第23話 帰省


 敵討ちってわけじゃないけど、さっさと終わらせよう。

 隠密で東京ダンジョンに入って行くサッサと下に降りて行くと、

「罠だらけじゃん」

 罠を避けて三十層まで来たところで扉があった。

「まさかね?」

 まさか三十層で終わりなんてことはないでしょ。


 中に入って行くと、


「いちゃった」


 エンシェントドラゴンさんが待っていたのでまた、

『デストラクション』

で瞬殺して、ダンジョンコアでオーナーを俺にする。

 ここをこーして罠は全部なしにして100階層くらいあればいいかな?

 ボスはレッドドラゴンで。

 

 ほい完了!


 転移陣で外に出て家に帰ると普通に寝た。



  ♦︎



「おい!うそだろ!俺のエンシェントドラゴンが!って乗っ取られた!俺のダンジョンが!どんだけ注ぎ込んだと思ってんだよ!」

 暗闇の中パソコンの光とスマホの光で照らし出された男の顔は痩せこけている。

「どこのどいつがこんなことすんだよ!」

 スマホを投げるがベッドの上に、壊れるからね。


「こうなったら最強最悪のダンジョンを作ってやる!」



  ♦︎



『いま速水さんが出てきました』

 テレビを見ていると元気に現れた速水君と春風さん。良かった良かった。

『まさか手も足も出ないとは思わなかったです』

 いまなら軽く攻略できるんじゃないかな?

『でも僕は負けません!レベルを上げてまた挑戦します』

 それでこそ速水君だよ。

 

 俺は昼からビールを楽しんでいる。

 

 東京ダンジョンもたいしたことなかったし、魔王にジョブチェンジしてから本当に無双状態だからな。


 明日あたり田舎の方を見てこようかな?

 親父とお袋が心配だ。



 次の日は新幹線で田舎の九州熊本まで帰ってみた。

「ただいまぁー!」

「はぁ。帰ってくるとならちゃんと言っとかんとなんも用意してないよ!」

 お袋が出てくる。

「ええからええから。寿司を買ってきたけん」

「ま!それならそうとはやくいわんね!」

「現金なことで」

「元気だけが取り柄たい!」

 お袋が元気そうで良かった。

「おお、秋、帰ってくるとなら迎えに行ったとに」

「大丈夫、それより腰はどげんね?」

「よかよ!あの薬はよぅ効く」

 親父も元気そうだ。

「あんた若くなったんやなかと?」

「分かるね?」

「どげんしたとね?」

「秘密たい」

 バシッと叩かれる。


 寿司をインベントリからだしてみると、

「あらたまげた驚いた!」

「魔法使いになったとね?」

「まぁそんなとこたい」

「こっちはダンジョンがあるけど人が多くてね」

 まだ、親父もお袋もスキルを取ってないみたいだ。

「早めに取りに行くこったい」

「そうやね」

 明日にでも連れていこうかな。


 次の日は朝から親父の車を運転してダンジョンに向かう。もう並んでいるがサッサと出てくるのでスキルを取りに来てるだけで、ここのダンジョンも放置されてるんだろうな。


 並んでいるとすぐに前が開く、親父は土魔法、お袋はインベントリだった。

「良かったやない!」

「ほんとやね!これ凄いがね!」

「俺は土ばイジれってか!」

「まあまあ」

 後部座席で不貞腐れる親父と横でインベントリにバックやら入れたり出したりしてるお袋が面白くてつい笑ってしまう。

「「なにわらっとるとか!」」


「ふたりとも元気でよかたい」

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