大陸

第45話 将来有望


「私も食べたかった!」

「しょうがねえだろ?いなかったんだから」

「なんで二人でいくかな?パーティーだろ?」

「様子見だよ」

「けっ!」

 千夏はご機嫌斜めだ。

「あ、そういえば僕たち王都で、千夏だけダンジョンですよ?」

「あぁ、そういえばそうだな」

「なぁー!だから今後は禁止な!」

 転移したところからだからなぁ。しょうがない。


 転移して結構経ったがまだ着かないようだ。俺達はソファーでゲームをしている。

「ただいま」

「あ、おかえり、ようやく着いたみたいだね」

「空飛べるって降下していく感じだからあんまりスピードでないんだぞ!一人ではもう行かない」

「あぁ、悪かったよ」

「んで二人とも私が頑張ってる間にゲームしてんだもんなー」

「あはは、ごめんごめん」

「今週のイベントがな」

「うがー!」

 千夏に頭をクチャクチャにされる。

「わ、悪かったって」

「ならよし!」


 本当に食い意地の張った女だな。

「なんか言った?」

「なんにも」


 

 転移した俺たちは合流して計画を立てる。

「ここからだと帝国が近いかな」

「そうですね、東に進んでいけばいいだけですし」

「なら決まり!帝国にいこう!」

 千夏は先走るからな。

「どうせなら馬車の方がいいんじゃないか?」

「そうね、飛ぶのは疲れるから」

「走るのも結構疲れますよ」


 と言うことで馬車を買うことにした。

 帝国に着いたら売ればいいだろ。

「ロシナンテ号!いくわよ!」

「待て!お前は御者をやったことないだろ?」

「うん!でもどうにかなるわよ」

「ならねぇよ、御者を探すぞ」

「えー!」

 ギルドで御者ををしてくれる人を探すと男の子が来てくれた。

「ロイドです。よろしくお願いします」

「俺が秋、こっちが冬夜で、あの子が千夏だ」

「はい!帝国までですよね?」

「あぁ、よろしく頼むよ」

「はい」


 パッカパッカとロシナンテ号(仮)が進む。

「ロイドはなんで帝国に行くんだ?」

「親が死んでしまいましたから叔父さんのところに行こうかと思って」

「うっ!」

 千夏が胸を抑える。

「そうか、それもいいかもな」

「はい!」


 のんびり走っているとやはりと言うかどうしても出てくる盗賊。

「はぁ」

 とため息混じりで倒していく。

「お前たちはなんで盗賊なんてやってんだよ」

「やりたくてやってるわけあるか!王都があんなになっちまったんだぞ!職なんかあるわけないだろ!」

「うっ!」

 また千夏が胸を抑える。

「いまなら復興中だから仕事なんていくらでもあるだろ!」

「けっ!」

「はぁ、とりあえず隣町まで連れてくぞ」


「みなさん強いんですね」

「まあな、ロイドも強くなれるぞ?」

「いや僕は争い事がきらいなんで」

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ロイド 12歳  職業 剣聖

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 まだ15になってないからレベルがわからないが剣聖になる男の子だな。

「後で稽古してやるよ。自分を守るためには必要だろう?」

「はい、お願いします」


 隣町に着くと早速宿を借りて裏手で剣の稽古だ。盗賊は門兵に引き渡して少ない金額をもらった。あまり有名じゃないらしいな。


「はっ!てや!」

「いいぞ!その調子だ」

「はい!」

 やはり剣聖になる子だとスジがいいのだろうな。


 その日はゆっくり休んで次の日もパッカパッカ走る。千夏は船を漕いでいるがな。

「ロイド止まれ」

「はい!」

「ウルフの集団か」

「ここは僕がやりますよ」

「んじゃまかせた」

「まかされましたっ!」

 冬夜がウルフを斬って捨てる間もロイドはちゃんと見ている。みることも勉強だからな。

 アイテムボックスにいれて終了、また発進する。

「凄いですね!僕も見るので精一杯でしたよ」

「あはは、照れるね」

 見れるだけでもたいした動体視力だよ。


 今日も無事隣町に着いた。

 ちょっと早いが宿を取って休む事にする。

 冬夜がロイドに剣を教えているので俺は宿から見ているだけだ。

「おっと、凄いなロイドは」

「くっ!はぁ!」

「流石ですね」

 一本は取れないにしても十分強いと思う。

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