第27話 ルームシェア


 次の日は朝早くから出て行く。

「交代で寝るか」

「すね、先に寝てください」

「なにかあったら起こしなよ」

 俺は寝ることにした。



「秋さん、秋さん」

「ん?あぁ、交代の時間か」

「うっす、じゃあ僕も寝ますね」

「おう」


 街道をポッカポッカと荷馬車が走る。

「しょんべんしてぇよ」

「あ?めんどくせぇな、ニーナさん止めてくれるか?」

「はーい」

 しょんべんをさせると、また戻して馬車を走らせる。

「何で逃げなかったんだよ?」

「ばか!無理に決まってるだろ!」

「そこうるさいぞ!」

 ほんとに盗賊ってのは、本当邪魔だな。

 気配探知に何かが引っ掛かる。

「まぁ、寝かせとくか。ニーナさん止まれ」

「はい!」

 外に出るとウルフの群れだ。

 とりあえず剣で斬り倒して行くと一際でかいのが出てきた。

「ひっ!」

 ニーナさんが怖がっている。後ろの盗賊達も身を寄せ合っている。

『ガルルルル』

「良い毛皮になりそうだな」

 俺は剣をしまって殴りかかると避けられてしまう。おぉ、素早いな。

『ガウッ!』

 噛みついてこようとしたので鼻っ柱をぶっ叩くと動かなくなった。

 最後にトドメを刺して血抜きをする。他のウルフも血抜きをしてインベントリに入れる。

「はい、ニーナさんいいよー」

「は、はい!」

 また荷馬車のポッカポッカが心地いい。

「あー、よく寝ました」

「あはは、よく寝てたな」

「なんかありました?」

「ウルフが襲ってきたけど退治したよ」

「起こしてくれればよかったのに」

「まぁ、あれくらいなら一人で十分だからな」

 あんなでかいのが出てくるとは思わなかったけど。

「さすがですね」

「おう!」

 馬車はやはり歩くのよりずっと早くて、もう街が見えてきたみたいだ。

「街が見えましたよ」

 ニーナさんの掛け声で前を見ると結構でかい街だな。


 門兵に盗賊を引き渡す。んで荷物を荷馬車に戻す。これでやっと中に入れるな。

「あぁ、懸賞金をあとで取りに来てくれ」

「分かった、どれくらいになる?」

「そりゃ、結構な額になるぞ?ゴンゾ一家だからな」

「へぇ有名なんだ」

「ここら辺では有名だな」

 

 ニーナさんの店は結構デカかった!

「ありがとうございます。これが謝礼です」

「お、ありがとうな!」

「こちらこそありがとうございました」

 金貨50枚、結構奮発してくれたな。

「ほい」

「え?僕にですか?」

「俺はお金カンストしてるからいいよ」

「マジっすか!あざっす」

 冬夜はこっちでは金欠だったらしい。

 さて、一回日本に戻るか。

「マジで秋さんところに住んでもいいんですか?」

「まぁ、部屋は空いてるしな」

「ならほんとにお邪魔しますね」

 俺らは日本に帰った。


 シャワー浴びてビールを飲む。

「クゥーたまんねぇな!」

 テレビをつけるとダンジョンのことをやっていた。無数のダンジョンが攻略されていて魔石燃料に貢献しているらしい。

 ダンジョンも悪くないのかもしれないな。

『ピンポーン』

「おぉ、まぁ上がっておいで」

オートロックの鍵を開けてやるとすぐにまたチャイムが鳴る。

「いらっしゃい!」

「お世話になります!」

 冬夜がさっそく来た。

「広い!ここが秋さんの家っすか!」

「これからよろしくな!」

「うっす!掃除や洗濯は任せてください!」

「部屋はそこ以外ならどこでもいいぞ」

「んじゃ、反対側のここで!」

 俺の部屋の反対側になった。


「んじゃカンパーイ!」

「カンパーイ」

「「うめぇ」」

 冬夜は24歳らしく現在フリーター。と言うか冒険者。

「俺もこんな家に住みたかったんすよ!」

「元のアパートは?」

「今月いっぱいですけど先に来ちゃいました!」

「あははは、まぁ、自分の家と思ってらくにしてくれ」

「了解です!」

 話をして家賃は二万にしといた。べつに取らなくてもいいんだがそれはそれらしい。


「東京ダンジョンは100階そうまであるんですか?」

「そう言うふうにしたな、最後はレッドドラゴンだ」

「あぁ、それなら倒したことあるっす。強かったっすけどね」

「あと罠もないから他の奴らも探索しやすいだろ?」

「なるほど、それはいいですねー」


 テレビを見ながらリビングで冬夜と話が弾む。

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