第27話 帰還・上
――《ミナは【ゴブリン村を討伐せよ】を引き受けた!!》
達成条件:敵対的なゴブリン村を滅ぼす 15/15
報酬:四天王になる
くそっ、時間切れか…そう落ち込んだ次の瞬間、
《個体名【ミナ】のレベルが50に上がりました》
《条件を満たしました。個体名【ミナ】は称号【ゴブリン王の呪い】を手に入れました》
《条件を満たしました。個体名【ミナ】は称号【虐殺者】を手に入れました》
まぁいいか…1週間一切上がらなかったレベルが、一気に5も上がったのだから。
加えて称号も手に入った…まぁ、両方ともかなり不穏な感じはするが。
それに、次の暴走なり寝た時なりに【私】とは会えるはず。
…そういえば、今の戦闘で使えなかった【鑑定】はもう使えるようになったのだろうか?
久しぶりのステータス確認も合わせて見ておくとしよう。
名前:ミナ
種族:スケルトン・クイーン
Lv:50
HP:600/600
MP:0/0
STR:650
VIT:650
INT:0
MIN:1
AGL:600
LUK:100
ユニークスキル:【傲慢】
スキル:【アイテムボックス】【鑑定】【言語理解】【成長加速】【思考加速】【剣術】【看破】【体術】【王の威圧】
称号:【元異世界人】【知恵を持つ魔物】【幸運者】【同族殺し】【見破りし者】【傲慢な王】【盤面指揮】【慕われしモノ】【導くモノ】【ゴブリン王の呪い】【虐殺者】
称号【ゴブリン王の呪い】:
ゴブリン王に呪われたもの。
効果:ゴブリン種からのヘイトが超増大+戦闘時ゴブリン種のステータスが倍増する
称号【虐殺者】:
無抵抗の相手を一方的に殺害し続けたもの。
効果:STRが10%上昇する
見事なまでに恨まれてる上に、無抵抗の相手を一方的に虐殺したクズ認定されてますわ…
いやまぁ、そうなんだけど。
客観的にも主観的にも、私が虐殺をしたという事実は言うに及ばないほどなんだけども。
とはいえ、自分より強い相手からの命令だから、手を抜くわけにもいかんしなぁ…
そもそも野生生物ならば弱肉強食が当然なわけで、そこに対して呪いとか言われても…
…あ、村を作ってるし野生生物という訳ではないのか?
いやしかしそれなら、アリだって巣をつくって社会的活動をしているし…
そもそも、「野生生物」というくくりは一体どこからを指しているんだ?
というか、私に殺されるほど弱かった彼らが悪いだけなのでは?
まぁ、私を倒せるほどならその時点で暴走していただろうけれど…
「…終わったぁ…?そろそろ帰るよぉ…?」
はっ…一人でいる時間に慣れ過ぎて、つい長考する癖がついてしまったようだ。
取り敢えず謝罪を込めて頭を下げておく。
「別にいいよぉ…というか、大分派手にやったねぇ…」
まぁ、命令だったし…
「僕としてはボスを屈服させて終わると思ってたんだけど、まさか全滅させるとは…そもそもあのゴブリン・キングにも、魔王様が出した招待を無視した理由を聞きたかっただけだし…君って僕が考えてたより冷徹というか、残酷なのかなぁ…あるいは魔王様への忠誠心とか?でも、それにしてはまだ出会って数分とかだって聞いてるけど…まぁ、魔物同士なんだからいつ殺されても文句は言えないんだけどねぇ…」
あっ…(察し)
…いや、それにしては「討伐」って言い方は少しわかりづらくないか?
そもそも詳しい内容を聞かされてもいないし…
今回の件、私は悪くないと思う。
「まーいいやぁ。どうせこの辺のことを考えるのは魔王様とかソウイツだろうし…」
ぐっ…天然か?天然なのか!?それとも違うのか!?
「大変だろうなぁ…まぁでも、二人とも優しいから怒りはしないんじゃないかなぁ?…まぁ、気にしなくて大丈夫だよぉ」
…嫌味な上司かっ!!
