第24話 ゴブリン村・上
―《ミナは【ゴブリン村を討伐せよ】を引き受けた!!》
達成条件:敵対的なゴブリン村を滅ぼす
報酬:四天王になる
…というわけであの後、言い出しっぺのラズに送ってもらった。
まぁ本人…本魔物?は面倒臭がっていたが。
最終的には、なんだかんだ魔王に説得されてここまで送ってくれたというわけだ。
ちなみに、今はゴブリン村近くの森から私とラズの2人で村を観察している。
魔王曰く、私の力を見たいので【
…鑑定してみた感じ、「ゴブリン」村というだけあって基本的に村民は全てただのゴブリンのようだ。
数は大体10~20ってところか?かなり小さいグループのようだ。
ゴブリンの見た目だが、異世界物の小説なんかによく出てくる感じの見た目だ。
まぁただの人間に比べればいくらか異物感もあるが、正直私もスケルトンなせいかそこまで強い感情は湧いてこない。
小説やゲームなんかでありがちなパターンだとゴブリンはスライムと並んで最弱の一角というパターンも多いわけだが、どうなんだろうか?
というか、個人的には骨だけのスケルトンも同格かそれ以下じゃないかと思うわけだが。
…まぁとはいえ、少なくとも今の私なら余裕で勝てるだろう。
そんなことを考えていると、ラズが近くにあった岩の上に登る。
「そろそろいい…?それじゃあ僕はここで見てるから、倒してきちゃってねぇ…あ、ここあったかい…」
こいつ、早速寝る準備に入ってないか…?
時間をかけすぎるとそのまま寝かねないな…仕方ない、少し急ぎめでやるとしよう。
そう思いつつ、村の方に向かって歩いて行く。
別に堂々と出て行ってゴブリンたちにばれてもそんなに問題はないが、もし逃げられでもすると追いかけるのが面倒なのでやめておこう。
村の近くになると、ゴブリンたちの喋る声が聞こえてくる。
そういえば、種族が違うのに魔王とかソウイツの言葉も普通に理解できてたな?
【言語理解】のお陰か。
「それにしても、うちの王様大丈夫かねぇ?どうやらあの魔王様と敵対してる、みたいな話聞いたけど…」
「え、それ本当なの?」
「みたいよ?私も聞いたわ。でもご本人は全然外に出てこないから確認のしようがないのよねぇ…」
「どうしましょう…」
「うちはそろそろ魔王城の方か近くの村に引っ越そうかなって思ってるのよねぇ…一応旦那にも話してるわ」
「あら…」
「くらえっ!やみまほー、ふらっぐぼーる!!」
「ばっかでー、「ふらっぐぼーる」じゃなくて【ブラックホール】だっての」
「あれ、そうだっけ?」
「相変わらず馬鹿だなぁ…まぁいいや、次は俺が魔王様役な!!」
「はーい!」
「ふっ…ふっ…ふっ…うちの家族を守るためにも、もっと強くならないとな…」
井戸端会議をしている母親たちに、外で遊んでいる子供たち。
そして、その家族を守るために特訓に励み、魔物を狩っている父親たち。
ゴブリン「村」というだけあって、ゴブリンにもちゃんとした理性が残っているんだな…
人型なのもあって、これじゃまるで…普通の人間みたいじゃないか。
正直人間としての生活を覚えている身としては結構厳しいところもあるが…
一応、ラズに確認してみるとしようか…いや、言葉が伝わらないか。
…仕方ない、全部殺すとしよう。せめて一撃で葬ってやれば痛みはないはずだ。
そう決意を固め、近くで一人剣を振るっているゴブリンに近づいていく。
「…ん?誰だ?…って、なんだスケルトンか。食事にもならんが倒しておかないと…っ!?」
こっそり近づいたつもりだったが普通にバレて襲われたので取り敢えず受け止めておく。
というか、このゴブリンが言っていることを鑑みるに、どうやら普通ならゴブリンよりスケルトンの方が弱いと考えられているようだな。
「受け止められた…!?スケルトンにしちゃ随分強いな。もしかしてウォリアーとかってやつか?チッ、おい皆、こっち来い!多分だがスケルトンの進化個体だ!」
「マジか、早めに倒さないとまずそうだな!」
「お前らも来い、さっさと片づけるぞ!!」
味方を呼ばれてしまったな…大体5~6匹か?徐々に近づいてきている。
正直1対1ならステータス的に割と余裕で倒せるだろうが、流石に1対多は面倒だな…
とはいえ標的どもが自分からこっちへ向かってきてくれたのはありがたいし、さっさと倒して帰るとしよう。
そう考えつつ、今まで受け止めていた剣を無理矢理弾き、そのまま相手の胴を切り付ける。
流石に3回の進化に加えて1回の特殊進化をしている私のステータスにただのゴブリンが追いつけるわけもなく、そのまま相手の胸から上が地面にずり落ちる。
肉があるせいでスケルトンを切るのとはまた大分感覚が違うな…少し斬りづらい。
そういえばソウイツの腕を切った時は【暴走状態】だったせいで正直全然覚えていないし、肉を切ったっていう意味では実質初めてなはずなんだが…とはいえ特に何も感じないな。
スケルトンを殺し過ぎて、殺すのに慣れたか?
「なっ…!?いくら進化してるったって一撃で…!?」
「しかもクソ早かった、こんなのウォリアーですら不可能だろ!?」
「まさかそれ以上に進化した個体だってのかよ!?」
「そんなん俺らにどうかできんのか!?」
「出来るかじゃねぇ、やるしかねぇんだ!!お前らだって家族居るだろ!!」
「クソっ、だぁぁあああああああああああああ!!!!!!!」
…なんか、極悪人にでもなったような気分になってくるな。
いや、実際村に押し入って村民を殺してるんだし滅茶苦茶悪人なんだが。
まぁ…とはいえ大人しく切られてやるわけにもいかないし、やるとしよう。
と思ったが、目の前のゴブリンの足が邪魔だな…
取り敢えず蹴ってどかして…チッ、もうすぐ目の前に来てやがる。
「死体蹴りか、俺達は眼中にもねぇってか!?」
「ふざけんじゃねぇスケルトン野郎が!!」
「このっ…殺してやる!!!」
いや、違…はぁ。面倒だ…とりあえず殺そう。
そう思いつつ、敵が振るってくる剣たちを避けていく。
そして、避けるついでに腕や腹、足なんかを切り付けていく。
その過程で1,2匹は頭を飛ばせたようだ。
とはいえ殺し切れていないやつも、腕が取れていたり足が切れて倒れていたり、腹を切ったせいで腸がまろび出ていたりもするし、放っておけばそのうち勝手に死んでくれるだろうか?
「ぐぅうう…俺の、腕がぁ…」
「…!!」
「ク、ソォ…家族が、いるのに…!!」
…家族、か。そんなにいいものなんだろうか?まぁいい。
さて、次の敵を探すとしよう。
…そういえば、その辺に居たはずの子供たちやメスゴブリンたちが居なくなっているな。
家に避難したんだろうか?前世の某ゴブリンのアニメで子供とかは残すと後々面倒になるって聞いたし、早めに潰しておきたいところだ。
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