第37話 マスタールーム


 マスタールームでは薫という男が喋りながらスマホをいじっていた。

「おい!」

「へ!な、ななんだお前達は!」

「お前のダンジョンを奪ったからそこから飛んできたんだよ!」

「んー!ぼ、僕の邪魔をしにきたのか!」

「そうに決まってるだろ!」

 男は立ち上がる。

「なんで僕の邪魔をするんだ!」

「迷惑なんだよ!遊びで人殺してんじゃねえ!」

「弱いからダメなんだよ!」

「んじゃ俺らは強いからいいよな!」

「ひっ!二人でなんて卑怯だぞ!」

「じゃあ、俺だけでやってやるよ!」

「な、な、何が目的なんだ!」

「ダンジョンメイカーをやめろとは言わないがもう少し安全に運営しろ!」

「な、それじゃあポイントが貯まらないじゃないか!」

「ゲームじゃねぇんだよ!人の命がかかってるんだ!」

「ひいっ!」

「逃げるな!」

 首を捕まえて逃げれないようにする。

「わ、わかった。これからはちゃんとする」

「本当だな?いつでもこれるからな!」

「ひっ!…わかったよ」

 男は項垂れているが顔は笑っている。

「お前のスマホを渡せ」

「へ、な、なんでだよ!」

「お前またやるつもりだろ?ポイント使ってやるよ」

「ダメだ!これは僕のスマホだぞ!」

「貸せよ!ポイント全部使うだけだ」

「なんだよ!勝手に入ってきて!スマホを渡せ?渡すわけあるか!」


 男は激昂している。

「こうしてやる!」

「あっ!」

『マスタールームから除外されました』

 あの野郎!

「もう一度マスタールームに!」

 このダンジョンは封鎖されました。

「くそっ!スマホを壊せばよかった!」

「し、しかたないですよ」

「くっ!くそ!」


 俺たちは家に帰ってマスタールームに行けるであろう他のダンジョンを攻略することにした。

「ここが3階までしかないダンジョンみたいですよ!」

「よし!それじゃあそこから明日入っていこう」


 テレビをつけてみるとダンジョンが消えていっているということがニュースでやっていた。

「先手を打たれたか」

「大丈夫ですよ、俺たちでなんとかしましょう!」

「分かってるがどこにダンジョンを出してるかがわからないからな!」



  ♦︎


 ひひひっ!ここなら誰にも見つからない!

 ポイントはあるだけ使って地獄にしてやる!相手が相手だからな!慎重に行かないとな!

「僕の国をつくってやるぞ!」

   

  ♦︎


 それから一週間これと言った進展はなかっ

た。

 途中でいろんなところに出ては消えるダンジョンがあり、ポイント稼ぎに来ているのが分かったが、あっちの方が上手だった。


 こっちではついに『ファイナルブレイブ』の新ジョブが解禁された。探索者だ。

 ダンジョンも追加された。

「探索者かぁ、ダンジョンメイカーにピッタリの職業じゃないですか」

「まぁ、ダンジョンが普通だったらだけどな」

「僕の方も新ジョブが追加されたんですけどアイテムマスターですよ?アイテム投げて戦うなんて金がいくらあっても足りませんよ!」

「あははは!でも石ころなら無限なんだろ?」

「そうですけど」

「レベルで変わってくるんじゃないか?」

「あ、そうかもしれませんね」

 んじゃ。レベル上げでもしに行くかな?


 久しぶりに異世界に来た俺らは新ジョブのレベル上げをするためにダンジョンに潜る。

「ツルハシと石だとなんか疲れるな」

「戦ってるのが嫌になりますね。でも大きな石にかわったんでやっぱりレベル上げで変わるみたいです」

 冬夜は前向きにレベルを上げて行く。俺は採掘しながらだ。


「ふぅ、このレベル上げはけっこうきついな」

 二人でモンスターを倒して行くがたまにダメージを食らうことが多々ある。

「ハードモードですね」

「やりがいはあるけどな」

 二人してヘトヘトになりながら家に帰るとテレビをつける。

 テレビにはまたダンジョンが作られていた。

「いくとまた消えますよ」

「だな」

 これを繰り返されると悔しくてしょうがない。

 まぁまだポイント集めてるところだろうな。それこそ俺らが苦戦するように今考えてんだろ。

「ほんと嫌なやつですね」

 ほんとにこんなやつがいるから俺らはレベルを上げてるのだ。

「エンシェントドラゴンの上はいるのか?」

「いるみたいですよ?まぁ負けませんけどね!」

 やはりいるのか。

 

 次の日も朝からレベル上げだ。ツルハシと石でモンスターを倒して行く。これまでと違ってゆっくりなペースだが、ようやく冬夜は石から投げナイフに変わったようだ。

 俺もマップや高速採掘などのスキルツリーを開放している。

 ツルハシもハンマーと一緒のような気がしてきて一気にスピードがアップしてきた。

 それでも一日にレベル30あげるのができるかどうかだが。


 ようやくレベルが120になり、あとは冬夜が150になるまで俺は魔王で援護する。

 冬夜がレベル150になり、俺の魔王はレベル223になった。

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