だな!

「美味い!」

「おいしいですね」

「寒い時は鍋ですよねー」

 たまにはこう言うのがあっても良いな。

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