これはもう確信犯だろう!?さっきからネチネチネチネチと…
いやまぁ、詳しく聞くのを忘れていた私も悪いかもしれんが…
全く…人間社会だろうと魔王軍だろうと、人間関係というものは本当に面倒極まりないな。
「…どうしたの?早く帰ろうよぉ…僕、早く寝ちゃいたいや…」
…お前のせいでこんなことをする羽目になったんだろうが!!
夢の主人公(?)がこいつのことを嫌っていた理由がなんとなくわかって来たぞ…
まぁいい…早く帰りたいのは私も同じこと。ひとまず頷いておこう。
数十分後
「おお、二人とも帰ったか」
まだ城の前だというのに、魔王様+四天王総出で直々に出迎えか…
これは、さっきのことについて色々と言われそうな気がするぞ?
「ミナ、貴様の雄姿は魔法で見させてもらったぞ。…まぁ、少々予定外というか、思っていたよりも残虐なシーンが多かったり伝え忘れていたことを思い出したりもしたが…」
うぐっ…というか、やっぱり私は悪くないのでは…?
「まぁ、少なくとも四天王に相応しい戦闘力を発揮したということ自体は間違いない。それに、予定外に強くなった相手にしっかりと対応しておったからな。恐らくだが、ヤツは我の【憤怒】の「欠片」だったはず。だというのによくぞ対処して見せた!」
暴走してたから、正直何を言っているのかわからん…
それに、「欠片」?なんのことだ?
「む?どうした。褒められているのだからもう少し嬉しそうにしても良いだろうに」
「魔王様、恐らくですがミナ殿は「欠片」の存在を知らないのかと」
「む?…ああ、なるほど。しかし【傲慢】に何も聞いていないのか?」
この口ぶり…【私】に聞けば何かわかるのか?
「さぁ…あるいは何らかの要因で伝えられていない、などでしょうか?」
「ふむ…まぁよい、この機会に教えておくとしよう。ミナ、貴様も【傲慢】を得た時に説明は観ただろう?【大罪系】のスキルを発現させられるのはその【大罪系】それぞれに合わせた資質―我らは種と呼んでおる―を持っておる者だけ、かつ最初に発現させた者だけなのだ。しかし極稀に、【大罪系】を最初に発現させた者以外で、かつ【大罪系】の種を持っておる者が猛烈に高ぶった感情によって無理矢理【大罪系】以外の形としてその種を発現させることがある。『【○○】の「欠片」』というのは、それを発現させた者のことを指すのだ。—あやつが【傲慢】の種を持っておれば、【傲慢】の「欠片」となっていたということだ―そして、その効果はその感情によって本来の【大罪系】より少し劣った効果になる…とはいえ、【大罪系】を発現した者や「欠片」以外で勝てる者がおるとは思えんが。そして、今回は【憤怒】の「欠片」だった…というわけだ。つまり、「欠片」を倒したというだけで貴様の戦闘力は疑いようのないものだということが分かったのだよ」
…なるほど。
確かに、説明文にも「【傲慢】を所持できる資格のあるもの」と書いてあったな。
発現させた者の他にも資格を持っている者がいても何らおかしくはないということか。
そして、それを持っている者で発現させられなかった者がその感情を爆発させると【傲慢】だとか【嫉妬】だとかという形以外で発現させることがある、と。
そして今の話を聞いたことで【憤怒】の効果がなんとなくだが予想が付いた。
「…とまぁ、そういうわけで。この場でミナを最後の四天王に正式に任命しようと思うが、異論のある者はおるか?」
「ございません」
「ありません♡」
「ないです…」
「…よし。では今この時より、「【傲慢】のミナ」を四天王第4席として承認する。それと同時に、貴様以外の四天王、また我の【大罪系】についての話を少ししておきたい…が、流石に外でそのような話をするのはいかがなものなのでな。会議室に行くとしよう」
…どうにか認められたようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます