第29話 ファイナルブレイブ


「「カンパーイ」」


 100階層突破記念です。

「よかったですね!なんとか100階層突破できて」

「だがまだまだだよ。王都のダンジョンは500まであったからね」


「………マジっすか?」

「マジで!あんとき一人だったからしんどかったよ」

「攻略一人でやったんですか?何やってんすか」

「まぁ、元気だったんだよ」

 冬夜が呆れている。

 仕方ない、あの時は一人が良かったんだからな。


 今は冬夜がいるから結構楽しく攻略している。

「マジ美味いぃー!」

「な!ここの中華最高だろ?」

 今回は中華をウーバーしてもらった。

 テレビを見ながら二人でだべっている。

 テレビでは行列のなくなって来たダンジョンの様子が流れている。まぁ、モンスターが出てくるわけじゃないしな。


 その内二人ともスマホをいじり出す。

 おっ、星10装備だ。

「やった!星7装備ゲットしましたよ!」

「あはは、俺は星10」

「な、クソっ」

「あははは」

「冬夜のレベルは改善されないのか?」

「今やってる最中らしいっすよ、なんかレベルを上げるのに調整が必要とかで」

「あぁ、色々あるんだなぁ」

「だから星11装備までしか装備できないんですよ」

「いや、俺のブラックスミスでも今の所星18が最高だからね?かなりシビアなんだよ」

「そうなんですね。まぁ、まだあげてないジョブがあるんでいいですけど」

 冬夜はそういうとゲームに戻る。

 俺の限界突破アイテムは使えないかな?

「冬夜にこれやるよ」

「ナンスカこれ?」

「俺のゲームの限界突破アイテムで使うとレベル120まで上げれる」

「マジっすか!でもつかえますかね?」

「とりあえず勇者で使ってみれば?」

「ですね。ジョブチェンジして、これを使用出来た!」

「おお!これで120まではあげれるよ!」

「ナイスです!秋さん!」


 勇者がレベル120まで上げれるようになったのでかなり嬉しいようだ。


 いまからでもレベル上げに行きそうな勢いだが呑んでるし、明日だな。


「秋さーん!朝ですよ」

「う、うーん。起きるよ」

 扉を開けると、

「おはようございます」

「おはよ、早いね」

「いやぁ、昨日のテンションが残ってるみたいで」

「あぁ、レベルね」

「はい!」

 でもそろそろ万場さんのとこにも行かないとな。

「今日は東京ギルドに行ってからにしようか」

「えー、おあずけですか?」

「ギルドに卸しに行かないといけないからな」

「あ、それなら僕もガチャ引いときますね」

 現金だなぁ。


 俺らは電車で東京ギルドまで行くと万場さんが出迎えてくれた。

「やっときてくれたんですね」

「遅くなってすいません」

「あ、速水君も?」

「僕らパーティー組んでるんですよ」

「そうなんだ!そりゃよかった」

 なんだかんだで別室に行き、

「これが星7までの武器になりますが」

「もちろん全部買い取りますよ」

「マジっすか!」

 これで冬夜も金持ちだな。

「星10装備も飾っときます?お金は売れたらでいいんで」

「それはありがたい!」

「あとは中級ポーションですね」

 200本卸して帰る頃には冬夜はご機嫌だった。

「早く家に帰ってダンジョンに行きましょうか!」

「ハハッ、まじか」

「はぁ、レベルが上がる!」

「テンションがあがってるけどな」

 冬夜がこれだけテンション上がってるのは凄いな。


 異世界に転移して冬夜は勇者、俺は引き続き武闘家で行く。

 二人とも前衛だから争うようにモンスターを倒している。

 130階層まで行ったところで家に帰る。

 

「いやぁ、レベル100超えちゃいましたね!」

「そりゃそうだ、アイテム残ってるけどいるか?」

「入ります!」

 食い気味できたのでアイテムを全部渡す。

「おぉ!こんなに!」

「『ファイナルブレイブ』もジョブが多いからな」

 まぁ、魔王のレベルあげもしないといけないけどどっかで魔王装備手に入らないかな?

 俺もいっその事『ファイナルブレイブ』の本社に掛け合ってみるかな?

 

 本社を見ると東京だったので、行ってみることにした。

「明日は『ファイナルブレイブ』の本社に行ってみるよ」

「あ、僕も着いていきますよ」

「ん?なんで?」

「僕も気になるんで!」

 冬夜の目的はアイテムだな。


 次の日には本社前についた。ビルの3階が本社らしいので、アポなしだが行ってみる。

「すいません、アポなしなんですけど、誰かいらっしゃいますか?」

「あー。はいどなた?」

「私は『ファイナルブレイブ』と同期した葉山と申します」

 一瞬止まって時が動き出す。

「マジっすか!え!まじで?」

「はい!これが星10武器の「おぉ!火龍の豪剣だ」…そうです」

「マジパネェ!ファイナルブレイブと同期してる人がいないと思ってたからお、おれはう、嬉しくて嬉しくて………」

 号泣だった。この人情緒不安定なのかな?


「改めまして代表取締役の後藤と申します」

「葉山です。こっちは「速水君ですよね」」

「速水です」

 被せてくる人だな。

「で?今回はどういった要件で?」

「あの、出来れば魔王装備の新しいものが欲し「魔王までいったってことは裏ボス攻略したんですか?まじで?」はい」

「あの!僕は限界突破の次のアイテムが欲しいんですが」

「え?速水くんは『ダンブレ』ですよね?」

「そうなんですが、アイテムが使えたんですよ」

「そうなんですか!おお!そりゃすごい!」

「なかなかアプリに介入出来ないようなんですけど、魔王装備はいけるかなぁ?と思いまして」

「ダンブレも困ってるみたいですね」

 後藤さんも考えているようだ。

「そのアイテムって他でも使えるんですか?」

「今出回ってる武器防具は『ファイナルブレイブ』な物が多いと思いますよ!」

「そうですか!なら作り甲斐がありますね!」

「あの僕の限界突破も」

「もちろん検討してみますけどレベル120でなんとか攻略出来るように調整してるんで、それはかなり時間がかかるかと」

「あぁ、やっぱり」

「魔王装備は元々一種類だったのを増やすだけなんで、出来ると思いますよ!」

「ほんとですか!ありがとうございます」

「あとは『ファイナルブレイブ』の宣伝をしてくれればいいんですけど」

「します!もう目一杯しますよ!」

「ならやりましょう!多少時間がかかると思いますがね」

「はい、よろしくお願いします」


「あと火龍の豪剣を貰えませんか?」

「もちろんいいですよ」


 硬く握手を交わした。

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