第25話 MMORPG


“カンーカンーカン”

 いまは冬夜の装備を強化しているところだ。

「へぇ、そうやって強化するんですね」

「結構難しいんだぜ?」

「ハハッ、ありがとうございます」

 冬夜とは気があって楽しく旅を続けている。

「秋さんはパーティー組まないんですか?」

「んー、パーティー組むとめんどくさくないか?」

「あー、それはありますね、気を遣いますし」

「な!そうなんだよ気を使うんだよ。冬夜はパーティー組んでただろ?」

「あぁ、奏ちゃんと組んでましたけど中々気難しい子で」

「わかるわ!俺も絡まれたもん!初っ端から装備くださいって!」

「あはは、そう言う子なんでパーティーは解散しましたよ」

 そうか、だからソロなんだな。

「まぁ、冬夜ならパーティー組んでも良いけどな」

「マジですか!組みましょうよ!楽しそうじゃないですか!」

「そうだな、組んでみるか」

 冬夜とパーティーを組んでみた。


「秋さん!」

「任せろ、ほい!」

「あはは、ほいって!」

 キングバイソンを仕留めて解体して行く。

「秋さんは何でもこなせますね」

「まあ、スキル頼りだけどな」


 綺麗に解体出来たので肉をそのまま焼いて食べてみる。

「あっつ、美味い」

「本当だ。美味いっすね」

 野生み溢れるというか、少しだけクセのある味だが十分美味い。

 残りはインベントリに入れておく。


 南の街までは歩いて一週間程かかる。

 日本に帰れるから野営道具は持っていない。


「日が暮れてきたから帰ろうか?」

「ですね、明日は何時ごろにします?」

「起きたらメールくれれば良いよ」

「じゃあそうしますね」

 と二人ともここで別れた。


 部屋に帰って来た。

 やはり広すぎて落ち着かない。慣れかな?

 ソファーに座りそう言えばログインしてないと『ファイナルブレイブ』をつける。

 ログインボーナスとガチャを引き、今週のイベントを見ると錬金素材を集めるイベントだった。

 黙々とイベントをこなして錬金素材を集めて行く。

 クリアするごとにポイントが貯まり素材が集まっている。

 魔王になった俺のキャラは苦もなく集めて行くが来週までに集まると良いんだが。

 錬金素材は貴重だ、その時しか集まらない可能性もある。だから寝る間も惜しんで収集に努めた。


「よぉ」

「おはようございます」

「よく寝れたか?」

「あはは、ゲームしてたら遅くなっちゃいました」

「俺もだ」

 南に向けて歩き出す。

「そっちもイベントか?」

「そうです。装備イベントですがなぜか防具ばかり出て」

「あはは、よくあるな」

「そっちは?」

「俺は錬金素材のイベントだ。今取っとかないとあとで後悔しそうだからな」

「あー、あるあるですね」

 和みながらお散歩だ。モンスターが出れば軽く狩っておく。

 冬夜も100レベ近いからそろそろカンストか?

「冬夜のやってるゲームはカンスト幾つだ?」

「それが100なんですよ」

「やっぱりか」

「秋さんは?」

「俺は上限なしだよ」

「ずりぃ」

 冬夜は口を尖らせる。

「スキルで上限突破をとれたからな」

「うわぁ、いいですね」

「冬夜のスキルは?」

「僕はリミットブレイクでした」

「攻撃力でも上がるのか?」

「全体的に上がるんですよ」

 それも良いスキルだな。

「冬夜はアプリ会社と繋がりあるんだから言えば何とかしてくれるんじゃないか?」

「それがアプリをいじろうとするとロックがかかるみたいなんですよ。だからあまりイジれないらしいっす」

「異世界転移のアプリのせいか」

「みたいですね」

『カキヨム』なんかも更新されてないからな、なかなか際どいのは弾かれるんだろうな。


「そう言えば馬場さんのところに星10装備が飾ってあったっんですが」

「俺が飾ってもらった。部屋を紹介してもらったからな」

「えっ引っ越したんですか?」

「そうなんだよ、パーティールームみたいなとこで広すぎて落ち着かないんだよな」

「そうなんですね。僕もワンルームから引っ越したいんですが職業が」

「分かる!無職には辛いよな」

「いまは素材を売って稼いでるんですけどねー」

「なんなら俺んとこ来るか?部屋空いてるぞ?」

「いいんですか?」

「パーティー組んだしな」

「おぉ、秋さんはそう言うの嫌いだと思ってました」

「まぁ、人によるかな?」

「ならそのうち一回遊びに行っても良いですか?」

「おお、来い来い」

 友達を部屋に呼ぶなんて何年ぶりだろ?


「あ、FO勢もレベルが上がってきてなんとかなってるらしいですよ」

「最初が不遇だったからな、良かったじゃないか」

「ですね」

「武器とかは?」

「改造パーツが売られる様になってきたみたいっす」

「へぇ、じゃあ強くなれるな」

「まぁ、一部はちょっと荒れてるみたいですけどね」

「なんで?」

「FOはPVPで獲得できるものもありますからね」

「あー、対人戦か、そりゃちょっときついな」

MMORPG多人数参加型RPGにはよくあることですね」

「それが現実だとキツイな」

「そうなんですよねー」

 対人戦かぁ、やりたくはないな。

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